概要
「産屋敷ボンバー」とは『鬼滅の刃』にて鬼殺隊の最高管理者である産屋敷耀哉の最期の行動をネットの一部が呼び始めた別称。
経緯
産屋敷一族は少し先の未来を予知する、異能とも呼べる程の先見の明を有しており、耀哉は無惨が産屋敷邸に襲来することを事前に予見していた。
無惨にとっての仇敵たる鬼殺隊を率いてきた産屋敷の一族である自分の事を、無惨は自身の手で直接殺したいと考えていると予想できたからである。
だが自分は病状の悪化で動くことは出来ず、先も長くはない(半年も前に数日で死ぬだろうと医者が診断する程に体は浸食されており、気力一つで何とか生き永らえている状態だった)。
そのため無惨に少しでも手傷を与え、自分の死を以て鬼殺隊の面々を奮い立たせることを目的としてこの自爆作戦を発案。
邸宅の隅々に尋常ではない大量の爆薬を仕込んだ上で無惨を迎え、かくして作戦は決行された。
産屋敷邸は耀哉と彼に付き添っていた妻あまね及び子供の内二人のひなき、にちか諸共、壮絶な爆炎で跡形もなく消えた。
これにより無惨も全身大火傷と四肢欠損という重傷を負ったものの、即座に再生している(後者はアニメで追加されたもので、原作では四肢が原形を残していたかの様に見える状態であった)。
しかし耀哉の目論見は見事に成功し、この自爆を皮切りに珠世や悲鳴嶼、浅草の人(こちらは血鬼術のみ)たちが無惨に攻撃を仕掛け、更に駆けつけた柱全員と随伴していた炭治郎による一斉攻撃が敢行され、最終決戦の口火を切る一手となった。
なおこの自爆作戦には、人質になること、喰われて無惨の栄養源にされること、鬼にされて手駒にされること等を避け、敵に利する可能性を絶つ意味もあったと思われる。
他の子らの輝利哉、くいな、かなたは一連の流れの前に事前に遠くへ避難させられており、協力者の力によって遠隔での状況確認を可能にした状態で鬼殺隊の指揮を執る役目を担っていた。
余談
- この行動にはラスボスである鬼舞辻無惨ですらドン引きしており、「あの男は完全に常軌を逸している」、「妻と子供は承知の上だったのか?」と、どちらが悪人が分からなくなるほど至極真っ当な感想を抱いている。
- 家族までこんな無茶な作戦の巻き添えにした事に関しての具体的な意図が語られる事は無かったが、理由としては敢えてその場に自身の家族を置く事で“無惨に自分の奇襲が完全に成功したと思い込ませて爆破までの時間を稼ぐ”という目的があったものと考えられる。事実、無惨は最初は耀哉が何らかの策を用意しているはずだと警戒していたのだが、傍にいた彼の子供の存在を確認した事で自分の出現が耀哉にとっても想定外だろうと認識してしまった。故に産屋敷の家族以外の人間の気配がなく、護衛がいない不自然さに気づいたにもかかわらず警戒意識を緩めたまま彼の前に姿を晒し、そこを突かれて相手の策に嵌ってしまう結果となった(あまりにも予想外だったためか人間以上の動体視力と運動能力を有する無惨も起爆した瞬間は全く反応できなかった姿がアニメでは映されている)。
- この作戦は「お館様は鬼殺隊士たちに慕われている」という客観的事実を利用し、「お館様が無惨の手により殺された」と誤認させて隊士たちの士気に火をつける意図もあった(もっとも無惨が耀哉を殺しに来たのが自爆を決行した直接要因なので誤認とも言い切れないが…。そもそも屋敷にいなかった隊士達は結果的とはいえ無惨が耀哉達に傷一つつけられなかったとは知らない)事が耀哉当人の口から無惨に語られている。
- 後に、この自爆作戦は古株の悲鳴嶼と共同で行われた事が明かされ、耀哉の合図で屋敷に仕掛けられていた爆薬を点火させた事を、悲鳴嶼本人が無一郎に対し打ち明けている。無一郎は直接の死因は自害であった事に対し、飽くまでも無惨のせいで耀哉は死んだと改めて無惨へ殺意を向けていた。
- 妻と娘を巻き込んだことについては、耀哉も了承してくれるかどうか心配していたものの(むしろ最初は避難を勧めていた模様)、無論3人も了承済みであったことが明かされており、改めて産屋敷家、延いては鬼殺隊の異常性(そしてそれと表裏一体の産屋敷一族を含めた鬼殺隊の無惨に対する憎悪の深さ)を印象付けることとなった。
- 爆薬の中には無惨の再生を少しでも遅らせる為に撒きビシも仕込まれており、一部では遊郭編まではまだ柱であった宇髄天元も、耀哉が囮となることを知らされ同じ年長者として悲鳴嶼と共に協力して爆薬を仕掛けたのではないかという説があるが、実際のところは不明。アニメでは天元が最近夜中に魘されている事への心配を妻たちが吐露する場面が追加されており、原作以上に考察の余地が生まれた。ちなみにアニメでは爆発の際に舞い上がる撒きビシもはっきりと描写されている。
- アニメ『柱稽古編』最終話でこの出来事が描かれた。フルCGを用いた実写と見紛う迫力のある演出が用いられ、殊に爆発の瞬間はスローモーションで表現された。爆発の火力も原作以上に増幅されており、初見・原作履修済みの視聴者双方に強烈なインパクトを与えたためか、X(Twitter)上にてトレンド入りした。この時、最終話配信上映会に参加していた耀哉役の森川智之氏も認知したようで、自身のアカウントで「産屋敷ボンバー?」と驚きを見せていた。(挙句上げられたキャスト陣との写真にも氏の手書きで「ボンバー」と白文字で書かれている)
- この爆発に耐えきり瞬時に再生した、無惨の生命力の強さを改めて思い知らせる事にもなった。なお、その爆風により四肢が吹き飛び火だるまになった無惨もろとも服も焼失してしまったが、なぜかズボンだけは残り、無惨が身を起こした時には元通りになっていた(アニメでは大腿部の布まで欠けていたが足と共に再生している)。メタ的に言ってしまえばコンプラによる配慮だが、読者からは某替え歌に因んで『鬼のパンツ』と呼ばれ、このズボン単体もごく一部の界隈で盛り上がりを見せている(少年擬態形態から元の姿に戻る際も服ごと大きくなっている為肉体の一部と思われる)。
関連タグ
浅草ニードル:元ネタかつボンバー後の追い討ち