概要
正式名称は「巡航戦車Mk.Vカヴェナンター」。
巡航戦車Mk.IV(A13Mk.II)の改良型として開発された。
「カヴェナンター」とは、清教徒革命時に議会派と同盟したスコットランドの勢力を意味する。
本車以降、イギリス軍の巡航戦車には「Cruiser Tank」の頭文字である「C」で始まる名称が与えられることとなった。
(巡航戦車のカテゴリーが廃止された戦後も、センチュリオン、コンカラー、チーフテン、チャレンジャーと「C」で始まる名称が継続して使用されている)
軍は「出来る限り車高を低く抑える事」を要求していたため、それを満たすべく全高の低いメドウス水平対向エンジンが採用された。
しかし搭載スペースにあまりにも余裕がなかったため、後部のエンジンに対してラジエーターと冷却用インテークが前部に設置されるという特異なレイアウトとなり、これが冷却能力不足という欠陥を招くこととなってしまった。
またこのラジエーター配置のため配管が車内を通る事になり、稼働中は車内温度が40度を超す事態を招いてしまい「エンジンより乗組員が先にオーバーヒートする悪夢のメカニズム」とまで酷評されたという。
そういう事から本車は訓練用としてしか使えないという欠陥戦車のレッテルを貼られることとなってしまった。
しかし、それでも第二次世界大戦の開戦が迫っていたこともあってイギリス軍は戦車の数を揃えることに必死だったため、欠陥持ちであるにも拘らず本車は試作車のテストすら行わず、何と1700輌も生産されたのであった。
当然欠陥持ちのため実戦に参加することは無く、訓練用としてその生涯を終えたのであった。
本車のコンポーネントを流用して実用的な戦車として開発されたのが「クルセイダー巡航戦車」である。