概要
原作で通算FILE2の長編。
金田一少年の事件簿の中でも歴代中、最も多くの犠牲者を出したえげつないとされる事件。
体の一部が切断されたミイラの隠された6つの館のある青森県六角村(ドラマでは4つの館がある東京都奥多摩十文字村)で起こる連続殺人劇。
何より後述するとある理由により原作単行本と第1期ドラマ(主演:堂本剛)以外のメディアでは視聴することが出来ない。
アニメ版は制作されていない。当初の単行本計27巻に収録の19の長編のうち、「首吊り学園殺人事件」ともどもアニメ化していない2つのエピソードのうちの1つ。
あらすじ
ある日、教師である小田切進との関係がばれてしまい
彼女は故郷の六角村に連れ戻されて
式への招待を受けやってきたはじめと美雪。そして小田切。
式の夜に教会の鐘が鳴り響く。
教会には、花嫁である若葉の首なし死体があった。
____「7人目のミイラ」なる人物の犯行であった。
登場人物
- 小田切進(演:東根作寿英):不動高校新任の気の弱い教師。恋人だった若葉を慕い、金田一らと共に異人館村に向かう。
- 時田若葉(演:遊井亮子):金田一の同級生。おかっぱ頭が可愛い。
- 俵田孝太郎:青森県警の熱血刑事。原作ではこれ以降準レギュラーとなる。ドラマには登場せず、やってくる警察は剣持と向井である。
- 時田十三(演:三谷昇):若葉の父で時計の館の主。若葉の教師との交際を知り、村に連れ戻す。ドラマ版では覆面男で、金田一を杖の一撃でKOしている。
- 一色寅男:ステンドグラスの館の主。顔に痣がある中年男性。ゲテモノ食い。ドラマでは登場せず。
- 草薙三子:ツタの館の主(ドラマ版では白の館)。数年前に息子を亡くして以降は痴呆を患い病的な愛猫家になっている老婆。猫を平気で食べる一色の事を殺さんばかりに憎んでいる。ドラマでは冬木三子(演:白川和子)という名のヤク中の中年女性である。
- 風祭淳也(演:岡田眞澄):六角村村長。風見鶏の館当主でハンサムな中年男性。剥製づくりに凝っているらしい。
- 五塔蘭:塔の館の主。美雪がうっかりときめくほどの美人だが実態は若作りのことしか考えていない偏執狂。真犯人曰くインランババー。ドラマでは登場せず。
- 兜礼二(演:綾田俊樹):鎧の館の主。眼鏡をかけた細身の男。
- 兜霧子(演:松原朋子):礼二の娘。常に不愛想。無口すぎて原作ではセリフがない。ドラマでは4つの館の解説をする。
- 連城久彦:若葉の婚約者。常に覆面を被っている。ドラマでは登場せず、時田十三が覆面をかぶるようになった。ファンブックによると素顔は色白の美青年だった模様。
この他、本作で当時の原作者だった金成陽三郎氏が時田家の使用人としてゲスト出演していた。
怪人『七人目のミイラ』
村の館に眠る6つのミイラに準えた名を持つ殺人鬼。
六角村の主たちを、その館に眠るミイラの形に切り刻んで次々と殺していく。
名前しか登場しないため、初期の事件簿の怪人に多かった仮面を被った奇行などは一切描かれない。
直接手にかけた人物の多さや犯行を暴かれた後のインパクトのある立ち回りなどから金田一少年の事件簿の犯人の中では最強クラスの犯人だった(物理的な強さは確実にトップ)とファンからは評価されている。
ドラマ版では館の数の減少に伴い「五人目のミイラ」に変更されている。
著作権について
本事件がテレビドラマ化された際、推理作家の島田荘司がデビュー作『占星術殺人事件』(1981年発表)における事件の根幹を構成するトリックが盗作されたと指摘があった。
これにより、後日、文庫版には“『占星術殺人事件』のトリックを用いています”と明記される。公式ガイドブックでは「『占星術殺人事件』のトリックのサンプリングをしている」と記載された。
トリックには著作権の保護が及ばないアイデアではあるが、結局のところこの話を見た後に『占星術殺人事件』を見た場合あちら側のみが間接的にネタバレを受けてしまうという点がまずかったのであろう。こちら側のメイントリックでないだけに感じ方によっては非常に悪質ととられかねない。
また、こうした事情への配慮からかDVD版には収録されず(VHS版は初期版のみ収録)、配信もされていない。本編でのトリックについて、犯人視点で言及するスピンオフ『金田一少年の事件簿外伝犯人たちの事件簿』では、File編で唯一このエピソードのみ漫画化されなかった(作中で「できる話はすべてやった」とメタ発言があり、本エピソードが「できない話」とみられる)。ただし、『犯人たちの事件簿』2巻発売記念としてネットで行われた「犯人総選挙」には「七人目のミイラ」もおり、「地獄の傀儡師」に次ぐ2位を獲得している。
後日談のスピンオフ『金田一少年の1泊2日小旅行』では、(トリックと関係ない)注釈とツッコミを入れた上でしっかりと取りあげられている。
アニメ化もされなかった。ただ、著作権とは別に殺人方法やトリック自体が極めて凄惨なうえに他のエピソードと異なり改変も困難なのでどのみち制作されなかった可能性もあるが。
関連タグ
首吊り学園殺人事件:当初の単行本計27巻に収録の19の長編のうち、本エピソードと同じくアニメ化していない2つのエピソードのうちの1つ。こちらは他作品との著作権は無関係。