概要
『機動戦士ガンダム第08MS小隊』のファンアートで見られる、シールドを地面に突き刺し銃架として、その上から180ミリキャノンで砲撃する撃ち方の事。
後述のように膝立ちで構えているものも見られるがより正確には立ったままで行う。
呼び方の由来は、同作のOPテーマ「嵐の中で輝いて」から。
08小隊に登場する機体のシールドは白兵戦を前提に設計されているため、岩盤上でも簡単に突き立てられるようシールドの先端が鋭利になっているのが特徴である。ガンダムに限らず量産機でも輝き撃ち、及びそれに近い動作は行われている。
後述の事情が広まったのもあって単にを構えたポーズやそれに似たポーズをこう呼ぶこともある。
実際はどうなのか?
存在しない
08MS小隊に輝き撃ちは存在しないと主張する者は多い。
- よく引き合いに出される輝き撃ちの由来になったOPのワンシーンではガンダムは膝を立てていない
OPに膝を立てて180㎜キャノンを構えているシーンはあるが盾は存在していない。
- 180mmキャノンもシールドに乗せていない
ちゃんと見ると画面の手前にシールドが刺さっているので180㎜キャノンとは触れ合ってないことが分かる。シールドの突き刺さり方とガンダムの姿勢が絶妙に重なった結果、遠近法によって盾の上にキャノンの砲身を載せているように見えてしまっただけに過ぎない。
また、シールドは先端が3分の1程地面に刺さっているため、遠近感を無視して同じスケールだと仮定すると、ジム・ガードカスタムのような巨大な物となってしまう。
OPとは別にシールドを地面に刺しているシーンはあるものの、シールドの上で構えているシーンもない。
つまり輝き撃ちなるものは、そもそも最初から無かったということである。
原因
この撃ち方が何故08MS小隊や陸戦型ガンダムの代表的なポーズとなったかについては諸説あるが、原因の一つとして考えられているのは初代Gジェネである。
このムービーにおいては180㎜キャノンをシールドの上で構える陸戦型ガンダムの攻撃がある。
08MS小隊はOVAである、輝き撃ちはOPではそこまで印象的でもない一瞬のシーンだったという二つの点から考えると輝き撃ちをちゃんと見たという人がこのゲームだった可能性も高い。
SD体型だと違和感なくシールドの上に乗せることができてしまうのも影響していると思われる。
史実での輝き撃ち
中世欧州のクロスボウ兵は「パヴィース」(Pavise)と呼ばれる全身を隠せる大型の盾を地面に突き刺し固定して敵の投射攻撃から身を守り、特に攻城戦で効果を発揮する。その盾でクロスボウを支えて撃つ用法も見られる。
このように史実で実用された記録が残っているので、その観点でいえば輝き撃ちはさほど不自然な手段ではない。
公式見解と現在
2020年6月、Twitterでアニメーター吉田徹が「煽りでそう見える錯覚だが、もう乗せて撃ってるで構わない」という発言に端を発し、初出のパイロット版でコンテを担当した福田己津央監督が自身のFacebook上で同様に輝き撃ちを肯定した。
福田氏の方は「防御用に射線上の前方に盾を突き刺したのが本来の意図、画面手前の(残骸の)つもりではないが、その絵もカッコいいのでアリ。盾に乗せてるのも可能なのでアリでいい」と3つの説を取り上げた。ポーズの元ネタは『エイリアン2』のバスケスで、バスターガンダムもこの輝き撃ちポーズの系譜だったという。
吉田氏のツイートは削除されてしまったようだが、当時の反応が以下で確認できる。特に1つ目と2つ目は元のツイートのコピペも残っている(ただし日付はズレている)。
https://keokeoblog.net/blog-entry-6619.html
http://bandai11.blog.fc2.com/blog-entry-10004.html
http://gundam-futab.info/archives/25561
それ以前からも、Gジェネのみならず公式のイラストなどにおいては度々見られる構えとなっている。ただし、シールドの大きさを考慮してか膝立ち状態になっていることが多い
『ガンダムブレイカー バトローグ』で前述の吉田徹氏の手で再現された輝き撃ちは乗っていないタイプであった。
漫画作品では『機動戦士ガンダムTHEORIGIN』の外伝ククルス・ドアンの島において、
陸戦型ガンダムのバリエーション(厳密には違うが)にあたる「ガンダムFSD」という機体による輝き撃ちが行われている。一応、ORIGINはTV版と各設定がやや異なるうえ、長射程ビームライフルによる狙撃なので使用目的や状況は違う。
立体商品化
立体商品においては絵の噓が通じないので、立ったまま盾に乗せて構えるというのは不可能なことから膝立ちタイプが基本。
シールドを地面に突き刺して安定させるのは、突き刺す用の台座を用意する必要があるため、フィギュアやプラモデルではあまり好まれる手段ではない。そのため、シールド側にバイポッドを展開できるようにして立てられるようにするものもある(その後このバイポッドをつけたシールドはほかのガンプラでも見られるようになった)。
近年は後述のように変わりつつあるが可動範囲のアピールを兼ねることができるポーズなためか、単なる勘違いか、このポーズを取れることがアピールポイントになっていることが多い。
- マスターグレード
実際にやろうとすると足の可動範囲が足りずキャノンとシールドが離れてしまううえ、当時はシールドを立てるという発想がまだ無かった。そのため、キャノンとシールドをつなぐ補助パーツで対処されたのだが、違和感が大きいため度々ネタにされる。これは「輝き棒」の名で通っている。
先述の「公式見解と現在」にて触れたガンダムFSDの輝き撃ちは、輝き棒を備えた方式となっている。
- HCM-Pro特別仕様
『HCM-Pro SP-004 陸戦型ガンダム スペシャルペインテッド』では、地面にシールドを刺すパーツが新規に付属。
膝立ち輝き撃ちのポーズでパッケージされており、そのため固定しているブリスターには輝き撃ち矯正ギプスという名称が一部でつけられた。
- HGUC 079
シールドにバイポットが搭載され、これでどこでも膝立ちタイプの輝き撃ちが可能になった。
箱絵もこの輝き撃ちで描かれ、バリエーションの地上戦セットの箱絵でもまた膝立ちタイプで披露されている。
- アサルトキングダム
スタンドを土台とすることで再現が可能。
- HGUC 210
紹介文には「シールドを立てた劇中OPの印象的なポーズも再現可能」となっている。シールドの上に構えるポーズもシールドを立てられるのもその存在は前述の通りである。
なお、あまりにもネタにされすぎたせいか、プレミアムバンダイの『HG 陸戦型ガンダム(パラシュート・パック仕様)』 のサンプル写真において、ついに公式で遠近法を使った正しい輝き撃ちが再現された。
- SDガンダムCSシリーズ
こちらは箱絵等ではキャノンを浮かしてはいるがシールドは遠近法ではなくキャノン真下といった描かれ方をしている。
なお、クロスシルエットではまだ可動域が足りないという事もあり、オプションパーツとして右足に角度を付けてたて膝が可能になるパーツが付属している(前例から輝き股関節と言われることもあるがシールドに載せておらずこの項目での厳密な意味での輝き撃ちは行っていないのでやや不正確かもしれない)。
- G FRAME
第6弾に陸戦型ガンダムがラインナップ。公式のレビュー記事では「オープニングの印象的な撃ち方も再現可能!」としてまたしても膝立ち・シールドにキャノン乗せの輝き撃ち写真を載せてしまった。
...のだが次記事(同弾ラインナップのガンキャノン)にて正しい輝き撃ち再現の写真が訂正として載せられた。
- ROBOT魂
「第08MS小隊オプションパーツセット ver. A.N.I.M.E.」にて、ついに「あの名シーンを再現できるエフェクトパーツが付属」として遠近法のものが公式から訂正なしで出されることになった(シールドもバイポッドではなく地面に突き刺した状態なので再現としてもかなり近い)。
ファンの間では
このような非常に怪しい存在とはいえ、サンライズ立ちや種ポーズのようにガンダム作品に限らず見かけることも多いポージングであり、シールドをバイポッドにする説得力や安定感が増したように思える見た目などは支持されていると言える。
また、この存在しないはずなのに公式が存在したという前提で頑なに推し進めていく姿勢も度々ネタにされ、OPの歌詞の「嵐の中で輝いて」に続く「その夢をあきらめないで」と絡められることもある。
ネタを含めて愛されているポーズだと言えるだろう。
関連タグ
機動戦士ガンダム第08MS小隊 陸戦型ガンダム シールド 嵐の中で輝いて
ガリアン重装改:こっちは本当にシールドを銃架にして砲撃する(なので元祖輝き撃ちなどとネタにされる事も…)。
ウィルソン(ルパンVSパトレン):技はおそらくこの言葉のパロディ
ハイマットフルバースト:上述の福田氏が監督したシリーズの同じく視聴者の錯覚から公式へと逆輸入されたフリーダムガンダムのポージング。しかし本編での登場から公式が実際にMGに導入するまでがわずか一年程度という早さだったため、HDリマスター版ではしっかりそちらに描き変えられてしまっている影響で元が錯覚だった事すら気付いていない視聴者も多い。