概要
地中から現れて人間を襲う古代生物グラボイズの恐怖を描いたモンスターパニック作品。
一言で言ってしまえば「陸版ジョーズ」。
しかし、単なるパクリに留まらないしっかりと練られた恐怖描写と、それに反して何となくユーモラスでゆるい雰囲気が、独特の魅力を生み出した。
劇場公開されたのは1作目のみだが根強いファンを獲得し、その後テレビ向け作品・オリジナルビデオで続編が作られ続けている。
ジョーズやディープ・ブルーなどのパニック映画とは違い、シリーズ通して作風は明るめ。特に3作目以降は後述のバート・ガンマーの活躍が主軸に据えられ、一層明るい作風になっている。
シリーズ一覧
第1作のみ映画公開され、以降はオリジナルビデオ作品としてリリーズされている。
トレマーズ
1990年1月19日公開。パーフェクションの町で便利屋を営む主人公バルとその相棒アールが主人公。終盤ではバート・ガンマー一家と共闘する。
劇場公開作品ということもあってシリーズで一番金がかけられており、主演はケヴィン・ベーコン、相棒アール役はフレッド・ウォードと豪華なメンツがそろっている。
トレマーズ2
1996年に発売されたオリジナルビデオ(本国ではテレビ放映された)。
前作から7年後、メキシコに現れたグラボイズを退治するため、かつてグラボイズを撃退したアールと新たな相棒グラディ、そしてバート・ガンマーが招聘される……というあらすじ。
バルは結婚したことが語られるのみで登場はしない。
トレマーズ3
2001年10月2日にビデオ・DVDリリースされ、日本では2002年9月27日にリリースされた。
『トレマーズ』から11年後、パーフェクションに再び現れたグラボイズへバートが立ち向かう。
前作主人公のアールとグラディも物語から姿を消し、バートが主人公になった。今作以降、シリーズはグラボイズと戦うバートの物語となっていく(第4作以外)。
トレマーズ・ザ・シリーズ
2003年3月28日から2003年8月8日まで米国で放送されたTVドラマ。日本では放送されておらず、DVD等も日本字幕付きはリリースされていない。3の続編として作られているが、シーズン1で打ち切られた。
トレマーズ4
2004年1月2日にビデオ・DVDリリースされ、日本では同年5月28日にリリースされた。
『4』と題されてはいるが実際はエピソード0モノで、『トレマーズ』の100年前が舞台。バートの先祖であるハイラム・ガンマーが主人公で、ネバダ州の田舎町リジェクションに現れたグラボイズとの戦いが描かれる。またリジェクションがパーフェクションという町名になる理由も明かされる。
過去編ということで、グラボイズの進化形態は登場しない。原点回帰とも言える作品である。
新トレマーズ モンゴリアン・デス・ワームの巣窟
2010年に発表され、日本では2011年10月7日にリリースされた模様。
マンネリ化を防ぐ意図なのか、UMAのモンゴリアン・デス・ワームを『グラボイズの近縁種』との解釈(?)で作成されたと思われる外伝作品。
『トレマーズ』と銘打たれているが、肝心のグラボイズがモンゴリアン・デス・ワームとなっている為に妙に小さい上に変態しないわ、古代の秘宝を守るガーディアンとして人々を襲う等々……色々とツッコミ所が満載であり、歴代シリーズファンの中には「解釈違いも甚だしい黒歴史」と酷評されている(普通のモンスターパニック映画として見るには問題はない)。
トレマーズ ブラッドライン
2010年10月6日にBlu-ray・DVDリリースされ、日本では11月26日にBlu-ray・DVDがリリースされた。デジタル配信もされた。こちらは3及びザ・シリーズの続編。南アフリカが舞台。
トレマーズ コールドヘル
2018年5月1日にBlu-ray・DVDリリースされ、日本では7月4日にリリースされた。
トレマーズ 地獄島
2020年10月20日にBlu-ray・DVDリリースされ、日本では2021年2月3日にリリースされた。
新ドラマシリーズ(製作中止)
2017~2018年にかけて製作されていたドラマシリーズ。第2作以降の展開を踏まえず、第1作の25年後を新たに描くリブート作品で、ケヴィン・ベーコンが主演に復帰し、『CUBE』のヴィンチェンゾ・ナタリが監督を務めるという豪華な布陣だった。
しかし、残念ながらパイロット版のみで製作中止となった(アメリカのドラマでは、パイロット版段階での企画中止は珍しくない)。
グラボイス及びその成長体
グラボイズ
無印から登場。巨大な蛇もしくは芋虫のような太く長い体をもつ古代生物。地面の下を高速で進み獲物に接近、砂中に引きずり込んで捕食する。口の中に蛇やミミズを思わせる多数の舌のような器官を持ちこれで獲物を捕食する。
視覚ではなく聴覚で周囲の状況を探知しており、どのような場所に居ようと、音が伝わるならば正確に獲物の位置を把握して襲い掛かって来る。弱点は生来の知能の低さと獲物を発見すると興奮状態に陥ってしまう凶暴性で、音で簡単に誘導され、猛スピードで掘り進むことができない硬い場所に激突死してしまったり、眼前に投げ込まれたダイナマイトを餌と誤認して呑み込み爆死させられたりした。しかし、学習能力は非常に高く、経験を積んだ個体は驚くほど賢く冷静に行動するようになる可能性もあり、人間の作戦を読んで掻い潜る狡猾ささえ見せる。特に無印のラスボスはダイナマイトの性質を理解し、わざと取り込んだ罠のダイナマイトを主人公たち目掛けて吐き返すことで反撃に利用するほどの驚異的な知能の発達を見せた。
自動車すら地中に引きずり込む膂力を持つが、ブルドーザー(ショベルドーザー)の重量とパワーには対抗できなかった。(かのように思えたが…)
トレマーズ3では繁殖能力を持たない白いグラボイズ「エル・ブランコ」が登場している。
なお、「グラボイズ」という名を「種全体を指す複数形の呼び名」と捉え、個体個別に対してはそれを単数形に直した「グラボイド」と呼び分けられることもある。
シュリーカー
トレマーズ2から登場。成熟したグラボイズの体を内側から食い破り出てくるグラボイズの変異体。一体のグラボイズから三体のシュリーカーが産まれてくる。地中ではなく地上を走りまわる足が発生しており、音ではなく熱で獲物を感知する。そのため全身に消火器を浴びるなどで熱源を断てば気づかれない(しかし劇中では背中に消火器を掛けなかった人物が背中を食い千切られてしまった)。最大の脅威は増殖性で十分なだけの栄養を摂取すると短時間で同じシュリーカーを口から産み鼠算式に増えていく。
アスブラスター
トレマーズ3に登場。シュリーカーから脱皮する形で成長した姿で、肛門からガスを噴出することで飛行能力を有する。獲物の感知手段は成長前と同じく熱。グラボイズから始める成長の最終段階らしく体内にはグラボイズの卵を抱えている。満腹になると休眠に就く習性があり、これを利用されて一匹が捕獲された。
南アフリカのグラボイズ(正式名称不明)
南アフリカに出現したグラボイズ。既知のグラボイズとの関係性は不明だがそれを上回る巨体と凶暴性をもち、さらに口内に備えた蛇状の舌を分離・独立行動させることで岩の上などに逃げた獲物を捕えることも可能になっている。
南アフリカのシュリーカー/アスブラスター(正式名称不明)
シュリーカーとアスブラスターの特徴を併せ持ったような形態で描写はないが上記の南アフリカ版グラボイズの成長体と思われる。シュリーカー/アスブラスターよりかなり大きく、人を捕まえたまま飛行できるほど力も強い。本来は夜行性だが場合によっては昼間でも活発に活動する。
バート・ガンマー
先祖まで含めればシリーズ皆勤賞の登場人物である意味この作品の顔とも言えるおっさん。無印から登場しているが主人公として描かれたのは「3」から。
サバイバル主義者で無類のガンマニアということを考慮しても生存力が並外れている。
他の映画ならほぼ間違いなく死んでしまうような状況(密室に怪物が侵入してくる、怪物に呑み込まれるなど)でもなんやかんやでしぶとく生還する。