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ヘッツァー

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へっつぁー

第二次世界大戦期のドイツ製駆逐戦車。さして高性能ではなかったが、必要十分な火力・防御力を有しつつ軽量小型で生産性に優れた。

解説

 ヘッツァー(Hetzer:勢子)は、第二次世界大戦期のドイツ駆逐戦車。4人乗り。

 38式駆逐戦車(Jagdpanzer 38)としても知られる。特殊車輌番号はSd.Kfz.138/2

 さして高性能ではなかったが、必要十分な火力・防御力を有しつつ軽量小型で生産性に優れ、大戦末期のドイツ兵器としては成功と評されることも多い有力な兵器だった。

 なお、ヘッツァーの名前は本来ならE-10計画の次世代軽駆逐戦車に与えられたニックネームだったが、何らかの過程で混同されてしまった結果として38式駆逐戦車の通称となった。

開発

ドイツの突撃砲は悪魔だ…我々はまったく歯が立たない(´・ω・`)ドイツの突撃砲は悪魔だ…我々はまったく歯が立たない(´・ω・`)byうるぶ一旦休憩一旦休憩byブロブくん
III号突撃砲新型38(t)戦車

 1943年11月26日、III号突撃砲を生産するアルケット社の工場が連合軍の爆撃により破壊され、生産停止状態に陥ってしまう。

 そこで急遽、チェコスロバキアBMM社が保有する工場に対してIII号突撃砲のライセンス生産が打診されたが、小型の車輌しか生産できない設備しか保有しておらずこれは不可能とされた。

 この報告を受けたドイツ総統は、BMM社が提案した13トン級軽突撃砲の生産に同意。戦闘重量13t以上、装甲は薄くとも可、路上最大速度60km/hの軽駆逐戦車という要求で開発を命じた。

 BMM社はこれの開発に際し、II号戦車L型「ルクス」との軽偵察戦車競争試作で不採用となった「新型38(t)戦車」(38(t)n.A.)の駆動系部品を流用。

 1943年12月に設計完了、1944年3月には試作車3輌が完成。4月には量産が開始され、1944年7月から実戦投入された。

特徴

Jagdpanzer38(t)  "HETZER"Jagdpanzer38(t) "HETZER"byボクは小学生駆逐戦車ヘッツァー駆逐戦車ヘッツァーbymakuraren9
ヘッツァーせ ま い

 乗員4名が搭乗、機関室まで一体となる完全密閉の車内は全周囲を覆う傾斜装甲に圧迫される形となっており、ドイツ戦車としては非常に狭かった。

 主武装は口径7.5cmの「PaK 39 L/48」で、搭載には戦闘室容積の妨げとならぬよう前面装甲板に張り出しを設け、この中に砲架を収容するという方式が採られた。これは同時期に開発されたIV号駆逐戦車と同じだが、戦闘室容積の都合上、主砲は車体右手に寄せて配置された。

 結果、右側のサスペンションに850kg余分な重量が加わり、車体前部が常に10cm程沈んだ状態となり、加えて車体右側が死角と化し、しかもこの砲は右からの装填を想定して設計されていたが、位置関係的に左からしか装填できないなど、乗員から不評を買う要素が多かった。

 副武装としては、戦闘室上部に車内からの操作が可能なMG34またはMG42(7.92mm機関銃)が搭載された。

 搭載エンジンの「プラガAE4ストローク」直列6気筒液冷ガソリンエンジンは出力160馬力と貧弱で、履帯の幅が狭いこともあり不整地における走破性はさして良好なものでは無かったが、IV号駆逐戦車よりも8トン軽いことなどが影響し、速度性能ではわずかに上回った。

 なお、38(t)戦車とは駆動系の形状が似ているものの、駆動輪の歯数や転輪の径、履帯の幅やシャーシのサイズが違う上、そもそも部品の互換性が無いことから、38(t)戦車からの改造車輌は存在していない。

運用・戦史

 1944年7月からドイツ国防軍陸軍直轄の戦車駆逐大隊をはじめ、主に歩兵・猟兵・騎兵、国民擲弾兵師団の戦車駆逐中隊、SS装甲擲弾兵師団に配備されたほか、75輌がハンガリー軍に供与された。

 生産途中で順次改良が進められたため、生産時期によって細部に変化がみられる。

 欠陥こそ多かったが非常に安価で生産性良好、複雑な機構が少ないことから稼働率も高い状態が維持され、1945年5月の敗戦までにBMM社とシュコダ社で総数約2,800輌が生産された。

 派生型としては火炎放射戦車も生産され、1944年12月のアルデンヌ攻勢時に約20輌が投入されている。

 各個に前進して歩兵支援を行った場合には大損害を被りやすかった一方、小隊単位で運用し待ち伏せ戦法を徹底した部隊では大きな戦果を挙げており、時にはソ連赤軍におけるWW2実用戦車として最強のIS-2重戦車さえ仕留めた。

19451945byMaZJagdpanzer 38(t) Hetzer 冬Jagdpanzer 38(t) Hetzer 冬byあじたろう
IS-2を狙う待ち伏せ

余談

  • 戦後のヘッツァー

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 第二次世界大戦の終結後もチェコ陸軍がST-Iとして採用、シュコダ社により1950年までに158輌が作られ使用された。

 また、1946年にはスイス陸軍が戦闘室レイアウトを改善しIII号突撃砲用の主砲に換装したG-13を採用している。この型式は砲身の先端にマズルブレーキが付いているのが特徴。

  • へったん

 シンプル・コンパクトでとげとげしい要素が少ないため、かっこいいというよりはかわいいという風に扱われることが多いヘッツァー。一部界隈ではアイドルのごとく扱われ、『へったん』とかいう愛称で呼ばれるらしい。

 なお、これは海外でも同様であり、その人気は世界的に確固たるものとなっている。

登場作品

映画

 鹵獲車輌が米軍の駐屯地内に停車していた。

 ちなみに、戦争映画ではG-13が無改造のままヘッツァー役で登場することが多い。

ゲーム

  • コンバットチョロQシリーズ
    • コンバットチョロQ:序盤のステージの宝箱で入手可能だが、後のステージで敵としても登場する。ゲーム中のタンク図鑑では「38t戦車がベース」と表記されていたが、一部の攻略本で「38トン戦車がベース」と誤って書かれている。
  • 新コンバットチョロQ:「国王守備防衛戦」でプロトン国王の隠れ家を強襲するQシュタイン軍兵士として登場。ステージ中では雑魚敵だが台詞もある。バトルアリーナ「バトルクロス」で対戦し、勝利すると使用可能となる。自走砲専用「H」カテゴリーの武装を装備できる。

 ドイツ駆逐戦車として登場。

 ドイツ駆逐戦車として登場。

アニメ

 大洗女子学園戦車道部保有の38(t)戦車を原型とした改造車輌として登場。カメさんチームが使用する。

 前述の通り部品の互換性が無いため、史実では38(t)からの改造例は存在しない。劇中でも無理矢理な改造との言及がある。

 そのためか、PSV版ゲーム「戦車道、極めます!」では台詞上でこそ「ヘッツァー」と呼称されるが、ユニット名は「38(t)改」となっている。

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