ピクシブ百科事典は2023年6月13日付でプライバシーポリシーを改定しました。改訂履歴

目次 [非表示]

概要

中国初の第三世代MBTである98式の開発に成功したが、1999年の50周年記念パレードに間に合わせるために完成を急いだため問題点も多く完成品とはいえなかった。そこで98式の問題点を解決したのが改良型の99式戦車である。


設計はT-72をベースとしたソ連戦車のものが基礎になっているが、中国が培ってきた戦車開発のノウハウ(と後述する紆余曲折)を詰め込んでいる。また西側の技術も導入されており、装甲には複合装甲と起爆反応装甲を合わせて採用されている。


中国戦車であるものの比較的高価であるため北京軍区と瀋陽軍区にしか配備されておらず、軽量かつ小型の廉価版である96式戦車とのハイ・ローミックスの形で配備が進んでいる。


開発経緯

全ての元凶中ソ対立

中国人民解放軍における機甲部隊の始まりは国共内戦時である。人民解放軍が最初に装備した戦車は、第2次世界大戦後に日本軍が残した九七式中戦車であった。これら鹵獲戦車は旧式かつ性能不足であるものの、国民革命軍相手に大きな戦果を挙げている(「功臣号」と命名されて現在も保存されてる)。

国共内戦後これらの旧式鹵獲戦車を置き換えるべく、当時最大の後ろ盾であったソビエト連邦からT-34IS-2を中心としたソ連系戦車を導入することになる。結果として東西冷戦や朝鮮戦争への介入も重なり、300両程度の機甲戦力とその運用方法の確立に成功する。そして戦車部隊の編成が可能となった次の段階として、国防産業を建設するためにソ連にT-54のライセンス生産を求めるようになる。その後中国は1956年には59式戦車として国内に自給体制を整えることに成功する。ここまでは順調に戦力を拡大することができた人民解放軍だったが、その直後の1960年代に起きた中ソ対立によってそれらは終わりを告げる。

ソ連からの全面的な支援によって成り立っていた中国国防産業は一気に停滞してしまう。自給体制を構築したとはいえ、照準器や精密機器といった部品はソ連から輸入していたのも大きい。また技術開発のノウハウもなく59式戦車そのものの改良もできなくなってしまった(これはMiG-21をライセンス生産していたJ-7にも言える)。また加えて1970年代に発生した文化大革命などの社会的混乱も拍車をかけることになる。そして何より今まで味方だと思っていたソ連を領土を接する敵性国家として対応することに迫られたのである。

ソビエトの脅威

人民解放軍はT-54のライセンスした59式戦車に長きに渡って運用を続けてきたものの、如何せん第一世代戦車であるがゆえの限界があった。登場当時は戦力として十分だったものの、1970年代に初期型T-54はあまりに性能不足であった。当然だが早急に他国の戦車開発に追いつくべく、第三世代戦車の開発を行うべく研究機関の設立が行われた。しかしソ連機甲部隊の脅威(T-72やT-62などの最新戦車)は当時の中国軍にとって深刻な問題であり、軍内には時間のかかる次世代戦車の開発を止めてその予算でレオパルト2を輸入しライセンス生産することで、ソ連新型戦車に対抗しようという2つの派閥が存在した。国産派と輸入派の論争は数年にわたって続いたが、最終的には外貨不足など財政上の問題からレオパルト2の導入は見送られ、レオパルト2に代表される西側第三世代戦車のコンセプトを取り入れた技術実証車を開発するという派閥が勝利を収めることになる。

コンセプトの迷走

技術実証車を開発するということになったものの、その方向性においても対立が続いた。当初はレオパルト2に準じた120㎜滑腔砲(ラインメタルからの導入に失敗したため独自開発)と複合装甲を備えた試作車両を製造したものの、西側技術の水準の高さと従来のソ連系戦車の技術とは大きく異なることから、これらのコンセプトは参考にする程度で終わることになる(※ただし滑腔砲製造技術などは後に89式対戦車自走砲などに活用されている)。

その後コンセプトの対立や技術レベルの問題などで第三世代戦車の開発はしばし停滞することになる。その間に並行して進められていた既存の車両の改良(69式戦車など)などを進めてお茶を濁していたが、なんと1980年代に中東の某国からT-72を入手することになる。早速国内でリバースエンジニアリングを行い125㎜滑腔砲とカセトカ式自動装填装置、複合装甲などの技術を得ることに成功する。これらをベースにソ連戦車のコンセプトを生かしつつ、西側技術を組み合わせた戦車を作るという計画が出来上がるのであった。この計画なら従来の59式戦車のように生産も導入もスムーズに行えるメリットもある。しかしイスラエルのメルカバ戦車を参考に120㎜滑腔砲を搭載した、完全にソ連系技術から脱却した西側技術で製造する野心的な計画も浮上する(当時イスラエルと中国は水面下で軍事的に接近していたという背景がある)。大きく異なる計画内容から両者は慎重な検討が行われることになったが、最終的に前者のソ連系戦車をベースとした計画に決定されたのであった。

試作車の完成とお披露目

1989年には試作車の製造契約をNORINCOと交わし、WZ-123の開発が開始された。1996年にはプロトタイプ車両4両が完成し試験運用や適合試験などを繰り返すことになる。1997年には建国50周年の軍事パレードに間に合わせるよう関係者に通達され、大急ぎで初期量産型車両を製造することになる。そして来たる1999年10月1日に天安門広場のパレードで中国軍初の第三世代戦車98式として公開されたのである。

完成した戦車は当初98式戦車となる予定であったものの、前述のパレードを記念して99式戦車と名称変更された。こうして長い月日と膨大な数億元もの費用をかけた中国軍初の第三世代主力戦車開発は完了したのである。結果として1980年代には中ソ対立も終わっていたものの、これらがなかったら人民解放軍はソ連から戦車を輸入するだけとなって、99式戦車は誕生していなかったかもしれない。99式戦車は中ソ対立を乗り越え、ソ連とは違った超大国として君臨するまでの人民解放軍の歴史の結晶であると言えるだろう。

バリエーション

生産初期の車両は1999年の軍事パレードに間に合わせるために製造したため未完成ともいえる状態であった。その為、少しずつ生産をしながら改良を続けていくことになり、性能も大きく異なるいくつかのバリエーションが存在する。

  • 98式戦車(99式戦車)

上記の軍事パレードに間に合わせる形で生産された初期型。見分け方としては砲塔がシンプルで車体正面にT-72のようなV型装甲板があること。

複合装甲などは装備されているものの、要求された防御性能は満たせていない状態であった。また射撃統制装置や暗視装置などの信頼性にも問題を抱えている。99式戦車全体でみると少ない生産数である。

  • 99式戦車G型

上記の問題点を改善するために増加装甲と暗視装置の改良、戦時情報システムの搭載を行った改良型。防御能力向上のために砲塔前部にドイツのレオパルド2A6のような楔型の増加装甲が取り付けられており、見分けるうえで外見上の大きな特徴になっている(増加装甲の形状によっても3種類ほど確認されている)。増加装甲によって重量も54トンまで増えたが改良型エンジンを搭載したことによって最高速度はむしろ向上している。これらの改良でようやく実戦投入可能な第三世代戦車が完成したといえる。一方でその重量とサイズで運用できるエリアが限られてしまい、インフラの整備された北京軍区でしか運用できない状況となっている。

生産数に関しては非公開であるが、西側の推計で2002年から年間40両ほど新規生産されていると考えられている。2015年までにおよそ500両ほどが北京周辺と瀋陽軍区に集中配備された。

  • 99A式戦車

99式をベースとする限り重量問題の解決は困難なため、99G式の懸案である過大な車体重量の軽減を図った新しい次世代戦車。名前に99式とあるが実際は形だけ似ているほとんど別の車両である(なおメイン画像は99A式戦車である)。それもそのはず99式G型から更なる性能向上・小型軽量化することを目標にしたため、ベースとなる車両がパキスタンと共同開発したした90-II式戦車(MBT-2000/アル・ハーリド)になっているからである。最大の特徴はコンパクトで高出力なウクライナ製エンジンを搭載したことにより小型な車体になっているという点で、これによって99式G型よりも1mも短い車体になり、また全自動変速装置を搭載したことによって中国戦車で唯一超信地旋回が可能になっている。ベトロニクスもさらに改良され情報化に対応したものになっている。肝心の車体重量は公表されていないが、少なくとも99式G型の54トンよりは軽くなっていると考えられ、50トンは切っていると考えられている。2011年から部隊配備が進められ、2014年に正式にその存在が認められた。従来の99式戦車と見分けが難しいものの砲塔正面の形状が異なる点と車高が少し高い点などがあげられる。

関連タグ

第三世代MBT 中国 中国人民解放軍

J-11←同じく中ソ対立の影響で迷走しまくっていた

関連記事

親記事

第三世代MBT だいさんせだいしゅりょくせんしゃ

兄弟記事

pixivに投稿されたイラスト pixivでイラストを見る

pixivに投稿された小説 pixivで小説を見る

このタグがついたpixivの作品閲覧データ 総閲覧数: 341034

コメント

問題を報告

0/3000

編集可能な部分に問題がある場合について 記事本文などに問題がある場合、ご自身での調整をお願いいたします。
問題のある行動が繰り返される場合、対象ユーザーのプロフィールページ内の「問題を報告」からご連絡ください。

報告を送信しました