大アルカナとは、小アルカナと共にタロットカードを構成する要素である。
概説
78枚で構成されるタロットカードの内、22枚を構成するカードのこと。小アルカナとは逆に類似するカードは一枚もなく、またそれに応じてカード一枚一枚が個々に意味を成している。注意すべき点として、マルセイユ版とウェイト版とでは「正義」と「力」が入れ替わっている。19世紀フランスのオカルティスト、エリファス・レヴィによってカバラと結びつけられ、ヘブライ語の22のアルファベット(アレフべート)に対応させられた。この発想は近代西洋儀式魔術の理論的支柱の一つである非ユダヤ教の亜流カバラ「ヘルメティック・カバラ」に引き継がれ、セフィロトの22のパスと関連付けられる事もある。
大アルカナカードの見方
カードにはそれぞれに特徴的な構図が描かれており、そのカードが正位置で出るか逆位置で出るかで示される結果が異なってくる(逆位置、つまり逆さまに出た場合、基本的には意味も反対になる)。が、使用するデッキによっては正位置・逆位置の区分をせず、周囲にあるカードによって吉凶を判断する読み方が推奨されることがある。
{例・トートデッキの大アルカナの場合は、その担当する星座や惑星のエレメントを使う。火と水(トートの小アルカナではワンドとカップ)、風と地(同じく、ソードとディスク)の組み合わせが互いに悪い影響を与え合うとされる。それ以外の組み合わせは吉}
正確な結果については、占う人間やその方式によって差異が出る。
日本で最もポピュラーとされるのは、1909年イギリスで発行された「ライダー・ウェイトタロット」。他にも、タロットの起源に最も近いとされる「マルセイユタロット」、アレイスター・クロウリー考案の「トート・タロット」、エッティラ(エテイヤ)考案の「エテイヤタロット」等が紹介されている。
8番目と11番目の大アルカナに入るカード名がマルセイユ版とウェイト版とで異なっているが、ウェイト版が初ではなく、フレミッシュ・タロット(Flemish Deck)のようにそれ以前にも「力」が8番目、「正義」が11番目にくるデッキは存在していた。
ウェイト版における教皇と女教皇の英字表記およびカタカナ音写(ハイエロファントとハイプリエステス)は日本においてはデッキを問わない共通表記として広まっている。
日本では「教皇」と「ハイエロファント」、「女教皇」と「ハイプリエステス」が組み合わせられて広まっている。
ハイエロファントとは本来、古代ギリシャの秘儀宗教における司祭長であり(宗教の違いを踏まえた上でも)キリスト教の「教皇(ポープ)」に相当する役職ではない。ハイプリエステスは高位女司祭という意味であり、こちらもトップに就いている女教皇と厳密には対応しない。
大アルカナの構成
※以下、マルセイユ版タロットに準ずる
番号 | カード名 | 英語表記 | 補足 |
---|---|---|---|
0 | 愚者 | 【THE FOOL】 | 番号は空白の場合も |
1 | 魔術師 | 【THE MAGICIAN】 | マルセイユ版のスペイン語原語表記、ブザンソン版では「奇術師(Le Bateleur)」 |
2 | 女教皇 | 【THE POPESS】 | ブザンソン版では「ユーノー(Junon)」、フレミッシュ版では「スペインのフラカス船長(L'Espagnol Capitano Fracasse)」、ウェイト版タロットではTHE HIGH PRIESTESS(高位女司祭)。 |
3 | 女帝 | 【THE EMPRESS】 | |
4 | 皇帝 | 【THE EMPEROR】 | |
5 | 教皇 | 【THE POPE】 | ブザンソン版では「ユピテル(Jupiter)」、フレミッシュ版では「バッカス(Bucus)」、ウェイト版タロットではTHE HIEROPHANT(神聖開示者)。 |
6 | 恋人たち | 【THE LOVERS】 | |
7 | 戦車 | 【THE CHARIOT】 | |
8 | 正義 | 【JUSTICE】 | 8番目の大アルカナはウェイト版等では「力」、トート・タロットでは「調整(Adjustment)」 |
9 | 隠者 | 【THE HERMIT】 | |
10 | 運命の輪 | 【WHEEL OF FORTUNE】 | |
11 | 力 | 【STRENGTH】 | 11番目の大アルカナはウェイト版等では「正義」、トート・タロットでは「欲望(Lust)」 |
12 | 吊るされた男 | 【THE HANGED MAN】 | |
13 | 死 | 【DEATH】 | カード名は空白の場合も |
14 | 節制 | 【TEMPERANCE】 | トート・タロットでは「技(Art)」 |
15 | 悪魔 | 【THE DEVIL】 | |
16 | 神の家 | 【THE HOUSE OF GOD】 | ウェイト版では「塔(THE TOWER)」であり英語圏ではこのアルカナを指す一般的呼称になっている。フレミッシュ版では「雷(la foudre)」 |
17 | 星 | 【THE STAR】 | |
18 | 月 | 【THE MOON】 | |
19 | 太陽 | 【THE SUN】 | |
20 | 審判 | 【JUDGEMENT】 | トート・タロットでは「永劫(The Æon) 」 |
21 | 世界 | 【THE WORLD】 | トート・タロットでは「宇宙(The Universe)」 |
大アルカナがモチーフになった・登場した作品
ゲーム
- アイドルマスターミリオンライブ!
- ガシャとして、タロットカードをモチーフにしたカードが出る「フォーチュンガールズガシャ」がある。
- アクエリアンエイジ
- 第3シリーズのエクスパンションタイトルが大アルカナに由来。また、西洋魔術結社勢力(青)に大アルカナの称号を戴くキャラが存在する。
- アルカナ・ファミリア
- 組織に入るには「タロッコ」(タロット)との契約が必要で幹部や相談役は「大アルカナ」を所持していることが絶対条件となる。
- オウガバトルシリーズ
- 戦闘中に使用すると様々な効果を発揮するアイテムとして登場。一部作品では予約特典として大アルカナのみのオリジナルデッキがついたことも。
- グランブルーファンタジー
- コードオブジョーカー
- 各キャラクターの使用する「JOKER」カードが大アルカナをモチーフとしている。
- Sa・Gaシリーズ
- ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド
- ボスの名前が大アルカナに由来している(番外編を除く)。
- Shadowverse
- 第17弾カードパック「Fortune's Hand / 運命の神々」のテーマがタロットとなっており、大アルカナもモチーフとして使用された。そのうち9枚は、「アルカナゴッド」という特別なデザインになっており、正位置と逆位置がカードの効果によって表現されている。
- スタリラ
- 舞台少女を大アルカナに擬えた「アルカナ・アルカディア」シリーズが登場。
- ストリートファイターシリーズ
- タロット占い師ローズの「Vスキル」として、『ストリートファイターV』で「ソウルフォーチュン」が実装。ウェイト版準拠の大アルカナにストリートファイターの登場キャラクターをあしらったカードを使った技である。これらのタロットカードはローズの勝利デモでも登場する。ストーリーモードでも占いで使用している。絵柄はカプコン所属デザイナー「ヒナナナ」氏によるもの。公式グッズとしても販売されている(【イーカプコン限定】ストリートファイター 30th TAROT CARDS(Major arcana)(グッズ単品))。
- ドラゴンクエストシリーズ
- バトルスピリッツ
- 「オラクルスピリット」が存在し、0の愚者~21の世界全てカード化されている。
- 爆ボンバーマン
- マスターが使用する8種類の攻撃すべてが大アルカナのカードを使用したもの。
- ファイアーエムブレム風花雪月(スピンオフ作品ファイアーエムブレム無双風花雪月を含む)
- 『紋章』と呼ばれる特殊能力が大アルカナをモチーフとしている。
- ペルソナシリーズ
- 女神異聞録ペルソナ:主人公達に降魔させるペルソナの「種族名」代わりとして扱われる。
- ペルソナ2:悪魔にも大アルカナが割り当てられ、召喚したいペルソナのアルカナに応じた悪魔からカードを集める事になる。
- ペルソナ3:サブイベント「コミュ/コープ」にもそれぞれの大アルカナが割り振られている。
- 『2』以前はウェイト版タロットから、『3』以降はマルセイユ版をはじめ複数のタロットから引用されている。詳細はアルカナ(ペルソナ)を参照。
- マジカルドロップ
- 登場キャラクターのほとんどが、大アルカナを元にしている。
- ルーセントハート
- 同行NPC「戦闘ペット」に大アルカナをモチーフとしたものが存在した。
- モンスターストライク
- タロットカードをモチーフにしたモンスター・魔札(誠札)が登場。
アニメ
- 幻影ヲ駆ケル太陽
- 世界観やキャラクターの能力設定に深くタロットが関わっている。なお、EDに出てくるスプレッドは、ホームページもお持ちのnekomataさんのページで公開されているもの。EDで流れるスタッフロールにもnekomataさんの名がある。
- ノブナガ・ザ・フール
- タロットカードの大アルカナをモチーフとする作品。タイトルのザ・フールも「うつけもの」と「愚者」のダブルミーニングであり、各話サブタイトルに大アルカナが引用されている。
- 遊戯王GX
漫画
- X
- 作品そのものはタロットと何の関係も無いが、単行本のカバーにタロットカードをモチーフとしたイラストが描かれていた。
- カードキャプターさくら
- キーアイテムであるクロウカードは一種のタロットカードのようなもので、作中でも「占いにも使える」事が言及されている。また、クロウカードの製作者であるクロウ・リードも、トート・タロットの考案者アレイスター・クロウリーがモチーフである。
- 金田一少年の事件簿
- タロット山荘殺人事件にて大アルカナを使った見立て殺人事件が起こった。
- ジョジョの奇妙な冒険
- 第三部『スターダストクルセイダース』において、スタンドの名称として使われた。
- タロットマスター
- 主人公の少年は22体の「大アルカナ」のタロットカードで人工精霊を操れる超占術師で、タロットと友情の力で迫り来る敵と戦う物語。
- ブラック★★ロックシューターDAWN_FALL
- 人類の決戦兵器である少女たち「ヘーミテオスユニット」のコードネームは、彼女たちが引かされた大アルカナのタロットカードから名付けられている。
小説
- 運命のタロット
- 主人公が封印を解いてしまったことでタロットの精霊達の戦いに翻弄されていく。タロットの精霊たちは「大アルカナ」をモチーフにしている。
- タロットの御主人様。
- 主人公の占現師である青年は依頼人である美少女に「クロウ・クルアッハの聖隷のタロット」を用いた『楽園の占現』を依頼されたが、占いは失敗しタロットは四散。そのタロットを回収するために奮闘する物語。
- ロクでなし魔術講師と禁忌教典
- 主人公が所属していたアルザーノ帝国宮廷魔導士団特務分室のメンバーに割り振られているコードネームが大アルカナのカード名。(因みに主人公のコードネームは『愚者』である。)