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カール自走臼砲

かーるじそうきゅうほう

マジノ線攻略にあたっての「ドイツの秘策」その1。この巨大な臼砲でコンクリート要塞を「粉砕」し、突破口を作ろうという思惑のもと開発された。巨大な臼砲を移動させるためだけに作られた『対要塞専用自走砲』である。
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マジノ線を粉砕せよ!

第二次世界大戦前夜、ナチスドイツではマジノ線攻略に備えて対策が練られていた。

それに対するラインメタル社の提案が巨大な臼砲を使った自走砲である。


当初は戦場近くで組み立てる大砲として開発されていたが、この準備が非常に大変だったので自走砲にすることとされた(大砲メーカーのラインメタルが開発しているのはそのため)。


過去に例のない程巨大な自走砲だったために開発は難航し、完成は1940年秋となった。

製造台数は6台で、これはマジノ線攻略に必要な数から逆算されたものだと言われている。

しかし、完成する頃にはフランス侵攻は終了しており、実戦投入には待ったがかかる事になった。


臼砲とは

砲身長が短く、口径の大きな曲射砲。

装薬の爆発圧力が小さい(弾速が遅い)が、一番恐ろしいのは「砲弾の重さ」からくる破壊力である。特にカールは60cmもの超大口径を誇る

ついでに言うと命中精度も低いのだが、主な目標は城塞なので問題はない(目標が移動しない=当てやすい)。


技術が発展するにつれて榴弾砲などで代用がきくようになり、また射程が短いため敵に補足されやすい(敵に近い)欠点が目立つようになったに結果廃れてしまった。


激闘のセバストポリ要塞

さて、フランス侵攻作戦では活躍の場が無かったカールだが、ようやく実戦の機会が訪れた。

独ソ戦争の始まりである


まずは1門がブレストリトフスク要塞攻略に投入され、さらにセバストポリ要塞包囲にも別の2門が投入。

1944年のワルシャワ蜂起鎮圧にも参加しており、破壊力に優れた臼砲を生かして活躍した。


カールの弱点

砲弾は巨大だったが砲口初速は秒速220メートルと、目で追える程度の低速で、最大射程は4.3kmに過ぎなかった。このような低初速砲となったのは60cmの大口径で砲システムを自走可能な重量に収めるために仕方のないものであった。

しかし、カールの射程の短さは度を越しており、下手をすると人力で運搬されるレベルの簡易な迫撃砲の射程にも負けており、改善が望まれた(参考までに、12cm迫撃砲GrW42の最大射程は6km)。

この射程距離はあらゆる国のほとんど全ての野砲(例えばソ連のZiS3 76mm 野砲は射程が13kmあった)よりもはるかに短射程な上に自走速度も10km/hしかないため、接近する前に見つかったら完全に詰みである。

このことから、要塞の攻略に使うといっても、既に勝負が決して周辺から敵が一掃されたような状況でないと使えないため、兵器としての使い勝手は最悪であった。前線に輸送されたものの結局投入されず、そのまま送り返されてくることが何度もあったという。


この極端に短い射程の問題は、最終的に後述の54cm砲に換装する案により解決されるが、それ以前にも砲弾の改良が試みられ、重量・威力を減らす代わりに射程を6.6kmまで延長した軽量長射程砲弾も開発された。


ほかにも自走砲といいながら、非常に低い機動性も問題だろう。

せいぜい10km/h程度でしか走行出来ないなら、態々自走させるより分解して運んだ方が早い


砲架の構造上、左右の旋回がはわずか6度しかなく(これも砲架を軽くするためだった)、目標を変えるために車体ごと旋回する必要がある点も見逃せない。旋回の度に100トンを超える重量が地面に負荷をかけるため、はまり込んでしまう危険性に常に付き纏われる。当然、はまったら一巻の終わりである。現場泣かせというか、もはや存在自体が現場への嫌がらせのような兵器と言えるだろう。


実際、移動の際は

・おおまかに4分割してトラックで運ぶ(短距離)

・そのまま専用貨車で輸送する(長距離)

という過程が必要で、移動能力は方向転換のためと割り切る程度だった。


総重量は124t。

超重戦車『マウス』程では無いものの、それでも想像を絶する重さである。

製造6門のうち4門は配備部隊まで判っているが、残り2門については現在も不明。


『機材041』

これが新設計の長砲身54cm臼砲に換装するという案である。

気になる射程距離は10kmと大幅向上しており、やたら移動に手間のかかる車両を前線に近づけなくてもよくなった。


これはさすがに砲身だけが発注され、新造される事はなかった。

一説によるとこの砲身はテストだけで戦力にならずに終わっている。

そうでなくても引き渡しが3門分だけでは役に立つ訳もないのだが。


12cm「GrW42」迫撃砲

もともとはソビエトから鹵獲されたPM-38迫撃砲で、ドイツはこれをコピー生産して配備した。

特徴なのは丸い底板で、四角いドイツ式迫撃砲とは一線を画している。

一部の仕様が変わっただけなので、もちろん分捕った弾薬も使用可能。

かのドイツがコピーするという事から想像されるとおり、非常に優秀な迫撃砲である。

歩兵部隊では「支援砲を全部コレに替えた」という事例も。


巨砲の現在

合計6門しか完成しなかった自走砲ではあるが、1944年に鹵獲されたものがロシアで展示されている。


ガールズ&パンツァーでも活躍

ガールズ&パンツァー劇場版』で後期型(=生産型)が登場する。

といっても、試作型とは構造違いにより見た目上、転輪の数が違う(8個⇒11個)位なのだが。60cm砲装備。


文科省で使用を許可するか協議中であったが、大学選抜チーム大洗女子学園と試合するにあたって学園艦教育局の辻廉太が手を回し、大学選抜チームに使用許可を出した。その戦車ではありえない爆撃を彷彿させる規格外な砲撃の威力に大洗女子チームは苦しむことになる。

上記の威力の他に、装填は自動で行うため早めに連射が出来る等、反則に近い性能を持っている。周りにクレーンらしく重機や設備が無いにもかかわらず、どうやって2t以上ある砲弾を運搬し装填位置に設置しているのかは不明。


……というよりも、これを戦車として認めていいのか自体曖昧である。

実際に劇中でもその点への指摘がされていたが本車両の使用を望んでいた人物は「考え方次第」と華麗にスルーしていた。

また、これ程の巨大な砲弾が戦車に直撃した場合の安全性にも疑問が残る。


劇中では干上がった河川の石橋が架かった中州に陣取り、M26パーシング3輌に守られながら砲撃し、その砲撃でパンターG型2輌、クラーラT-34/85を撃破する。

しかし、どんぐり小隊の継続高校BT-42の奇襲を受けてパーシングが河底に誘い込まれ、その隙にカメさんチームアヒルさんチームアンツィオ高校が石橋を渡って攻め込まれてしまい、最後は横転していたCV33をカタパルトの要領で飛び越えてきたヘッツァーの砲撃を砲身の中に受けて撃破される。


コンバットチョロQ』シリーズでの活躍

初代PS「コンバットチョロQ」とGBA「コンバットチョロQ アドバンス大作戦」に登場。

流石にデフォルメ戦車ゲームであるコンバットチョロQシリーズとあれば普通の戦車のように動き回るのかと思えば(初代に限っては)そういう訳でもない。

「コンバットチョロQ」ではバトルアリーナ「ボスクラス」で交戦するボスタンクの1体として登場。基本的に動き回ることはなく、砲身を上に向けて砲撃。しばらくすると砲弾がパラシュートで降下してくるという変則的な戦い方をする。

このパラシュート爆弾は発射時点でのプレイヤーの位置を正確に捕捉して着弾するため、動き回らなければ回避は不可能。さらに一定以上ダメージを受けると移動するようになり、水平射撃も併用してくる。

「コンバットチョロQ アドバンス大作戦」では敵タンク「カール自走砲」として登場。「60センチ砲」と「強化キャタピラ」で再現できる。

搭載する60センチ砲は曲射タイプの武器のため障害物越しにも攻撃可能、オマケに低確率で敵をクラッシュ(一撃必殺)するという強力な武器。また車体の強化キャタピラも砂地での行動力に優れる。耐久力は少なめ。

敵タンクとして登場する際にはこちらもクラッシュ効果を持つ長射程武器レーザーライフルを搭載している。


World of Tanks』の場合

普通に考えて、これだけの制限がある車輌を、自車輌として使用する場合は様々な制約が生じる。特に移動の際には上記の通りの制約から、本車輌では殆どの戦場で普通以上の活躍は期待出来ない。と云うか固定砲台相当にしか使えない。

その為に当初は通常に導入する事さえ期待薄だった。云い換えると略導入は望み薄だった。しかし、エイプリルフールネタで本車輌が導入された事がある。但し、現在の技術に照らし合わせると異常とも云える低い解像度での実装であり、"ドット絵実装"と迄云われている。

マインクラフトを彷彿とさせる低解像度の専用ステージ(オブジェクトのモチーフやSEはファミコンの戦車ゲーム「バトルシティ」)でのみ出撃可能だった。勿論現在は全ての状況下に於いて本車輌を入手・導入出来ない。


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