串刺し公メスメル
くしざしこうめすめる
母は、本当に王たるを託したのか
光なき者などに
『ELDEN RING』DLC『SHADOW OF ELDTREE』に登場する人物、および中盤のボスキャラクター。
正式名称は『串刺し公、メスメル』。
「黄金樹を焼き払うもの」として炎を禁忌とする狭間の地において火を操り、かつて、影の地にて『メスメルの火』と呼ばれる虐殺を引き起こした。
この虐殺の被害者は、主に角人と呼ばれる人々であり、彼らは狭間の地では忌み子と呼ばれる人々である。それ故に、角人やその関係者からは蛇蝎の如くに嫌われている。
また、「永遠の女王」マリカもメスメルとは距離を取っていたようで、トレーラーにはメスメルがマリカに対して懐疑を抱いている様なセリフが窺える。
既存のボスキャラクター達と比較しても異様に長い手足が印象的な、長身痩躯の美男子。
ラダゴンやラダーンと同じ赤毛の髪を持ち、金色に輝く瞳はその片方を常に瞑っている。
竜や蛇をあしらった兜や防具を身に着け、その上からたなびく真紅の布と2匹の赤い蛇を纏っているのが特徴。この「有翼の蛇」は一方はメスメルの右胸から現れ右手・左足に絡みついており、もう一方は背骨付近から出て左肩を貫通しているという悍ましい状態だが、それらの蛇は善なる知性を持ち、メスメルにとっては常に友人、メスメル軍にすれば特別な象徴となる。
「串刺し公」の二つ名が連想させるように、一方の手には精巧な意匠の大槍を携えている。そしてもう一方の手のひらには紅色の炎が灯っている。
第一形態
…不躾な侵入者よ
貴公が褪せ人か。
開幕から巨大な火球を生成、突進攻撃を仕掛け、着地点に爆発を起こす祈祷「メスメルの火球」を仕掛けてくる。
それを凌ぐと、槍に炎を纏わせて炎と槍術、槍の投擲による攻撃を織り交ぜた戦闘を仕掛けてくる。
あまりディレイやフェイントを交えた攻撃は仕掛けてこないが、攻撃のスピードが速く高威力の攻撃を矢継ぎ早に叩きつけてくる。
特に、右手に炎を纏わせ突進してきたら要注意。引っ掴んだ褪せ人を槍で串刺しにしそのまま火炙りに処す拘束攻撃へと派生してくる。この一連の流れで即死級のダメージを喰らうので必ず回避したい。
また、大技の一つに炎を纏った薙ぎ払いからの五月雨突き、最後に空中から槍を突き立て周囲に無数の槍を生成する「メスメルの強襲」も回避の難しい危険な技である。
第二形態
褪せ人よ
お前を、喰らい尽くしてやる
光無き、深淵の蛇が
邪な蛇、メスメル
体力を大幅に削るとムービーが挟まれて第二形態に移行する。
黄金に輝く自らの右眼を抉り出してそれを潰すと、彼の背後の影は蛇そのもの怪しい動きを見せて、メスメルの服や防具の一部が消失する。頭部を中心に焼け爛れたような姿になり、四肢の爪は大きく伸びて悪魔じみた容姿へと変貌する。
戦闘では巨大な蛇を召喚して、蛇による噛みつき、叩きつけが交じる様になる。
また、メスメル自身が蛇となって攻撃してくるという一種のワープも行う様になる
(使役する蛇は赤、メスメル自身の邪な蛇は本人と同じく右目が抉れ色褪せている)。
第一形態同様、炎と槍の高威力・高スピードの攻撃は引き続き行われる。
なお大蛇に変身しての攻撃は彼の奥の手にして急所でもあり、蛇の頭部を叩くと通常よりも大きなダメージが与えられる。
母よ、マリカよ…
私は、呪う、貴方を…
撃破すると手に入る『串刺し公の追憶』は大槍『串刺し公の槍』か祈祷『メスメルの火球』と交換できる。
串刺し公の槍
炎攻撃力を持った技量信仰ビルド向けの大槍。強攻撃が槍を投擲するモーションとなっておりタメ攻撃で着弾時に爆発を伴う。
投擲後に手元へと即座に戻ってくるが、この槍には影の地の鍛冶技術が用いられているとのことで、流紋武器と共通する特徴となっている。
固定戦技『メスメルの強襲』は彼も振るった炎を纏った薙ぎ払いからの五月雨突き、最後に空中から槍を突き立て周囲に無数の槍を生成する大技。対多数戦にもボスの隙に叩き込むのにも適した扱いやすい戦技。
ミケラの刃マレニア:初回特典版繋がり
時計塔のマリア:過去作の追加DLCパッケージキャラ。
ヴラド・ツェペシュ:串刺し公の元ネタと思われる人物。吸血鬼ドラキュラのモデルとして有名。
『MESSMER』英文表記。
考察
本編がそうである様に、今作においてもストーリーの内容、キャラクターの設定、世界観の概要などは詳細は明かされておらず、メスメルについても全ての設定などが明らかにされた訳ではない。
その為、以下に記述された内容も、あくまでも「明らかになっているテキストからこう考えられる」と言う一説でしかない。
その上で、彼の人物像、本編での関わりなどは以下の様な事が考えられる。
本人の人物像
角人への扱いや、ゲーム本編での不遜な口調から傲慢な君主の典型の様な描かれ方がされているメスメルだが、実際の人物像はかなり複雑なものがあったようである。
テキストから見るにレラーナやガイウスと言った身内のみならず、現黒騎士達を含めたメスメル軍の兵士達や直属の配下である火の騎士達からも強く慕われており、所業に関してはゴドリックの様な悪行がクローズアップされているが、どちらかと言うとラダーンやライカードの様なタイプで生真面目な性格の人間だったらしい。
特に、ガイウスが狭間の地では迫害される種族である第一世代しろがね人である事が明かされており、そんなガイウスとは友と言えるほどの関係を築いている。
また、メスメルの本拠地では壺人の中身肉を集めている場所があるのだが、これが壺人の中身を詰めている説と壺人の中身肉を治療している説の二つがネット上で囁かれており、仮に後者であった場合、穏健な君主であった可能性が高い。
また後者の説をより補強する要素として城内に母であるマリカの故郷に簡単に立ち入れられないようにやや難解な仕掛けを施していたり、「拐われた巫女達に救いを」といった旨のメッセージが置かれていたり等、母の同胞達をどうにかしようとしていたのは確実と思われる。
『メスメルの火』と呼ばれる粛清劇だが、メスメルの防具の説明を見る限り自身を恐怖の象徴としたもので、曰く「嘆きも、呪詛も、ただ私だけを責めればよい」とのことで憎まれ役を引き受けたようである。
また自身に付き従う兵士達を虐殺に加担させているせめてもの慰めとして装備に故郷を彷彿とさせる黄金の意匠を取り入れたり、粛清を「聖戦」と称して罪悪感を少しでも軽減しようとしていた事がうかがえる。
レダ曰く虐殺された側の角人(塔の一族)は「無辜なる善などではない」、彼らもまた虐げる側でもあり黄金樹勢力に負けただけに過ぎないという。上記の壺人に関する真相を踏まえると、マリカには明確な報復の意思があり、メスメルはあくまで母マリカの願いを聞き入れたにすぎない。
一方で、彼には生まれながらに蛇が宿っていたとされ、この蛇は邪悪な存在として忌避され、母であるマリカも彼に蛇に対する封印を施して以来、彼とは関係を断絶。メスメルの影の地への派兵も実質的には流刑同然の追放である。
またこの蛇の影響で黄金樹の敬虔な信徒であった前黒騎士長と副長の離叛を招く事となり、特に戦友であった副長に裏切られた事はメスメルの心に深い傷を残す事となった。
また、マリカに対しては強い敬慕の念を抱き、彼女からの使命を果たす為に動いている一方で、かなり屈折した思いを抱いている。
というのもエルデンリングが砕けた際にマリカが狭間の地に呼び戻したのは実子である自分ではなく、遠縁の褪せ人達。
メスメルと褪せ人達には「狭間の地を追放され、狭間の地の外で戦い続ける事を余儀なくされている」という点で境遇が似通っており、母に選ばれなかったという事もあってか主人公に対して嫉妬にも似た感情を見せており、最期には母への呪いの言葉を遺している。
本編との関係
DLC『SHADOW OF ELDTREE』の発表と共に明らかにされたキャラクターであり、公式インタビューよって「マリカの子」と呼ばれる英雄の一人である事が明かされた。
しかし、DLC発表前まで、名前はおろかそれらしい存在すらも本編に登場しなかった事から、多くの褪せ人が彼の存在に混乱と驚愕した。
本編の人物との関係
マリカの子供である事以外は、かなり謎が多い。存在自体がファンから無から生えてきたと言われるほどに、本編ないし狭間の地では彼に対する記述が存在しない。
それ故に、本編の人物との人間関係は、想像するより他にない。ただし、本編やDLCの設定やテキストを照らし合わせると、以下の様に考える事ができる。
- マリカ
人物像の項目で書かれている通り、マリカとはかなり込み入った関係である事が窺える。
まず、父親は誰であるのか?と言う点が不明である。マリカはラダゴンという男の別人格を持ち、その姿でも子供を作っているが、その場合は確実にラダゴンについて言及される為、マリカは女の状態でメスメルを産んだとみて間違いないと思われる。
また、マリカは過去にゴッドフレイとラダゴンという二人の夫を持っているが、そのどちらの名前も言及されていない為、素直に受け取るならばマリカには第三の夫がいた事になる。
また、テキストから推測するにラダーンの兄である可能性が高い事から、マリカ(ラダゴン)の子供たちの生まれ順は以下の様になると思われる。
1.ゴッドウィン&モーグ&モーゴット(最初の夫ゴッドフレイとの間の子ども)
2.メスメル&メリナ(第三の夫との間の子ども)
3.ラダーン&ライカード&ラニ(ラダゴンと満月の女王レナラとの間の子ども)
4.ミケラ&マレニア(ラダゴンとマリカとの間の子ども)
しかし、第三の夫となりうる存在に関しても本編では言及されていない為、実は既存の夫との間の隠し子である。という可能性も存在する。
ただしゴッドフレイとマリカの子で赤髪の者はおらず、ラダゴンとマリカの子でさえデミゴッド(半神)と呼ばれるというのに頑なにメスメルはデミゴッドだと記載されないため、どちらの夫の子であっても謎は残る。
ただし、メスメルを撃破した際に「DEMIGOD FELLED」と表示される。
- ラダーン
「獅子の兄」と言われていることから、ラダーンの兄である可能性が高い。
ラダーンに対して何を思っていたかまでは不明だが、それがきっかけでガイウスと友になったと言われている事から、愛情であれ憎しみであれ、強い情は感じていた様である。
- メリナ
テキスト中の内容から彼はメリナとは兄妹であった可能性が高い。
本編の内容の時点で、実はマリカの子どもではないか?とも言われていたが、それが裏づけられた形になる。
メスメルとメリナは火の幻視を有する他、片目を閉じているという共通点がある。この内、メリナは狂い火ENDにて開眼し、そこには暗い色(秘色)の目……テキストでのみ語られる「宵眼」らしきものがある。
メスメルが宵眼、あるいは左目自体を持つのかは不明。だが、メリナが宵眼らしきものを持つことや、この二人が「マリカの子」にしては不遇寄りの立場であることを加味し「実はマリカ自身ではなく"宵眼の女王"の遺児ではないか」という仮説もある。かつてマリカら黄金樹勢力と戦い敗れた宵眼の女王が遺した子を、何らかの意図でマリカが自身の子と称し迎え入れた(つまり養子)とする説である。
彼らの出生に何らかの形で宵眼の女王が関与していた場合、火の幻視として「黄金樹に仇なす」呪いや宿命を課されていた可能性がある。ただし、これに関する証拠はなにも存在していないことに留意されたし。
- ミケラ
赤髪の兄と金髪の弟と言う構図でミケラとは対比的な人物であったとも言える。
また髪の色だけでなく、ミケラとメスメルには対照的な要素がいくつかある。
・次の神としてマリカに期待を寄せられていたミケラと、存在を隠された挙句、事実上は捨てられたも同然のメスメル
・マリカやラダゴンの贈り物を全て棄てたミケラと、マリカから課せられた使命を果たし続けるメスメル
・ラダーンの弟であり彼に強く惹かれていたミケラと、ラダーンの兄であり彼に思うところがあったと見えるメスメル
メスメルからミケラに関する感情は不明だが、彼らの関係性は推し測るには多少考える余地のあるところである。
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