概要
16世紀から18世紀のヨーロッパで発祥・流布されたデッキ。タロット史においても代表的な形式である。
当初は占い用ではなく、トランプのような遊戯用のグッズであった。
フランスのマルセイユで大量生産がされた時代に「マルセイユ版」という名称がついた。
マルセイユ製のタロットカードが広く流布した18世紀はフランス革命とも重なる世情が不安定な時代であり、タロットが占いに用いられる一つの要因となった。
18世紀のフランスではアントワーヌ・クール・ド・ジェブランがタロットのエジプト起源説を説き、「エッティラ」ことジャン・バプティスタ・アリエットがジェブランの説を受けて新たな絵柄のタロットデッキ「エッティラ・タロット」を創案し、タロット占いの方式を定めた。
エッティラは元商人であり、そこそこ教養もあったのか、このデッキと占い方法には占星術、聖書、錬金術、ヘルメス哲学など多彩なネタが盛り込まれている。
19世紀になると魔術師エリファス・レヴィがエッティラがそうしたように、マルセイユ版タロット用の占い方式を整えて発表した。それまでマルセイユ版タロットの人気はエッティラ版にかなり押されていたが、レヴィの出現を機に盛り返した。
以降、20世紀のイギリスで誕生したウェイト版タロットと並び、現代に至るまで主流のデッキであり続けている。
歴史の長さから様々なバージョンが生まれており、初期・中世のものを中心に著作権が切れているものも多いが、近年のアレンジ・塗り直しバージョンは著作権保護の対象であるため、素材として用いる場合はそれぞれのバージョンの出版年や(古典バージョンの場合も)写真・コピー画像の著作権の確認が重要である。
特徴
誕生した時代もあって、中世ヨーロッパの写本の挿絵のような絵柄である。小アルカナはクラブ、カップ、ソード、コインの数札を書かれたそれぞれの数で表している(ソードの2の場合、剣が2本)。
この点で小アルカナの数札それぞれで象徴となる事物も描き込んだウェイト版と比べると敷居が高い。
マルセイユ版タロットが登場する作品
ブースターパック第10弾よりシークレットレアの一種としてタロット仕様のレベル0ルリグが封入。アルカナの配列がマルセイユ版準拠になっている。イラストは全てHIRO USUDA(ウスダヒロ)が手掛ける。
『女神異聞録』及び『2』ではウェイト版だったが3以降はマルセイユ版に変更されている。
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