タロット山荘殺人事件
たろっとさんそうさつじんじけん
『金田一少年の事件簿』のFile:11。単行本14~15巻に収録。
本作の筋立ては『金田一』では初めての「最初から犯人が分かっている」倒叙形式(刑事コロンボや古畑任三郎でお馴染み)であり、犯人が「真犯人」に操られ新たな犯罪を繰り返すというシナリオ仕立てになっている。後半のあるシーンでも倒叙形式が使われた。
久々に人気アイドルの速水玲香が登場するが、またもや雪山に閉じ込められて殺人に巻き込まれている。ドラマもアニメもメンバーが玲香のカラダを狙う発言をぼかすのに苦労していた。
ネタバレになるが、『速水玲香誘拐殺人事件』と並ぶ彼女の出生の秘密が明かされる事件となっている。
金田一が犯人と真犯人の両方に殺されかけているが、よく助かったものだ。
知らぬ者は無い人気アイドルの速水玲香が突如として失踪した。色めき立つ金田一一であったが、突然玲香の元から一通の手紙が届く。「青森県で父の経営する山荘に来てほしい」と書かれたその手紙を見て一は早速山荘へと向かう。
実は玲香は単に静養に来ていただけであり、一及びついでに付いてきた七瀬美雪は胸をなでおろす。玲香の父・速水雄一郎の経営する山荘にはタロットカードが飾られており、タロット山荘と呼ばれていた。
何はともあれ安堵の息をつく一たちであったが、突如としてカードは盗まれ、殺人劇の幕が下りてしまう…。
第2シーズンの第2話として放送され、夏の放送なので、雪に関するエピソードはすべてカットされた。
変更点は以下の通り。
- 一が玲香にマフラーを巻こうとする→玲香が一に背中のホックにひっかかった髪を取るように頼む
- 一が真犯人に口封じのために雪山に放置され、美雪から貰った化学繊維のセーターでピンチを切り抜ける→川の激流に放置され、ロケット花火でピンチを切り抜ける
- 真犯人が自暴自棄になって外に飛び出した玲香を助けて雪崩に巻き込まれる→自暴自棄になって外に飛び出した真犯人が、ロープウェイ乗り場から転落(周りに自殺を止められるが、自らの意志で手を離した)
- 事件解決編で部屋の間取りと動く人物をドールハウスのように俯瞰で見せるという、原作よりも凝った演出が使われ、その時の人物の動きが原作よりも細かくなっている。
速水玲香初登場エピソード『雪夜叉伝説殺人事件』のすぐあとである40~42話が該当。
伊丹が取材した事件の1つが『飛騨からくり屋敷殺人事件』になっていて(おそらく『親子愛』『赤の他人』『首』繋がり)、原作にも登場した誤射事件の被害者が女子中学生から成人男性(絵のみの説明)に変わっている。
その次に放送されたのは『黒死蝶殺人事件』なのだが、(※ネタバレ注意)わざととしか思えない。
黒死蝶の次に放送されたのは『速水玲香誘拐殺人事件』である。
タロット山荘
芸能界
客
山荘で殺人を犯した「表の犯人」を電話口で脅迫し、その事実を悟らせぬために殺人を命じた謎の人物(所謂「間接正犯」という奴)。用が済んだ「表の犯人」をすぐさま殺害し、何食わぬ顔で戻った。
「表の犯人」に殺された被害者をタロットカードに準えて死体を移動させており、以降の犯行も金田一らの目を欺くためタロットカードを模した殺し方を行ったが、それが命取りとなった。
なお、タロットカードに見立てるために被害者の死体を風車に括りつけているが、よくよく考えると雪山で一人で被害者の死体を抱え、その状態でかなりの高さがある風車に登って被害者を落とさないように括りつけるという無理のありすぎる行動を取っていた事は後年「犯人たちの事件簿」で自分でツッコんでおり、「トリックって最後はフィジカル」という名言を生み出した。
また、気絶させた金田一を雪山に放置させることで始末しようとしたが、彼が生還したことに、「犯人たちの事件簿」では「ふ…不死身なの…?」と驚愕していた。