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概要

略称「O.S.」。

シャーマンが精神エネルギーである「巫力」を用いて持ち霊に与える、様々な形態・能力を有した実体の呼称。

持ち霊には実体の核となる現世の物質、「媒介」が必要になる。

媒介はどんな物でも良いわけではなく、春雨や馬孫刀のような「持ち霊に強い縁がある物品」、もしくはフツノミタマノツルギやイクパスイ、水晶のダウジングペンデュラム等の「霊的親和性の高い概念が宿る呪具や祭具」でなければならない。

シルバによると、シャーマンの肉体以外の物に無理に霊を入れることで、入りきらずに『溢れ出す魂(オーバーソウル)』が巫力を糧に実体化するらしい。

シャーマンが霊を自身に憑依させ、生前培った能力を現世に再現する技「憑依合体」の発展版。

シャーマンはこれを会得することで一人前と見做され、「シャーマンファイト」に参加する為の最低条件にもなっている。

器物に魂を宿らせる技ではあるが、付喪神という概念とは別物であり、そちらはエキゾチックカー等の自動車に人が叩き込んできた技術工学という執念とグレート・スピリッツ内部に記録されている天使の概念が掛け合わされて出来た機動天使等が該当する。

「憑依合体」では使える持ち霊と発揮できる能力はあくまで「優秀なだけの只の人間」の域を出ず、持ち霊の生前の力を完全再現した「憑依100%状態」のシャーマン同士が戦うと、「持ち霊の強さ」だけで勝敗が決まってしまう。

しかし、オーバーソウルはシャーマンが巫力で持ち霊の魂を象徴する力を形成するため、巫力を大量に注ぎ込めば「人間止まり」の力を遥かに超えた神業の如きパフォーマンスも可能になる上、人間霊のみならず動物霊やそれらがさらに進化した存在である精霊・神クラスの霊の力すら行使できる。

PCに例えると、「憑依合体」における霊がソフトウェア、シャーマンがハードウェアに当たり、オーバーソウルにおける媒介は増設ハードのようなものと考えられる。

ただし、霊にもシャーマンの巫力に当たる「霊力」と言う精神エネルギーの大小があり、シャーマンと持ち霊の間に「巫力≧霊力」の関係が成り立たないとO.S.を満足に維持できず、シャーマンの精神が崩壊する危険があるため、ICEMENドルイドであるピノ・グレアムの女神バズヴや、X-LAWSの武器庫番ライハイトの機動天使アザゼルの様に、シャーマン側の安全の為に本来神クラスの霊力をあえてオーバーソウルが発動可能な精霊クラスにまで抑えて運用されるケースもある。

また、シャーマンの精神もオーバーソウルが破壊された時、破壊の激しさに比例したダメージを負う。

この様にオーバーソウルの強さは”現世側の存在”であるシャーマンの巫力に左右されやすいが、自立型オーバーソウルだったマタムネや、憑りついたペヨーテから実体化に必要な巫力を強引に持って行くサンタ・ムエルテルシフェルの本体の様に自ら現世に影響を与えることが可能な霊もいる。

生者の巫力は通常は生来の量から一定のまま増減することはないと作中で語られており、増やすためには「魂を肉体から分離させた状態で鍛える」≒「死ぬ」、もしくは生命の危機や仮死の状態になるなど、「死を疑似体験」する必要がある。

『超・占事略決:泰山府君の祭』で、度重なる転生と1000年超えのシャーマンライフを経験した麻倉葉王は、これによって桁違いの巫力を得ている。

ただし、オーバーソウルの強さは単純な巫力の大小のみならず、その運用法の練度も大きく影響しており、巫力は「長時間広範囲に拡散」させるより「一瞬一点に集中」させた方が効率が良いとの事である。

リリララのカナチ人形、マッチのジャック、マリのビリーといった人形系オーバーソウルは、媒介が実体も兼ねる事で巫力を専ら駆動力源にのみ回すことが出来る節約型の巫術であり、かつて「魂の容器」であった死体を用いる道潤跳屍送尸術ファウストネクロマンシーはその最たる物と言える。

さらに良くも悪くも「心」に由来する力な為、シャーマン自身が迷いに駆られるといくら巫力があってもオーバーソウルの強度自体がハリボテと化すので、シャーマンキングが「グレート・スピリッツ」と一体化する儀式の間、警護役の任も負っているパッチ族十祭司には、暗示効果のある伝統民謡を聞き王への絶対の忠誠心を以て迷いを塗り潰し、オーバーソウルを瞬間的に補強する秘儀『パッチソング』がある。

限られた巫力でより強力なオーバーソウルを開発して使いこなすためには、シャーマンの中で「揺るぎない実体を構築する確固たるフォルム」と「現実の法則から解き放たれた変幻自在のアクション」という、水と油が如く対極的な静と動のイマジネーションが高水準に両立している必要があり、それらの醸成には、麻倉葉虚いわく、何の因果かプラモデル遊びが極めて有用らしい。

  • 事実、葉虚の式神・祇園傀(ギオング)はとあるモビルスーツをモデルにしており、たまおも彼の秘蔵プラモをいくつか参考にして可変式O.S.『可変天狗ダイガラス』を開発した。

シャーマンと霊の適性

霊・媒介・シャーマンの各々三つが、相性が良く質が高いほど強力なO.S.を作れる。

霊:年季と研鑽を積んだ魂ほど霊力が高く、現世の法則に囚われない自由度の高い優れた能力を持つオーバーソウルが作れる。また、持ち霊に他の霊やシャーマンの魂を喰わせて霊力を上乗せするという裏技もある。

  • 媒介:霊の特性を象徴するイメージ・神秘性を備えた物品ほど、安定したオーバーソウルが作れる。
  • シャーマン:精神がタフなほど頑強な、イメージが柔軟なほど精密多才な、巫力が多いほど大きなオーバーソウルが作れる。また、歳月を重ねる事で死への覚悟が固まり、新しいことに驚かず頑固で老獪になりがちな老シャーマンほど、O.S.は堅牢さを増す傾向がある。つまり、老人ほど強いオーバーソウルを生み出せる素養がある。

甲縛式O.S.

O.S.を必要最低限の容積まで高密度に圧縮し、「シャーマンが纏う巫力の鎧」に成形することで運用効率を極限まで向上させた、いわば最強形態。全てのシャーマンがいずれ辿り着く奥義にして到達点。

麻倉葉王:『スピリット・オブ・ファイア 黒雛(くろびな)』

属性:炎 構成:スピリット・オブ・ファイア+酸素

高速飛行能力とミサイルも鷲掴みにする二本のアームを備え、両肩の「蝋燭」からは超高熱の炎弾『鬼火』を放つ。この形態を取ると「霊力自体がすり減る」というかなりキツイリスクがあるが、基本的にこの形態では長時間戦闘したことがない。魂を捕食できるスピリット・オブ・ファイアであれば回復は可能であるが、その特性を持たないシャーマンたちもなんの躊躇もなく甲縛式O.S.を用いているところからして集合霊である五大精霊だけのリスクなのかもしれない。

麻倉葉:『スピリット・オブ・ソード 白鵠(ビャッコウ)』

属性:大地 構成:阿弥陀丸+春雨&フツノミタマノツルギ

阿弥陀丸の愛刀・春雨によって攻撃力の要である刃の鋭さを形成し、さらに『刀』を象った祭具の極致・フツノミタマノツルギを組み込むことでO.S.の強度を跳ね上げる『二段媒介』。

左腕部から背中を護るように回り込んだ、頑強で変幻自在に稼動するアームと鋭利なブレードが武器。葉にとって思い出深い白鳥をモチーフにしており、アームを伸ばすことで翼を広げたような大剣になる。

道蓮:『武神魚翅(ぶしんユーツー)』

属性:雷 構成:馬孫+宝雷剣

フカヒレのような刃の突起を持つ。反応速度が電速にまで高まり、雷を発生させ敵を焼き尽くす。

初披露時は発電機を射出し落雷させたり、馬孫ゴールデンパンチも使えたりと可変。

碓氷ホロケウ:『ニポポテクンペ

属性:雨 構成:コロロ+イクパスイ

左手が旦那で右手が嫁。現世の物質からO.S.まで、あらゆる物を凍結粉砕する。

チーム明王の巨大なO.S.を振り回す怪力をも併せ持つ。

チョコラブ・マクダネル:『ジャガーマン』

属性:風 構成:ミック&パスカル・アバフ+鉄爪装備マイボディ

御頭付ジャガーの毛皮状フードマントと爪付きガントレット。ジャガーの目からビームを発射可能。必殺技は爆獣回転ジャガーシャフト。

あまりのスピードにどんな攻撃も当たらないと言われる。

リゼルグ・ダイゼル:『敵意の炎(マステマ・ドルキーム)』

属性:炎 構成:(モルフィン&ゼルエル+水晶ペンデュラム)

モルフィンのペンデュラムとゼルエルの機動性を両立したO.S.。

背中の突起からは触手が伸び、飛行能力も合わせて全方位から攻撃できる。炎で相手を灼き尽くす技『火葬(ハルヴァヤー)』が使える。

チョコラブやリゼルグのように複数の持ち霊によるO.S.は「W.O.S.(ダブルオーバーソウル)」や「複霊甲縛式」とも呼ばれる。

ネタとして

Pixiv上では、「霊+アイテム⇒武器」というシンプルな設定からクロスオーバーネタも見られる。

東方Project』に登場する、半人半霊の刀使い・魂魄妖夢麻倉葉みたいな具現化された刀を使ったり、氷の妖精チルノ碓氷ホロケウの「ニポポテクンペ」を装備したりしているネタイラストがある。

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