概要
「ル・バラバ・ドム」とは、「宇宙一の無責任男シリーズ:無責任艦長タイラー」の登場人物である。
なお、キャラクター設定やデザインに「三つのバージョン」があるため、それぞれに解説する。
原作版
声:堀内賢雄
カセット文庫版「無責任艦長タイラー」
そしてゴザ16世こと「アザリン・ド・エル・クラン・ライクン:アザリン」の「随一の忠臣」であり、
主人公:ジャスティ・ウエキ・タイラーの「永遠のライバル」である。
紅色の癖毛のある長髪かつ長身であり、頭には白いターバンを巻き、黒いローブをまとっている。
冷静沈着な性格ではあるが、ラアルゴン人が持つ「闘争心」溢れる豪傑でもあり、激した折に部下すらも死に至らしめ、仲間内の決闘に敗れた事がなく、その力は「バシュトール砂ライオン」を素手で絞め殺し、その眼力でそばにいた者を睨み殺す程である。
そして「戦争こそ我が人生」と断言する程の戦好きであり、作品内における「ラアルゴン人を象徴するキャラクター」となっていった。
元は貴族の生まれであったが、父である「ア・キュラ・ドム」が奸臣:ナク・ラ・ワングの陰謀により没落し、そのため、辛酸を舐める幼少期を送る。
そして老将:ユッター・ド・ロナワーに見出され、その引き立てにより、ラアルゴン帝国の将の一人となる。
そして縁があり、「ゴザ16世」ことアザリンに、終生の忠誠を誓う。
原作版第1巻『無責任艦長タイラー』にて、惑星連合宇宙軍の新進気鋭の存在であったジャスティ・ウエキ・タイラーに興味を持ち、子飼いの暗殺者でありラアルゴンの破壊工作員・ゲッショウ(バラゴム)を用いて巡洋艦「阿蘇」を罠に嵌め無条件降伏させ、タイラーを「捕獲」してラアルゴン帝国へと連れ帰り、「ゴザ16世」、即ちアザリンと引き合わせた。
つまりはジャスティ・ウエキ・タイラーとアザリンを巡り合わせた張本人となる。
そして、タイラーの能力を認め、いつかはタイラーとの交戦して勝利を、と望んでいた。
そして「アシュラン編」、原作版第4巻『無責任元帥タイラー』終盤にて、タイラーと対峙することになるが、完敗してしまう。
その後は、「アシュラン編」、「颱宙ジェーン編」と、ここ一番の時に頼れる「タイラーの良き協力者」となり、「神聖ラアルゴン共和国」の官房長官として、アザリンの傍に在り続けた。
以下、ネタバレ
永遠の恋人・サリア
原作版番外編『赤き獅子』に登場。
ラアルゴンの神に仕えていた巫女であり、若き日のドムの恋人であった。
決して美人ではないが、人の心を癒やすものを持っており、戦場にて疲れたドムの心の拠り所となっていた。
不治の病に侵されていたため、結婚は考えていなかったのだが、それでもドムは押し切り、婚姻の約束を交わす。
しかしそれも束の間、ワングの策謀の果てに、自死をしてしまうことになる。
そしてそれ以来、ドムが他の女を愛することはなかった。
アザリンとの縁
サリアを喪い、生きる目的を失っていたドムであったが、
「アザリン・ド・エル・クラン・ライクン」が「ゴザ16世」となった日、初めて目にしたアザリンに、ドムはサリアの面影を見た。
そしてその日以来、ドムはアザリンに、絶対の忠誠を誓う事になる。
原作版では、ドムのアザリンに対する情は「忠誠」であり「忠義」であり、あるいは「妹」であり「娘」に似たものである、と思われる。
その後:子孫について
ドムは生涯、結婚することは無かったが、
元・惑星連合宇宙軍 最高司令長官であった「アドリアン・アンダーソン」の一番末の孫娘である「レン・アンダーソン」の卵子を用いて子を成し、その子孫を遺すことになる。
『無責任カルテット』にて息子である「デ・ルシオ・ドム」が、
そして『無責任三国志』にて曾孫となる「ナ・バァム・ドム」が、それぞれ登場した。
よって「ル・バラバ・ドム」の子孫たちは、同時に「アドリアン・アンダーソン」の血、即ち地球人類の血を引く子孫、ということになっている。
裏話
ドムのキャラクター形成の裏話として、
原作者:吉岡平はドムに対して、他のラアルゴン人同様、筋骨隆々とした髭面の大男、をイメージしていたのだが、
当時、イラストを担当していた都築和彦により、キャラクターデザインが美形の美丈夫となったため、その扱いが大きく変わることになった。
アニメ版
声:関俊彦
神聖ラアルゴン帝国 第27銀河辺境方面 第66特派分遣艦隊所属 巡洋艦「ドローメ」艦長。
キャラクターデザインは、細部の変更はあるが、「頭に白いターバンを巻いて黒いローブを纏った、赤色の癖毛ある長髪の美丈夫」と、原作版と変更の少ない、数少ないキャラクターの一人となっている。
冷静沈着で義理堅い性格。
なのだが情に厚く、感情を激昂させる事もある。
ユッター・ド・ロナワーを上官とし、シア・ハスを部下とする。
ある日、一人泣いていた「ゴザ16世」ことアザリンの姿を見て以来、彼女の力となることを誓う。
第2話で「ハナー元提督人質籠城事件」を解決し、第4話でラアルゴンの偵察艦隊を全滅させた「ジャスティ・ウエキ・タイラー」に興味を持つ。
そして駆逐艦「そよかぜ」に工作員「ハルミ」を送り込み、タイラーの情報収集をしつつ、
第7話にてタイラーに「してやられる」も、第13における対ドナン提督艦隊戦にて、タイラーの、その「武運」を高く評価するようになる。
そして同じくタイラーに興味を持ったアザリンの望みに応じる形で、シア・ハスに命じ、「ハルミ」を使い、タイラーを「捕獲」し、ラアルゴンの旗艦「メルバ」に移送。
第16話「ストレンジ ラブ」で、タイラーとアザリンを引き合わせることになる。
そしてその後、第23話「宇宙で一番長い日」にて、神聖ラアルゴン帝国が惑星連合宇宙軍に決戦を挑んだ際に、惑星連合宇宙軍 艦隊臨時司令官となったタイラーの「本性と真意」を察知し、ラアルゴン艦隊司令官となり、「最終決戦」に挑むことになる。
アニメ版では敵方の将でありながら、ユリコ・スターやマコト・ヤマモトと同様に、「タイラーの真の姿」を見極めていく役回りとなっていた。
以下、ネタバレというかなんというか。
アニメ版最終話終盤で「キャラクターがコミカルな方向に崩れた」のを皮切りに、「ル・バラバ・ドムのキャラクター」がいろんな方向へいじられていき、まあ要は「壊れていく」ことになる。
それは関連作品であるオーディオドラマに顕著になっており、その様は、ある意味ヤマモトより以上のいじられ様にもなっている。
しかも主に原作者サイドの手で。
困ったもんだ。
中には、「中の人」である関俊彦(本人です)が、ル・バラバ・ドムにインタビューしたり密着レポートをする、といった荒技的な内容の作品群も存在する。
(一連の作品は、オーディオCDアルバム「MUSIC FILE6 "UNPUTENPU(運否天賦)"」に収録されている)
その結果、アニメ本編にも少し影響が出てしまい、特に「特別編『ひとりぼっちの戦争』」では、
- 尋問の果てに何故かユリコ・スターを口説く素振りを見せ、殴られる。
- アザリンに「何か」をして泣かせてしまったタイラーを逆さ吊りにしてムチでしばく。
- 駆逐艦「そよかぜ」を解放したものの、疑心暗鬼に苛まれた挙げ句、その後を追いかけ奇襲を仕掛ける。
といった、「ドムのキャラクターの枠から外れた行動」が見られた。
リライト版
基本設定は原作版と同じ。
しかし、原作版やアニメ版であった「頭に白いターバンを巻いて黒いローブを纏う」衣服が変更となり、
キャラクターデザイン担当の吉崎観音により、「近未来的なスーツに胸部と腹部の筋肉が露出したデザイン」に変更された。
※イラスト右側がリライト版のドムとなる。
また、原作版やアニメ版では、アザリンに対する「想い」は忠義や忠誠、そして妹といった肉親に対する情となっていたが、
リライト版では「それ以上の思慕の情」的な描写が「増えてしまっていた」。
そして、『真・無責任艦長タイラー』での「神聖ラアルゴン帝国との最終決戦」におけるジャスティ・ウエキ・タイラーが対峙した相手は、原作版とは異なり、この「ル・バラバ・ドム」となっている。
関連タグ
宇宙一の無責任男:原作版タグ
無責任艦長タイラー:アニメ版タグ及び作品総合タグ
真タイラー:リライト版タグ
強敵(とも)