概要
1994年、ディズニーでアニメ部門の長を勤めていたジェフリー・カッツェンバーグが会長であったマイケル・アイズナーに対して事故死したフランク・ウェルズ社長の後任へ自薦したのを断られたのをきっかけに同社を退社し、映画監督のスティーブン・スピルバーグとレコード会社経営者のデヴィッド・ゲフィンを誘って設立、まさにドリームチームである。三人の姓の頭文字を取って《SKG》とした。
1997年の『アミスタッド』以降、スピルバーグの映画のほとんどを制作している。
『リロアンドスティッチ』の監督など、ディズニー出身のスタッフが移籍することもある。
2005年12月、パラマウント映画の傘下になる。が、パラマウントCEOの発言が原因でスピルバーグとの仲が険悪化。2008年、資金を集めて独立を試みたが、運悪くリーマンショックのアオリを受けて失敗し、一部パラマウントとの契約を続けたまま、ディズニーとも提携した後、アンブリン・エンターテイメントの傘下となり、現在に至る。なお、アンブリンの元アニメ部門であった《アンブリメーション》は、後にかつてのアニメ部門であったドリームワークス・アニメーションとなった。
ドリームワークス・アニメーション
アニメ製作部門には、スピルバーグの元のアニメスタジオ《アンブリメーション》にいた作家たちが移籍した。1995年からパシフィック・データ・イメージズと組み、『アンツ』(1998年)からアニメ映画の製作を始める。
そして2000年に、ドリームワークス・アニメーションとして設立した。略称はDWA。
2004年にはドリームワークス・アニメーションSKGとしてドリームワークス・ピクチャーズから独立。
『シュレック』シリーズや『マダガスカル』シリーズや『カンフーパンダ』シリーズや『ヒックとドラゴン』シリーズ等のメガヒット作品を世に送り出してきた。ちなみに、アカデミー賞の歴史で初めてアニメ部門が作られたのは第74回であり、それを受賞したのが『シュレック』だった。
2006年1月31日、パラマウント映画と配給契約を結ぶ。元親会社のドリームワークス・ピクチャーズは1ヶ月前にパラマウントの傘下になったばかりであった。2012年8月に20世紀フォックスと配給契約を結んだ後、2016年、とうとう『ミニオンズ』などで知られる(「コムキャスト」傘下の)「イルミネーション・エンターテインメント」に38億ドルで買収された。
が、2017年は『ボス・ベイビー』がディズニーの『美女と野獣』を押さえて2週連続 No.1を達成した。
- このため、イルミネーションによる2016年(日本では2017年)に公開された『シング』にはドリームワークスへのオマージュが入れられている。一方、一部では同作をドリームワークス作品と勘違いされる場合もあるようである。
ディズニーとの因縁
モットーは「子供と、大人の中にある子供心に向けたディズニー作品」
に対して、「大人と、子供の中にある大人心に向けたドリームワークス作品」
とされており、カッツェンバーグ氏は
「ディズニーの理念は愛している」
としている一方で、
「同じ物を作ってはダメだと思った」
と語っている。
そして、
「ディズニーとの離別があんなに醜悪なものにならなければ良かったと思うけど、それのおかげでドリームワークスが生まれた、後悔はない。」
と述べている。
カッツェンバーグ氏のディズニーとの離縁の理由は、
「財政のためとはいえ、名作の(決してクオリティーの高くない)続編をビデオ作品などで出すスタイルに納得できなかった」
というどこか職人気質なものであった。
- ディズニールネッサンスの各作品にビデオなどの続編を出すやり方は確かに効果があったらしい。
ちなみに、『アンツ』や『シャーク・テイル』の作風が同時期のディズニー(というかピクサー)の作品と似ているためパクリという論評がネットには見られるがこれは誤解である。ドリームワークスとして決別した際、当時カッツェンバーグ氏自ら携わっていた作品のアイディアをそのままドリームワークスで制作したのである。
- 逆に、ディズニー側がドリームワークスをパクったと言われる場合もある。『レミーのおいしいレストラン』はマウス・タウン ロディとリタの大冒険を、『ライアンを探せ!』は『マダガスカルシリーズ』を、という具合である。ちなみに実際には各2作品の公開時期が偶然重なっただけにしか過ぎず、ディズニー側がパクったという訳ではない。
そして、後述の通り、ドリームワークスの不調の折にディズニーが作風を真似始めた(と指摘されるほど時期的に符合している)。
また、例えばクリス・サンダースのように、ドリームワークスとディズニーの両方で経歴を持つ人々もいる。
なお、例えば『リアル・スティール』のように、ドリームワークス制作で日本ではディズニーが配給する事例もいくつかある。
特色・日本における状況
ディズニーよりも毒のある表現などで人気を博す。世界中でディズニーに迫る人気を得、ドリームワークスの方を好む人も多い。
というか、近年のディズニー作品が毒を含み始めたのはドリームワークスの影響であるという指摘もあるほど。
- この「毒」のある表現が見られるようになったのはドリームワークスが不調の時代と符合しており、それにイルミネーションが追従したこともあり、如何にドリームワークスの影響が大きかったのかが窺える。
だが、海外と日本とでは知名度に大きな差があることは有名。
原因としては、途中から配給がパラマウントから20世紀フォックスになったものの、アニメ映画の上映に消極的な傾向がある20世紀フォックス日本法人が世界中で大ヒットしている作品の数々を日本では六年間に渡って未公開にし続けていたことも関係している。
しかしその後、前述の理由から配給がユニバーサル・ピクチャーズ作品の国内配給会社、東宝東和に変更され、ユニバーサル×ドリームワークス作品第一弾として発表され、ヒットした『ボス・ベイビー』は日本でも大々的に宣伝され、様々なタイアップ展開がされるなどかつてないと思われる程優遇されており、ドリームワークス側にも日本のファンの側にとっても状況が変わっていった。
- ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでも存在感を放つミニオンズで知られるイルミネーション側の影響力と宣伝力が遺憾なく発揮されていた。また、もともと、ドリームワークス作品は国内外のユニバーサル・スタジオでフィーチャーされてきた。
そして、映画興行ランキングでは同時期に上映された『映画ドラえもん・のび太の宝島』や『リメンバー・ミー』を抑えて1位を獲得した。
そして遂に…
独立系映画配給会社のギャガが米ドリームワークス・アニメーション(DWA)と日本配給におけるパートナーシップに合意したことを発表し2019年以降のDWA作品は全て日本でも劇場公開される方針になった事が確定した。国内ファンの悲願が実現する運びとなった。
そして2019年の「ヒックとドラゴン 聖地への冒険」以降、日本国内ではDWA作品は東宝東和(劇場運営担当)とギャガ(宣伝担当)の共同配給にて上映されている。
その後、公式Twitterアカウントが開設される、YouTubeのトロールズ公式チャンネルがドリームワークス公式チャンネルに変更される等、地に足のついた展開が広げられている。
なお、映像ソフトに関してはNBCユニバーサル・エンターテイメントジャパンに戻されている。
製作映画
『ディープ・インパクト』(パラマウント配給)
『プライベート・ライアン』(パラマウント配給)
「マイノリティ・リポート』(20世紀フォックス配給)
『ハットしてキャット』(ユニバーサルと共同)
『宇宙戦争』(パラマウント配給)
『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』(パラマウント配給)
『ドリームガールズ』(パラマウント配給)
『キャスト・アウェイ』(20世紀フォックス配給)
『トランスフォーマー』(パラマウントと共同)
『リアル・スティール』(タッチストーン・ピクチャーズ配給)
『ゴースト・イン・ザ・シェル』(パラマウント配給)
配給映画
『ザ・リング』
『千年女優』
『イノセンス』
ドリームワークス・アニメーション作品
『アンツ』1998年
『プリンス・オブ・エジプト』1998年』
『エル・ドラド/黄金の都』2000年
『チキン・ラン』2000年*アードマン・アニメーションズとの共同製作
『シュレック』2001年
『スピリット』2002年
『シンドバッド 7つの海の伝説』2003年
『シュレック2』2004年
『シャーク・テイル』2004年
『マダガスカル』2005年
『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』2005年*アードマン・アニメーションズとの共同製作
『森のリトル・ギャング』2006年
『マウス・タウン ロディとリタの大冒険』2006年*アードマン・アニメーションズとの共同製作
『シュレック3』2007年
『ビー・ムービー』2007年
『カンフーパンダ』2008年
『マダガスカル2』2008年
『モンスターVSエイリアン』2009年
『ヒックとドラゴン』2010年
『シュレック フォーエバー』2010年
『メガマインド』2010年
『カンフーパンダ2』2011年
『長ぐつをはいたネコ』2011年
『マダガスカル3』2012年
『ガーディアンズ伝説の勇者たち』2012年
『クルードさんちのはじめての冒険』2013年
『ターボ』2013年
『ミスター・ピーボディ&シャーマン』2014年
『ヒックとドラゴン2』2014年
『ペンギンズ FROM マダガスカル』2014年
『モンスター・トラック』2016年
『カンフーパンダ3』2016年
『トロールズ』2016年
『スーパーヒーロー・パンツマン』 2017年
『ボス・ベイビー』 2017年
『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』 2019年
『スノーベイビー』2020年
『トロールズ ミュージック★パワー』2020年
『クルードさんちのあたらしい冒険』2020年
『スピリット 未知への冒険』2021年
『ボス・ベイビー ファミリー・ミッション』2021年
『バッドガイズ』2022年
『長ぐつをはいたネコと9つの命』2022年
『ルビー・ギルマン、ティーンエイジ・クラーケン』2023年
『トロールズ・バンド・トゥギャザー(邦題未定)』2023年
『カンフーパンダ4』2024年
『野生の島のロズ』2024年
余談
過去に日本では2004年から角川グループと契約を結び、映画作品の配給をアスミック・エースが、映像ソフトの販売を角川エンタテインメントがそれぞれ担当していた。
関連動画
関連タグ
スティーブン・スピルバーグ / パラマウント映画 / 20世紀フォックス / ユニバーサル・ピクチャーズ / 東宝東和 / ギャガ / NBCユニバーサル
外部リンク
DREAMWORKS ANIMATION - 公式サイト(英語)