概要
CV:上恭ノ介/デリック・ドーバー(『復讐のレクイエム』英語版)
『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』にて、ガルマ・ザビ大佐率いる地球方面軍所属、欧州方面制圧軍の指揮官として登場。階級は少将。
地球降下作戦最初期の攻撃目標であるオデッサ攻略作戦より参戦、欧州方面制圧軍としてヨーロッパ一帯の制圧に貢献する。
その後、ジオン軍は地球上の主要都市の大半を手中に収めるも、連邦軍のV作戦による新型モビルスーツ「ガンダム」の活躍や、急速的に行われた地球侵攻作戦が裏目に出てしまい、ジオン軍は序々に押されてゆく。
そしてこの戦争のターニングポイントであるオデッサ作戦が実行され、ヨーロッパが再び戦場になると、ジオン軍指揮官として防衛線に参加する。
敗北が決定的になると、旧友であるギニアス・サハリンを頼るべく欧州を脱出する。
この際に追撃する連邦軍を振り払う為に南極条約で禁じられた核兵器を用いたという説がある。
本人曰く「ただの気化爆弾(破裂させ拡散した燃料に着火する爆弾)」と言っているが、陸戦型ジムが蒸散するほどの爆発力とその後の衝撃波の規模から核兵器である可能性が高い(ただし公式でも明記されていないため注意)。良く言えば柔軟な現実主義者、悪く言えば手段を選ばない危険人物でもある。
欧州を脱出するも逃亡先のギニアスには自軍の位置を悟られるとして難色を示され、ギニアスの本拠地であるラサ基地に向かっているということからギニアスの怒りを買い決別される。
それでもなお旧友の自分を助けてくれると信じ、欧州からギニアスの軍がある東南アジアへと移動、別働隊のガウ級が第08MS小隊と遭遇する・シロー・アマダの搭乗するガンダムEz8に追撃されるなどのアクシデントがあるが、前者は先手を取っていたためシローとの駆け引きで離脱、後者は奇襲と心理戦をしかけて時間を稼ぎ離脱したため、人員・兵器共に軽微な損害で離脱することに成功している。
無事にラサ基地へとたどり着くも、ギニアスは先行していた秘書・シンシア大尉への尋問を行い、ユーリがアプサラス開発計画の中止命令の要請を行おうとしていることを知る。こうして、ギニアスが口封じの為に基地入り口に爆弾を仕掛け、宇宙へと向かおうとしたユーリは部下諸共謀殺される(皮肉にも、この時の爆煙によってラサ基地の位置を知られてしまう)。
なお漫画『U.C.0079+α』ではこの爆発から脱出し、ギニアスを襲撃する。毒薬を飲ませてしんがりを強要するも、乗艦したケルゲレン諸共連邦の総攻撃を受けて戦死。
オデッサ作戦当時を描いた『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』においては過去作からのゲストキャラとして登場し、オデッサ撤退前の彼の動向の一端が描かれている。
台詞もあり、主人公のイリヤ・ソラリとも古くからの仲のようで夫のダルトンの死を悼んでいた。ガンダムの凄まじい性能とその量産型であるジムが戦線に投入される事の危険性を認識しており、イリヤにジムの奪取という任務を依頼している。日本語版では『第08MS小隊』と同じく上恭ノ介氏が演じている。
人物
細かい事を気にせず、軍服を着崩すなど豪快な性格で豪放磊落という言葉が似合う人物である。
部隊では部下思いの司令官で隊員からの信頼も厚く、指揮官としての能力も高い。
またこの戦争に対して自分なりの考えを持っており、地球圏を奪還しようとする連邦軍に対して、「未来の無い玉ッコロにしがみ付いていろ」と漏らしている。
また彼には前掲のシンシアという美人秘書(愛人とも)が付いている。当時指揮官に秘書が付く事は高位の指揮官しか許されてはおらず、彼がジオン軍の中でも上位の指揮官であったと言われている。
もっとも、旧知のギニアスには悪く言えば「無遠慮」なその性格を疎ましく思われていたようで、結果として友人扱いはほぼケラーネの側のみの一方通行であった。更に最初の頃はアプサラスIの飛行試験の最中、ギニアスに対して「インテリの自信過剰は始末が悪い」「アイナを脱出させろ(実質アプサラスを連邦の勢力圏内で放棄させようとする)」「わかってるよ、天才くん」等と言った挑発的・侮蔑的な発言が多い。アプサラス計画にも懐疑的な態度を示しており、計画を中止に追い込もうとするなど、かなり対立的な雰囲気が強い。
また、ギニアスの妹であるアイナもケラーネのことは苦手であった模様で、パーティの際にも嫌悪の表情を露わにし、無思慮な態度をされたことに腹を立てている。退出後には「兄の立場だったら殴っている」とまで言われており、非常に嫌っていたことが窺える。一方で、ユーリはアイナとギニアスに嫌悪を持たれている事を気付いていながらも「フン、面白みのない兄妹だぜ。」と吐き捨てているため、純粋な友人関係ではなかった可能性が高い。