概要
「キョンファ・キム」とは、「宇宙一の無責任男シリーズ:無責任艦長タイラー」の登場人物である。
なお、キャラクター設定やデザインに「三つのバージョン」があるため、それぞれに解説する。
原作版
声:水谷優子
カセット文庫版:「無責任艦長タイラー」
「厳冬惑星ホロシリの叛乱」
ラジオドラマ版:「無責任キッズ『暗黒太陽小町』」
作品開始時22歳。
巡洋艦「阿蘇」の女性士官であり通信士。
流れるような黒髪を持つ美人であり、その美貌で男所帯である艦内の「華」となる一方、通信士としても惑星連合宇宙士官学校を極めて優秀な成績で卒業するレベルの聡明な才媛。
そして常に冷静であり、今で言うところのクール系美女である。
タイラーの妻となったユリコ・スターとは親友であり、その友情は終生変わらなかった。
ジャスティ・ウエキ・タイラーのお気楽極楽な無責任さに呆れつつも、その能力を使い「タイラーファミリー」の一員として彼を支えていくことになる。
以下、ネタバレ。
タイラーとの因縁
実は、タイラーに起因した状況が原因で、婚約者を亡くしてしまっていた過去がある。
優れたハッカーとしての能力も持っていた彼女は、独自にその事実を突き止めた。
そしてこの「事実」は、セッシュウ・ミフネの三男の戦死にも関わっていたため、ミフネに極秘裏に報告される。
その一方で、タイラーにスカウトされる形で駆逐艦「阿蘇」に乗り込む事になり、ミフネに「タイラーの監視」を命ぜられ、乗艦する。
つまり、キムはタイラーを恨みながらのクルー入りとなってしまっていた。
この経緯の詳細は外伝①『銀河無責任時代』を参照のこと。
そういったわけで、実は原作版キムは、タイラーが本気で苦手、なのである。
例えば、作中でタイラーがギターを持ち出し演奏を始めようとすると、即座に耳に耳栓を入れるほどである。
それでも、「仕事に私情を持ち込まない」主義のを貫き通し、こなす仕事はきちんとこなしていった。
また『ワングの逆襲』では、親友であるユリコ・スターに請われて、ハッカーの能力を駆使し、「タイラー脱獄」の手助けをする、などしている。
そしてタイラーと共に行動する内に、少しずつタイラーに対する認識を改めることになったようだ。
詳しい経緯やその心情は明かされていない。
後に続編『無責任キッズ』にて、タイラーの娘である「キサラ」が入学した女子士官学校の校長を勤めていたのだが、その際に、
「(キサラの事を)期待していいんですよね?タイラー閣下。」
と、意味ありげな台詞を残している。
グエン・ホー・ミンとの縁
同じく「タイラーファミリー」の一員である「グエン・ホー・ミン」とは、第1シリーズ2作目となる『明治一代無責任男』からの縁となる。
どんな縁かというと、
タイラー、ヤマモト、ドクター・キタグチが打ち合わせをしているその一方で、明治時代の九十九里の海岸の砂浜で、
どこから持ち込んだのやら、マイクロビキニを身に付けたキムが、日光浴を楽しみながら、グエンにサンオイルを塗らさせていた。
本作の口絵には、都築和彦によるキムのマイクロビキニ姿がカラーで載っているので、
(このイラストはこちらにの電子書籍の試し読みで確認する事ができる。
宇宙一の無責任男シリーズ2 明治一代無責任男【電子新装版】 - 吉岡平(富士見ファンタジア文庫):電子書籍ストア - BOOK☆WALKER -)
そのビキニの凶悪さも含めて、グエンくんのこの状況を羨ましがるのも一興である(笑)
そしてもう一つ。
キムは「朝鮮『島』」出身であり、グエンは「インドシナ『島』」出身である。
(『島』となっているのは、作中の地球での核戦争「ぶちこわしの一週間」において、ユーラシア大陸が海没してしまったからである。)
そして、彼らが「降りたった」明治時代の日本は、ヨーロッパ列強国に対抗すべく軍事力を上げ始めており、そして「日清戦争」の真っ只中であった。
なので、キムとグエンにとっては、この頃の日本はあまり居心地のいい場所ではなかった。
(なおこの設定は、『明治一代無責任男』発刊当時の原作者:吉岡平の歴史認識からきたものであり、現在は歴史研究の進行によって原作者の歴史認識が変化している可能性があることを付け加えておく。)
というわけで、二人は明治時代の東京に向かったタイラーとヤマモトを待つ形での、九十九里浜での居残り待機組となる。
まあドクター・キタグチも居残り組だったわけなんだが。
そしてこの時に、二人にどんな事があったのか、作中では特に触れられていない。
そしてその後、キムのサポートに付く形でグエンも通信業務に就くようになり、
第1シリーズ最終章「颱宙ジェーン騒動」の最中に婚約し、騒動終結後、結婚をした。
グエン役得!!と思いつつも、ま、それはそれでありかな?という組み合わせである。
それに、「颱宙ジェーン編」時点でのキムの年齢が三十路直前だった、ということもあるけれども。
(シリーズ内での時間経過は割と早かったりする。)
まあ、少なくともエィミィたちよりは………。
アニメ版
声:三石琴乃
年齢18歳。階級は中尉。
駆逐艦「そよかぜ」通信士。
タイラーの事は上官であるのだが、基本呼び捨て。
愛嬌がよく、さっぱりサバサバしたノリのいい性格で、クルーの中では一番タイラーに近い性格をしており、少々勤務態度に問題有りな人物であった。
しかし第11話「左遷されて(ながされて)女ざかり」にて、左遷宙域に流されてしまった「そよかぜ」内で、「お偉方の目から遠くなったから」という理由で、当直を勝手に交代してしまったり、勤務中に私服を着るなどの問題行動を起こし、もともと性格気質が正反対であったユリコ・スターと対立してしまう。
しかし、タイラーが「巻き起こした騒ぎ」が原因で、「いざというときには動く」人材である事が明らかとなった。
以降は「そよかぜ」内で通信士としての能力を存分に生かし始め、ユリコとも打ち解けていった。
それとアニメ版では、同じブリッジクルーの間柄からか、ハロルド・カトリと一緒にいるシーンがよく見られた。
アニメ版カトリは「女たらし」の設定が無くなり、かなりの地味キャラとなっており、おそらくは、原作版のグエン・ホー・ミンの性質が含まれている、と考えられる。
なので、「キムの相棒役」としての役割も、アニメ版カトリに割り振られたものと考えられる。
というわけで、実は原作版からかなりの部分でキャラクターが変更になったのが、このキョンファ・キムである。
そしてアニメ版から原作版続編シリーズへの影響が「全く無かった」キャラクターともなっている。
その為もあったのか、アニメ版放送後に制作された、原作準拠他メディア作品であるラジオドラマ版「無責任キッズ『暗黒太陽小町』」でのキョンファ・キム役は、カセット文庫版からの唯一の続投キャストとなる水谷優子となっている。
そしてアニメ版キョンファ・キムについてよく言われているのが、「これミサトさんだよねw」というもの。
※こちらは「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」からのパロディネタである。
但し、「タイラー」アニメ版は1993年に放送開始、「エヴァ」アニメ初作版は1995年放送開始なので、こちらの方が先となっている。
リライト版
コリアン系の惑星連合宇宙軍の女性士官であり、クールビューティーな才媛であり、ユリコ・スターの親友であり、
ジャスティ・ウエキ・タイラーが艦長となった巡洋艦「阿蘇」に、通信士としてその一員となる。
「タイラーとの因縁」も含めて基本的には原作版と同じ。
原作版よりもコリアン系であることが強調され、キャラクターデザインは黒髪に細目なつり目、そしてキリスト教徒であり、胸には小さな十字架を掛けており、その十字架を手にしながら「彼」の事を思い起こす描写もある。
しかし、「タイラーの奇跡」を目の当たりにしていくうちに、少しずつタイラーに惹かれていってしまう。
アニメ版でもタイラーに迫る描写があったが(第20話「よきに計らえ善後策」)、その描写が用いられた形となる。
その一方で、同じブリッジクルーであるグエン・ホー・ミンからのアプローチが、例えばブリッジ内でこっそりとグエンがキムにメールを送ったりするなど、原作版よりもあからさまに描写されている。
しかしキムは、そのアプローチをピシャリとシャットダウンするなど、その対応なかなか手厳しいものとなっており、グエンの「健気な甲斐甲斐しさ」が果たしてキムに通じるか?という展開となっている。
関連タグ
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無責任艦長タイラー:アニメ版タグ及び作品総合タグ