概要
ジオン公国軍に所属するベテラン軍人。階級は大佐。
大恩あるサハリン家に絶対の忠誠を誓い、ギニアス・サハリン少将の元で副官を務める。
アプサラスの開発に没頭するギニアスを、軍令面で補佐代行していた。
東南アジア戦線において地球連邦極東方面軍と度々交戦し、ケルゲレン脱出ルート確保を目的とした戦闘では文字通り鬼神の如き戦いを見せ、終始08小隊を手玉に取ると壮絶な最期を遂げた。
『機動戦士ガンダム MSV-R 宇宙世紀英雄伝説 虹霓のシン・マツナガ』にも登場しており、1週間戦争で功を挙げたことが判明している。
人物
個性的な髪型に三白眼で骨ばった顔つきの強面、恰幅が良いと表現するよりもゴツいと表現した方が適切な、屈強な体型をした男性である。
性格は軍人としては実直で鷹揚自若、見た目通りの武人気質。
私人としては礼節を弁えた紳士的な人物で、その心には優しさと強さを秘め、他人の心の機微にも敏感である。
黒いカスタムのノーマルスーツを着用して自らモビルスーツ・戦闘機を駆って戦線に立つ機会も多かった。
高級将校でありながら気さくな面を持ち、部下からの信頼も篤い。
マサドという副官がいたが、08小隊との交戦時に戦死している。
幼い頃から仕えて面倒を見ているアイナには忠誠心以上の父性愛にも似た感情を寄せており、彼女からも親代わりと慕われていた。
彼女のためなら自らの命を投げ出すこともいとわない覚悟を持ち、後の鬼神の如き戦いぶりがそれを物語っている。
パイロットとして
高級将校クラスの地位にありながら、モビルスーツ以外にも戦闘機の操縦技術に優れる。
その腕はジオン公国軍でも屈指のもので、後述するケルゲレンの脱出ルート確保戦においてサンダースからも一目でエースと認識されたほど。
指揮官としての戦術眼も優れ、戦場での駆け引きにも熟達している。
地球に降りる前の少佐時代には、専用にカスタマイズされたザクⅠQ型を乗機としていた。
アニメにおける戦績
第3話「信頼への限界時間」
初登場回。
06J型ザクⅡで出撃。
シローの陸戦型ガンダムを相手に、機体性能で劣るザクⅡで互角以上の勝負を演じた。
第4話「頭上の悪魔」
ドップを操縦し、アイナが同乗する試作型アプサラスを援護する。08小隊と交戦時にシローの陸戦型ガンダムのマシンガンに被弾して撤退する。
第7話「再会」
行方不明になったアイナの捜索のため再びドップを操縦し、ジェットコアブースターをドッグファイトで撃墜。
第10話「震える山(前編)」
鉱山基地防衛戦において空襲するジェットコアブースター部隊を相手に、グフカスタムのヒートワイヤーを駆使して3次元的な戦闘を披露。
見事な空中戦を展開した。
ケルゲレンの脱出ルート確保戦において、陸戦型ガンダム3機と量産型ガンタンク3機が相手という圧倒的不利な状況にもかかわらず、ヒートワイヤーを巧使した立体的な機動でサンダースの読みを外して量産型ガンタンク1機を瞬く間に撃破。
※アンカリング中で動けないガンタンクの弾倉のみを攻撃
続く量産型ガンタンクの2機目もガトリング砲斉射で起こした土煙によるかく乱と、密集した建造物による視界の悪さを利用してカレン機を出し抜いて突き飛ばし、コックピットへヒートサーベルを突き立てて撃破した。
※ガンタンクの4連装ガンランチャーを踏みつけて反撃の手すら封じていた
また、この時カレン機のビームライフルとサンダース機のキャノン砲を破壊しており、ケルゲレンへの脅威を減らしている。
残る量産型ガンタンク1機も撃破するべく砲撃を掻い潜って接近、崩れた高架をひっくり返すパフォーマンス的な挙動でシローに精神的な威圧をかける。
ガンダムEz8による正面からの銃撃をものともせずに肉薄して突き飛ばし、避けることを想定した射撃もあえて微動だにせず躱してみせた。
ヒートサーベルによる連撃後、ガトリング砲でハッタリ(Ez8が弾倉を交換する際の隙を撃つフリ)を仕掛けてヒートワイヤーでEz8の左腕を動作不能にする。
その後、Ez8が動作不能の左腕でヒートサーベルの連撃を器用に防ぎ続ける様子から、パイロットが動体視力の良さ=反射神経の良さに優れていることを看破。
あえてヒートサーベルを投げ捨てることで注意を逸らし、この隙を突いてヒートワイヤーの電撃を浴びせて戦闘不能に追い込んだ。
その後は機能を停止したEz8をあえてパイロットを生かした状態で盾にすることで、駆けつけたカレン機とサンダース機に攻撃を踏みとどまらせ、さらなる時間稼ぎに打って出る。
その最後
再起動したEz8の反撃を難なく受け止めるが、偶然にもそのパイロットがアイナの想い人であることを知ってしまい動揺。
この一瞬の隙でグフカスタムの頭部に一撃を受けてしまい、不覚を恥じつつもその場を離れる。
追いすがるEz8と再び相見えると、互いに暫し膠着状態に。
この間に自身の数奇な運命を顧みると覚悟を新たに突撃を仕掛け、自らを囮とする事でEz8の肩越しに射撃を敢行。
コックピットごとビームサーベルで切り裂かれながらも、最後の量産型ガンタンクを撃破し、見事任務を全うした。
死の間際、ノリスは笑みを浮かべており、脳裏に浮かんだのは出撃前に言葉を交わしたアイナの姿だった。
己が命をも犠牲にしながら目標であるケルゲレン脱出の脅威(量産型ガンタンク)全てを排除し、大局を制したノリスの最期にシローも自らの敗北(事実、勝負に勝って試合に負けたようなもの)を認めざるをえず、横たわる機体に向かって敬礼をしている。
最終的にケルゲレンは撃墜され、その死闘が報われることはなかったものの、シローが後にアイナの命を救うこととなった点は救いだったと言えるのかもしれない。
小説版では
原作とほとんど同じポジションにいるが、人形のように表情のなかったアイナが昔のように表情豊かになったことを喜び、安心を感じる描写がされている。
アニメの「震える山(前編)」にあたる最後の出撃では自身の部下二人を率いてグフフライトタイプに搭乗し、連邦の陸上戦艦ビッグトレーを撃破する作戦を実行。
こちらも最後はアニメと同様にシローのEz8のビームサーベルによって切り裂かれてしまうが、すんでのところでヒートサーベルを投げつけてビッグトレーの撃破に成功した。
名台詞
「敵ながらやるではないか! だが、これまでだ!!」
「私の存在はこれからもサハリン家と共にあります」
「人の生は何を成したかで決まる」
「お前の負けだ。手伝ってやれ」
「自分とて、木の股から生まれた訳ではない。」
「怯えろ…!竦めぇ!モビルスーツの性能を活かせぬまま、死んでゆけ!」※ゲームだと「モビルスーツ」が「マシン」に変えられている事も。そのままだとモビルスーツ相手にしか使えないからと思われる。
「動きは派手だが… タンクがガラ空きだぞ!」
「アイナ様。合流出来そうにありません。自分は…死に場所を見つけました…!」
「目の良さが命取りだ!」
「貴様が!?」
「アイナ様の想い人と出逢う……面白い人生であった。だが…負けん!」
「勝ったぞ!」
人気と影響
劇中、任務に忠実な誇り高い武人でありながらアイナに想い人がいる事を見抜いたり、アイナから親代わりと言われてはにかんだりする等意外な一面や、終盤の戦闘で見せた圧倒的強さも相俟ってキャラクターとしての人気も高い。
彼自身の人気も然る事ながら、彼がランバ・ラル以来絶えて久しかったグフに搭乗するエースパイロットであったこと。
および「震える山(前編)」での八面六臂の活躍により、それまでOVA作品や戦記作品では主役同然に扱われていたザクやドムに比べ、今ひとつ日の目を見なかった感のあるMSグフが再評価される一つの契機となり、以降の作品ではグフをエース専用機として扱うことも多くなった。
また、『スーパーロボット大戦シリーズ』においても(『GC/XO』を除いて)登場する全作品で味方にできるという、破格の扱いを受けている。
役者事情
市川治氏が担当。ゲーム作品でも演じ続けていたが2009年に逝去されたため、『ガンダムvsガンダムNEXT』で演じたノリスが市川氏の遺作となっている。
長い間代役は立てられていなかったが「ガンダムジオラマフロント」にて間宮康弘氏が演じ、「機動戦士ガンダム アーセナルベース」でも同氏がノリスを演じている。
ただし、「バトルアライアンス」や「モンスターストライク」などでは引き続き市川氏のライブラリー音声が使用されている。
市川氏は前作の「機動戦士ガンダム0083」でもニナの上司にあたるオサリバン常務を演じていたが、こちらはシーマと裏取引を行い、最期は公になる前に自殺するなどノリスとは真逆の人物である。