ワイルド・スピード
わいるどすぴーど
ユニバーサル・ピクチャーズが制作配給するカーアクション映画。
当初はいわゆる「ゼロヨン」を主軸とした走り屋達の物語だったが、4作目あたりから自動車以外の要素も派手に詰め込む作風へとシフトし、現在は「カーアクション版のミッション・インポッシブルもしくは007」とでも言うべきド派手アクション映画と化している。
北米もさることながら中南米や中国で非常に人気を集めており、近作は世界累計での興行収入が10億ドルを超えている。特に第7作『SKY MISSION』は世界歴代興行収入第9位に食い込んでいる。
2023年までに10作+スピンオフ1作が制作・公開されている。
またスピンオフ企画も複数進行中で、本編完結後もシリーズは続けられる予定。
なお、特に『MAX』以降は簡素な原題に対しかなり思い切った邦題を付けられているが、これを海外メディアは絶賛しているらしい(参考)。
メイン
No. | タイトル | 原題 | 公開 |
---|---|---|---|
1 | ワイルド・スピード | The Fast and The Furious | 2001年 |
2 | ワイルド・スピードX2 | 2 Fast 2 Furious | 2003年 |
3 | ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT | The Fast and the Furious: Tokyo Drift | 2006年 |
4 | ワイルド・スピード MAX | Fast & Furious | 2009年 |
5 | ワイルド・スピード MEGA MAX | Fast Five | 2011年 |
6 | ワイルド・スピード EURO MISSION | Fast & Furious 6 | 2013年 |
7 | ワイルド・スピード SKY MISSION | Furious 7 | 2015年 |
8 | ワイルド・スピード ICE BREAK | The Fate of the Furious | 2017年 |
9 | ワイルド・スピード/ジェットブレイク | F9 | 2021年 |
10 | ワイルド・スピード/ファイヤーブースト | Fast X | 2023年 |
ワイルド・スピード
ロサンゼルスを舞台に、トラック強盗の疑いをかけられているドミニク・トレットと、潜入捜査官ブライアン・オコナーが、公道でのゼロヨンレースを通して奇妙な友情を結ぶ姿が描かれる。
シリーズの始まりとなった作品だが、最近のシリーズ作品と比べるとかなり低予算な造りで、物語も地味で渋め。ただし、ニトロでの急加速や”ファミリー”のお祈りなど、シリーズお馴染みの要素は既に多く登場している。
いわゆる「スポーツコンパクト」を用いたレースが描かれるため日本車が多数登場する。
ワイルド・スピードX2
前作で警察を追われたブライアンが、新たな相棒としてローマン・ピアースと組み、FBIの依頼を受けて麻薬組織への潜入任務に挑む。
後のシリーズで定番となっていく「悪の組織と対決」というわかりやすい要素が初めて取り入れられた。また前作のヒットを受けて製作費が倍になり、マイアミの街を大量のレーシングカーが走り回るなど、迫力あるシーンが増えている。
ワイルド・スピード MAX
1作目の後に国外逃亡を果たしていたものの、恋人レティ・オルティスの死を知ったドミニクはアメリカへと舞い戻る。同じ頃、第2作の活躍でFBIへと復帰したブライアンもアメリカで職務に就いていた。ロサンゼルスで再会した2人はふたたび手を組み、麻薬組織と対決する。
ブライアンとドミニクのコンビを復活させ、タイトル(原題)も第1作に揃えるなど、シリーズの仕切り直しを強く意識した作品。同じく第1作から登場していたミアとレティ、さらに『X3』のハンも合流し、濃いメンツの”ファミリー”の原型が生まれた。
また今作からは日本車の比率が下がり、世界各国の車が活躍するようになっていく。
ワイルド・スピード MEGA MAX
前作の事件により国際指名手配犯となったブライアン達は、自由を手に入れるためにブラジルの麻薬王の巨大資金を狙う。しかし、凄腕捜査官ルーク・ホブズ率いるアメリカ外交保安部の精鋭部隊もそこへ参戦し、事態は三つ巴の様相を呈してくる。
ドウェイン・ジョンソン演じる大人気キャラクターのホブスが初登場。さらに、前作のメンツに加えて『X2』のローマンとテズが”ファミリー”に加わり、5作目にしてまさに「全員集合」が実現しファンを喜ばせた豪華な一作。
レース以外のアクション要素も増え、現在のアクション娯楽大作としてのスタイルが出来上がった。また前作までは割と大味な物語だったのに対して、今作は脚本のクオリティも上がっており、批評家からも高評価を受けた。
ワイルド・スピード EURO MISSION
前作でそれぞれハッピーエンドを迎えたはずの”ファミリー”に、ホブスが協力を依頼してくる。目的は元英国特殊部隊隊員オーウェン・ショウ率いる国際犯罪組織の撲滅。最初こそ協力を渋ったファミリーだったが、死んだはずのレティがオーウェンと共にいる情報を提示され、彼女の真実を探るべく再び任務に挑む。
タイトルの通り主な舞台はヨーロッパ。敵のスケールが一段とパワーアップし、今作以降はジェームズ・ボンドが対決するような強大な犯罪組織との戦いへと移行していく。
ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT
ストリートレースでトラブルを起こし、アメリカから父のいる日本・東京へと送られた高校生のショーン・ボズウェル。「ドリフト」を駆使する日本の“走り屋”達の存在を知った彼は、凄腕の走り屋ハン・ルーに師事し、「D.K」=「ドリフト・キング」の座を目指す。
副題の通り東京を舞台に、再び走り屋達の物語に回帰しつつ、ゼロヨンからドリフト走行やダウンヒルへと主軸を移した異色作。物語からはドミニクに加えてブライアンまで姿を消しており、後の”ファミリー”達の活躍ともハンを除いてほとんど関係がなく、ほぼ番外編と言って良いポジションにある。
海外製作だけあってヘンテコな日本描写たっぷりだが、渋谷のスクランブル交差点や首都高速をレーシングカーが猛烈な勢いで走りぬけるなど、慣れ親しんだ日本の風景を舞台に繰り広げられるアクションシーンは、邦画でも望めない贅沢な楽しみと言える。千葉真一、北川景子、妻夫木聡など脇を固める日本人キャストも豪華。
ワイルド・スピード SKY MISSION
前作『EURO MISSION』で倒されたオーウェンの兄、デッカード・ショウが復讐に動き、東京へ移り住んでいたハンを殺害する。彼の死を知った”ファミリー”は再び集結し、デッカードを迎え撃つ。
ジェイソン・ステイサム演じるデッカード・ショウが初登場。パラシュート付きのレーシングカーで輸送機からスカイダイビングをかますなど、アクションの無茶っぷりに磨きがかかった。
世界累計興収15億ドルという大記録を達成しており、これは現在のシリーズ最高記録。
一方、撮影期間中に、ブライアンを演じてきたポール・ウォーカーが死去し(プライベートでの交通事故による)、最期の出演となってしまった。彼の死はシリーズファンや出演者に衝撃を与え、今作ラストには「ポールに捧げる」として彼の活躍をまとめたトリビュート映像が挿入された。
ワイルド・スピード ICE BREAK
『EURO MISSON』以降、裏ですべてを操ってきた最悪の敵・サイファーがその姿を現し、かつての恋人を人質に取ってドミニクを支配下に置く。その「裏切り」に疑念を抱きつつも再集結した”ファミリー”は、彼を取り戻すため戦いを挑む。
最終章三部作の一作目。シャーリーズ・セロン演じる黒幕サイファーが初登場。
凍った湖を舞台に原子力潜水艦とレーシングカーが対決するなど、さらにパワーアップした迫力あるアクションを楽しめる。
また、前作までで”ファミリー”と対決したショウ兄弟が復活し意外な活躍を見せる。
ワイルド・スピード/スーパーコンボ
デッカードの妹ハッティが、MI6エージェントとしての任務中、確保を命じられていたはずのウイルスを盗んで姿を消した。事態を重く見たCIAによって招集されたデッカードとホブスは、犬猿の仲であるにもかかわらずコンビを組まされ、嫌々ながらも任務に挑む。
比較的新参キャラでありながら人気を博したホブスとデッカードを主人公に据えた、シリーズ初のスピンオフ。カーアクションは後半以外薄めで、代わりにスキンヘッドの肉体派スター2人が無茶なアクションをこれでもかと繰り広げる。
単体での続編企画も進行中。
ワイルド・スピード/ジェットブレイク
最終章三部作の二作目。当初は2020年公開予定だったが、新型肺炎流行の影響で2021年に延期されている。
ドミニクの弟・ジェイコブを演じるのはWWEの大スターであるジョン・シナ。
またブライアンと共に”ファミリー”を卒業したミアや、『X3』のショーン、そして死んだはずのハンの復帰に強力磁石やロケットによる型破りなアクションシーンなども見所である。
ワイルド・スピード/ファイヤーブースト
『スーパーコンボ』以来2度目の日米同時公開。
ラスボスに『アクアマン』のジェイソン・モモアを迎え、『キャプテン・マーベル』のブリー・ラーソンなど新キャストも参加する。
当初はメインシリーズ最終作とされていたが、もう少し続くらしい。
主人公の一人で、愛称はドム。
元は強盗で、ドライバーとしての腕は一流。
強盗と警察官と言う関係でありながら、レースを通してブライアン・オコナーと友情を結ぶ。
第1作で彼の助けを受けて逃走するものの、MAXで再会し再びタッグを組む。
以降は彼も加わった”ファミリー”と共に、麻薬王や悪徳実業家を相手に無茶な作戦を繰り広げる。
アイスブレイク以降は単独で主人公を務める。
父の形見である1970年モデルのダッジ・チャージャーを筆頭にアメ車のいわゆるマッスルカーに乗る事が多い。
主人公の一人で、元ロサンゼルスの警官。
子供の頃から公道レースに熱中してきた凄腕のドライバーでもある。
強盗集団へのおとり捜査を行う立場にありながらドミニク・トレットと友情を結び、彼の逃走を助けたために警官の立場を追われる。
X2でローマン・ピアースと共に麻薬密売人を打倒した功績によりFBIとして復帰するものの、再会したドミニクと協力したためここもクビに。以降は彼の”ファミリー”に合流し、世界中を飛び回る。
日産のスカイラインGT-Rやトヨタのスープラ、三菱のランサーエボリューションなど日本車に好んで乗る事が多い。演者のポール・ウォーカーも車好きで、日本車ではスカイラインや7代目シルビアやフェアレディZを愛車にしており、スカイミッションのラストシーンのドムとの並走で使用された白いスープラもポールの所有車だった。
演じたポール・ウォーカーが死去したため、スカイミッションでの活躍を最後に「家族と共に穏やかな暮らしを送ることを決めた」という設定で物語から退場している。
ドミニクの妹。
ブライアンと親しくなり、後に結婚。息子のジャックを授かる。
第7作でブライアンと同様に家族との平和な暮らしを選んだはずだったが、第9作で”ファミリー”に復帰。
ドミニクの彼女。後に結婚。
彼に負けず劣らず過激な運転テクニックの持ち主で、”ファミリー”の一員として活躍する。『MAX』で潜入捜査に失敗し殺害されたと思われていたが、実は記憶を失いつつも生存しており、『EURO MISSON』にて記憶喪失のままではあるものの”ファミリー”へ復帰する。
ブライアンの幼馴染。見た目は強そうだがおしゃべりで怖がりで結構なヘタレ。ただしここぞという時には決める、愛すべきムードメーカー担当。
『X2』で警察を追われたブライアンとコンビを組み、その縁で『MEGA MAX』から”ファミリー”に合流する。
マイアミの表と裏を知り尽くした顔役。ローマン同様、『X2』で初登場し、『MEGA MAX』から”ファミリー”に参加する。
優れたドライバーだが、それ以上に様々な分野に精通しており、”ファミリー”の作戦立案には欠かせない参謀的存在。特にコンピューター関連に強く、ハッキングを行うこともある。
”ファミリー”の中でもひときわ小柄だが、ローマンとは対照的にかなり肝が据わっている。
国外逃亡時代のドミニク・トレットの右腕。
その後『MEGA MAX』~『EURO MISSON』にて、その縁で”ファミリー”の一員として活躍する。
ジゼル・ヤシャールと恋仲になるものの『EURO MISSON』で彼女を喪い、失意に沈んだまま東京へ移り住んだ。
シリーズ初登場は『X3』だが、ここで描かれた彼の姿は”ファミリー”としての一連の活躍より後のもの。
ショーン・ボズウェルの才能を見抜き、兄貴分として彼を鍛え上げる。
本名はハン・ルーとされているが、劇中ではハン・ソウルオーという偽名を名乗っている。
元モサドで、『MAX』での初登場時は麻薬王の秘書に収まっていた。当初は敵だったが、終盤でドミニクと和解(?)。『MEGA MAX』以降は彼に協力し”ファミリー”の一員となる。元軍人だけあって、銃の扱いや格闘技術にも優れる。
”ファミリー”として活動する中でハンと惹かれあい恋人になったが、『EURO MISSION』終盤で彼をかばい死亡した。
演じたガル・ガドットはこの役が映画デビュー。後にワンダーウーマン役などで大活躍する。
アメリカ外交保安部(DSS)の凄腕捜査官。多分フィジカル面ならシリーズ最強。
正義感が強すぎるほど強く、時には目標の殺害も厭わない過激な男で、その名は捜査官時代のブライアンの耳にも届いていたほど。
『MEGA MAX』にて”ファミリー”の逮捕に挑んだものの、麻薬組織の急襲を受け部下を殺害されてしまい、復讐のために”ファミリー”と手を組んだ。以降は彼らを仲間と認め、その腕を見込んで依頼を持ってきたり協力したりと言った関係になる。
第5作から登場した新参キャラだがブライアンやドミニクを食いかねないほどの人気キャラとなった。
オーウェンという弟とハッティという妹がいる。
元イギリスの特殊部隊員にして、MI6のエージェントとしても活躍していた。
弟の収容されている病院を単身襲撃して警備部隊を壊滅させたり、ルーク・ホブスとタイマンで対決して病院送りにしたり、そしてもちろんドライバーとしての力量も超一流と、その戦闘力はシリーズ最強クラス。
一方で彼なりに家族思いでもあり、弟や妹を大切に思っているほか、母には頭が上がらないという一面もある。
弟が半殺しにされたのを受け、ハンを殺害しホブスに傷を負わせて”ファミリー”に宣戦布告する。
- テス(演:ブリー・ラーソン)
ドミニク達に度々仕事を依頼してきたアメリカの秘密機関のリーダー「ミスター・ノーバディ」の娘。
「ファイヤー・ブースト」において父親であるミスター・ノーバディが行方不明中にテロリストの容疑をかけられたドミニク達を助けようとするが……?
ドムが主人公になって以降の本シリーズではめずらしい「金髪の白人なのに主人公の味方」。
- 実は、シリーズの初期ではドミニクは主役ではないが、人気が出て来たのはドミニクが主役になって以降。
- 興行収入に関しては、アメリカよりもアメリカ以外の国の合計が遥かに多く(後者が前者の数倍)、別名が「全世界のブルーカラーの為の007」。
- 「白人以外が主人公サイドのメインキャラ」「特に金髪の白人女性は、何故か、ほぼ必ず悪役」「ヒロインの多くは人種的マイノリティ」「いわば『マジョリティの側からマイノリティを見る』話ではなく、あくまでアメリカにおける人種的マイノリティが主体の話」「後の作品ほどベクデル・テストをパスする内容になっている」というよくよく考えるとポリコレに配慮しまくったシリーズだが、アメリカでポリコレを嫌っている層が好むような題材を扱っている上に、アメリカ以外の国での興収の合計がアメリカでの興収を遥かに超えている為に、アメリカ人向けのネガティブ・キャンペーンを行なっても大した意味はないので、アメリカ国内でのポリコレ嫌いの人達による批判は極めて少ない。
ワルイド・スピンドー:『爆上戦隊ブンブンジャー』に登場する、本作を名前の由来としたキャラクター。
MFゴースト:公道でのレースバトルという点では共通するが、むしろこちらは後に発表されているので「ワイルド・スピードの頭文字D版」がこの作品と思われる。ただし、本作は「チンピラ同士の賭けレースという完全な違法行為」なのに対し、こちらはあくまでも「参加資格を持ったドライバーだけが参加を許される合法なプロの競技」という違いがある。さらに言えば、近年のワイルド・スピードはレースはあるもののそれ以外のド派手な戦闘アクション等も目立つ作品となっているので方向性もかなり異なっている。
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