概要
提唱者はザンスカール帝国の女王であるマリア・ピァ・アーモニア。
宇宙世紀における思想ではジオン公国のジオニズムと、クロスボーン・バンガードのコスモ貴族主義に次ぎ3番目に提唱されたものである。
どちらかと言えばマリアを教祖、または救世主として崇め讃える様なカルト宗教的な色が強いが、コスモ貴族主義にも「思想を宗教的に捉える団体」が存在しており、必ずしも特徴とは言えない。
教義内容
簡単に言えば「宇宙に人類が移住しても、なおも世界が戦争を続けるのは、闘争本能を棄てきれない男性中心の男系社会に原因がある」とし、「世界を女性中心の女系社会に改め、それまでの罪を反省し悔い改める事で世界は平和になる」といった所謂【女性優生思想】である。
また、「母なる存在の象徴」である「地球を大事にし、崇拝する」と言う側面も存在している。
プロパガンダとしてのマリア主義
『マリア主義』は本質的には女王マリアをザンスカール帝国のシンボルとして擁立した宰相フォンセ・カガチが率いる政治組織『ガチ党』によるプロパガンダとして利用される「広報的な宗教」に近いものであり、思想とは言えるものではないのかもしれない。
だが一方で、この思想はジオニズムに含まれる主義の一つである「エレズム」を女性視点で焼き直ししただけに過ぎず、またこの様に一見すると平和的な思想を掲げつつもザンスカール帝国はギロチンによる公開処刑を駆使した恐怖政治を敷いている他、『地球クリーン作戦』とは名ばかりの非人道的で破廉恥極まりない無差別大量殺戮と大規模破壊行為をバイク戦艦のネームシップであるアドラステア級戦艦が率いるモトラッド艦隊とラステオ艦隊を使って行っている。
マリアは女王とはいってもガチ党のシンボル的な側面が強く、実際に政治を行っているのはカガチであり、彼にとってマリアは体よく利用出来る傀儡、又は御輿程度の認識しかなかった。
その究極の狙いは宇宙世紀0153年に建造された超巨大サイコミュ兵器である要塞『エンジェル・ハイロゥ』であり、「闘争本能を持たない赤子こそ平和への無垢なる祈り」としてサイコ・ウェーブにより人類の闘争心を摘除、幼児退行させて行動力を奪い、大量の人間を眠ったまま衰弱死させる事で地球圏内の紛争を全て消滅させ、ザンスカール帝国とマリア主義の理想を完遂すると云う、所謂「人類抹殺計画」であった。
このプロジェクトは当初、『エンジェル・コール』と云う殺傷能力が極めて高い宇宙細菌を地球にばらまいてサイコ・ウェーブで無力化したアースノイドを肉体ごとドロドロに溶かして抹殺してしまおうとしたのだが、そのエンジェル・コール自体が研究の結果「ワクチン生成が不可能」と判明した凄まじく厄介な超危険物なので、エンジェル・ハイロゥ単体で人々を衰弱死させる計画に変更された。
最終的に、マリアは帝国のナンバー3の立場にいたタシロ・ヴァゴが起こしたクーデターに巻き込まれて人質となってしまい、騒動の中で自らの過ちに気付くのだが、時既に遅し…。
マリアは錯乱して半狂乱となったタシロにより射殺されてしまう。
宰相であるカガチと帝国ナンバー2のムッターマ・ズガンも最終決戦の最中に死亡。
こうしてザンスカール帝国は指導者全員が死亡する結果となった。
地球へと降下したエンジェル・ハイロゥもまた、マリアの実の娘であるシャクティ・カリンの“祈り”の力によって「隠されていた真の能力」である『ウォーム・バイブレーション(癒しの光)』を引き出されてサイコ・ウェーブは無効化されてしまう。
更には要塞内部にサイコ・ウェーブ増幅装置として冷凍睡眠状態で配置されていた2万人のサイキッカー達の力により発生した強烈なサイコ・フィールドの斥力によりエンジェル・ハイロゥは分解、それぞれが「新しい命を育むべき場所」へと昇天し翔び去って行った。
こうして、ザンスカール帝国の滅亡により、マリア主義も事実上消滅する事となった。
…のだが、「マリア主義とギロチンによる恐怖政治の全肯定」という危険思想に徐々に染まってしまったカテジナ・ルースが最終決戦で生き残ってしまった。
全てを失った彼女は改心するのか、それとも…?