解説
戦車に対抗できる兵器、いわゆる対戦車兵器として最も有力なのは、一般的には戦車そのものとされる。
しかし、第二次世界大戦期、既に戦車の増産には全力を注いでいる交戦各国では、自軍の歩兵部隊が敵戦車に対抗できず一方的に蹂躙される、あるいは自軍戦車が敵戦車に対して数的不利といった状況が多発。
この問題を解決するため、戦車と同等の火力・機動力を持ちつつも、低コストで調達できる兵器として誕生したのが対戦車自走砲だった。
戦車との違い
戦車と対戦車自走砲の違いは、主にその防御力にある。
戦車は強固な装甲によって敵の攻撃に耐えることが出来るが、対戦車自走砲は低コストを実現するため装甲が貧弱、あるいは部分的に装甲が無いこともあるため、総じて被弾に弱い。
このため、対戦車自走砲は前線で敵戦車と真正面から戦うことには適さず、待ち伏せで不意打ちを狙うような運用が主流だった。
顛末
FGM-148ジャベリン | 対戦車ミサイルを発射する歩兵戦闘車 |
大戦終結後の冷戦初期も、対戦車自走砲は開発され続けていた。
しかし、1950年代から60年代にかけて対戦車ミサイルが登場。
これを装備した歩兵部隊や軽装車輌が戦車への対抗能力を得たことに伴い、対戦車自走砲は廃れた。
駆逐戦車?
広い意味では駆逐戦車も対戦車自走砲の一種と捉えることができるが、一般的な駆逐戦車は対戦車自走砲と異なり厚い装甲を備えているため、状況にもよるものの戦車との正面戦闘が可能という違いがある。