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コスモ貴族主義

こすもきぞくしゅぎ

『機動戦士ガンダムF91』にてクロスボーン・バンガード軍のシャルンホルスト・ブッホが提唱した主義思想。

概要編集

機動戦士ガンダムF91』にてシャルンホルスト・ブッホが提唱した主義思想。宇宙世紀においてジオニズムに次いで出現した主義思想である。

宇宙におけるより具体的な思想としてまとめたのが息子であるマイッツアー・ロナであり、映画版では彼から下の世代のみが描かれている。

ブッホ・コンツェルン(ロナ家)率いるクロスボーン・バンガード軍の基本理念であり、反連邦的な思想であった。


その思想の概念はノブレス・オブリージュ。つまり、高貴な人間はそれに伴う義務があると言うことである。ここでいう「貴族」とは、由緒ある血筋や家柄によるものではなく、「高貴な精神」と「高い能力」を兼ね備えた人間を意味し、それらを持つ者が新たな時代の「貴族」として、コスモ・バビロニア内で社会の中枢となることが認められている。そもそも提唱者のマイッツァー自身が元々は一介のジャンク屋であり、名門ロナ家の家名は購入して得たものである。

マイッツアーは戦争において平民は逃げても良いが貴族は許されないとも述べており、戦争を念頭においた思想であることがうかがえる。ただし、義務については具体的と言える行動規範は示されず、また示されるべきものでもなかったのかもしれない。


宇宙世紀0123年当時の人類社会は退廃し、それを統御する立場にある地球連邦政府も腐敗しきっていた現状を憂い、マイッツァーは絶対民主主義を掲げる地球連邦政府を、堕落の温床であると批判して打倒し、コスモ貴族主義に基づく新たな階級制度による社会秩序を建設する理想国家「コスモ・バビロニア」の建国を画策。私設軍クロスボーン・バンガードを結成し、フロンティア・サイド強襲を皮切りにスペースコロニーの制圧に乗り出し、コスモ・バビロニア建国戦争と呼ばれる戦いの火ぶたが切られる。


しかし、イデオロギーとして、異論を論破し内部意志を統一し社会そのものを改革・領導する、明確な理論を提示し、それを貫徹しうる勇気とカリスマを備えた思想的指導者たりうる「人間的な意味合いでの貴族」が実在しないことや、血筋にこだわらないことを標榜しながらロナ家を出奔したベラ・ロナことセシリー・フェアチャイルドを後継者とすることに固執する、ブッホ・コンツェルン自体も打倒すべき連邦政府との癒着を力の根源としているなど、多くの矛盾を抱えていた。ただし、尺の短い劇場版では、これらの矛盾点は表面化しなかった。


続編ともいえる漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム』で描かれたその後によれば、マイッツァーの孫でコスモ・バビロニアの正統継承者であるベラ・ロナがコスモ貴族主義を自己否定する言動を取ったことにより衰退したと語られている。皮肉にも、このベラ・ロナの毅然とした態度と自ら矢面に立つ勇気こそが、コスモ貴族主義の理想像そのものだった。

このようにクロスボーン・バンガードの内紛ともいえる状態によってコスモ・バビロニア建国戦争は数年で地球連邦の勝利に終わった。


なお、ザンスカール帝国女王マリア・ピァ・アーモニアが提唱したマリア主義の出現や10年後の宇宙世紀0133年になってもなお、コスモ貴族主義の支持者やブッホ・コンツェルンが人心掌握の為に設立したコスモ・クルス教団に賛同する者は少なからず存在したという。


ちなみに小説版においては白人至上主義の要素もあり、ユダヤ人やその他人種に対する差別も肯定するというレイシズム的な危険な思想となっていた。


尚、0203年が舞台の『ガイア・ギア』の敵対勢力マンハンターことマンハンティング部局は上述の差別思想に加えて「生まれや育ちに関係無く努力し続けられる人間はエリートである」と言うコスモ貴族主義に似た思想を持っている。

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