原初の国産戦車
59式戦車(59式主戰坦克・ZTZ-59・WZ-120)は、冷戦初期の1959年に実用化した中華人民共和国初の国産戦車。第1世代主力戦車に区分される。
ソ連製T-54中戦車のライセンス生産型で原型と同等の外見・性能を有し、後の69式や79式、80式や88式といった中国独自の発展型の基礎となった。
総生産数は1958年から1985年までの間に約10,000輌に達し、過去の対外輸出が影響して未だ多くの国家で現役となっている。
主要な型式・派生型
- 59式 / WZ-120:100mm砲搭載、エンジン出力520馬力の基本形。
- 59-II式 / WZ-120B:主砲が英国製のL7 105mm砲のライセンス生産型に換装され、火力が大幅に向上した型。
- 59D式 / ZTZ-59D:新型の射撃管制装置・暗視装置・長砲身化された105mm砲を搭載、爆発反応装甲を装着、エンジン出力580馬力の型。
- 59G式 / ZTZ-59G:砲塔を125mm滑腔砲搭載の96式戦車のものに換装した型。
- 69式 / WZ-121:ソ連製T-62戦車の技術を取り入れた改良型。人民解放軍では採用されなかったが、改良型の69-II式は2,000輌以上が輸出される成功を収めた。
- 79式(69-III式) / WZ-121D:69式にL7 105mm砲のライセンス生産型を搭載した型。主砲のライセンス契約の関係で輸出が禁じられ、500輌程度が人民解放軍に配備されるのみに終わった。
- 88式 / ZTZ-88 / WZ-122A:79式を原型に輸出向けとして開発されるも失敗した80式を原型とする型。暗視装置やレーザー測距儀を搭載するほか、小型転輪化されている。
- 96式 / ZTZ-96:該当記事を参照。
運用・戦史
59式は人民解放軍に6000輌程度が配備されていたほか、ベトナムや北朝鮮など東アジアの共産圏国家、イランやイラクなどのアラブ圏国家、スーダンやチャドといったアフリカの中小国に輸出されており、世界各地の紛争で度々登場している。
中国以外で59式を最も多く運用していた国はパキスタンで、その数1,200輌。
印パ戦争で実戦を経験した。
また、第二次スーダン内戦ではスーダン政府軍が、第一次コンゴ戦争ではザイールの大統領特殊師団が運用していた。
2000年代に入り、中国国内では後継の96式戦車や99式戦車が実用化したため退役が進められたものの未だ数百輌が現役のほか、一部は戦車部隊から砲兵部隊へ引き渡され、自走砲として運用されている。
関連タグ
62式軽戦車:中国初の純国産戦車。59式の構造の大部分を受け継ぐが、より小型・軽量となっている。