概要
1984年3月から1985年2月にかけてTBS系列局(ただし青森テレビ、山陰放送、大分放送、宮崎放送、琉球放送に加えてテレビ山口除く)及び山形テレビ、愛媛放送、サガテレビ(いずれもフジテレビ系列局。ただし山形テレビは1993年3月に脱退)にて全45話が放送された。アニメーション制作は東映動画(現在の東映アニメーション)。
本来の放送日時は日曜17時台前半なのだが、フジテレビ系列局約3局はともかく、放送したTBS系列局でも多くは放送日時を差し替えており、基幹局でもCBCと毎日放送が放送日時を差し替えていた。そして基幹局でも準基幹局でもないTBS系列局で、TBSと同時ネットで放送したのはテレビユー福島のみであった。
1983年公開の洋画「ウォー・ゲーム」にヒントを得て企画されたもの。
冒頭で登場する「アメリカに住んでいる友達と、パソコン通信でロボット同士のバトルゲームで遊ぶ」という状況は現代でこそ普通に実現しているものの、放送当時の1980年代の日本においてはまだまだ夢物語であった。そのことを踏まえると、本作は先見の明と言えなくもない。
東映本社のロボアニメとしては珍しく、リアル志向での展開がなされていたが、下記の売り上げ不振の影響によりスーパーロボット路線へと舵を切ることになる。
なおタイトルの「ビデオ戦士」は「ビデオゲーム」が由来なので、録画機器としての「ビデオ」は特に関係しない。
放送当初は全52話を予定していた。しかしながら玩具売上不振等で全45話に話数短縮されてしまい(更に毎日放送では29話で終了前倒しの憂き目に遭うが放送時間を変えて続いたという証言もある)、中盤からの路線変更を余儀なくされる形(後述)となり、いくつかの伏線が呆気なく放棄される結果となった。またこの件により、東映動画オリジナルの巨大ロボットアニメの製作が一時であるが途絶えてしまうという大きな影響を残した。ことにアニメ雑誌に予告を出していたほどだった「シルバング」もこれによりお蔵入りした(設定自体は後の時代に形を変えて復活している)。
東映動画のロボアニメが再開したのはトランスフォーマー(TF)シリーズの第3弾『トランスフォーマー ザ★ヘッドマスターズ』となったが、これはアメリカサイドのアニメシリーズ製作が途絶えたための苦肉の策でしかなく、TF一期の終了と共に東映動画ロボアニメは終焉を迎え、その後はわずか数作しか製作されない事態となってしまった。
東映の関連会社・東映ビデオから全45話を網羅した4枚組DVDセット全2巻が2020年3月にリリースされている。本作の映像ソフト化はこれが初めてだったりする。
スパロボシリーズへの参戦も何か理由があって参戦できないのでは……と思われていた中、2018年にはスーパーロボット大戦X-Ωに参戦を果たした。
前半のリアル路線と後半の路線変更
前半は『もしリアルSF世界に非常識な能力を持つスーパーロボットが存在したら』というコンセプトを基に、リアルロボット世界でのスーパーロボットの活躍を描く展開がなされていた。
レザリオンはゲームデータが事故によって実体化したものであり、現技術では考えられない超常的な能力も備えているため、ガンダム世界レベルの文明しかない本作では驚異の存在となっていた。現にネット通信を利用した瞬間移動や一時的に機体をデータ化し攻撃をすり抜けるといった超常能力を駆使した戦闘が様々なギャップを呼んだ(中にはこの戦法を「主役ロボらしからぬ戦法」と呼んだ視聴者も)。
さらに下記に述べた展開によってリアルロボット同様のハード路線を貫く予定であった。前半に起きた主人公の親しい人物が次々と敵に狙われていく展開はその前座といえる。そして今まで一般人だった主人公が自分がレザリオンを操縦できるがゆえに否が応でも戦争に巻き込まれていく展開もリアルロボットアニメをなぞったものとなっている。
しかし玩具売上の不振により番組後半は路線の変更を余儀なくされることになる。反乱軍は地球侵略(とジャーク皇帝の延命)を目的としたジャーク星人が組織するジャーク帝国に乗っ取られ、物語は一気に地球対ジャーク帝国との戦いに変貌した。
一応ジャーク帝国襲来の兆しが見える話があり、後半は反乱軍とコンタクトを取り同盟を結ぶ予定であったため、急な路線変更を狙ったわけではない。が、ゴッドハイド暗殺を機に始まった乗っ取り展開が急激に行われた結果、前半と後半とでの温度差が発生することとなり、それ以降はスーパーロボット的なストーリー展開となった。今まで超常的だったレザリオンの能力も優位なものではなくなってしまい、それを補うための強化計画を立ち上げるなどのテコ入れも行われている。※
終盤のジャーク帝国内部の反乱から瓦解に至るまでの展開は色々な意味でかなり力の入ったものとなった。最終話の敬VSギャリオの一騎打ちは数あるロボットアニメの中でも名勝負と当時の視聴者が感想を述べるほど。
※レザリオンがレーザーバトルギアを装着した『フルアーマーレザリオン』がそれにあたるが、これは当初から予定していたものである。レーザーバトルギアは各形態での合体も予定していたが、結局実現しなかった。
幻の展開
後半の路線変更が無かったら以下のエピソードも予定されていた。
- 敬の義姉が戦闘に巻き込まれ死亡。
- レッドベアー登場回のゲストも悲劇的最期を迎える筈だった。
- シルベスター将軍の秘書・モンローが、実は反乱軍のスパイだった。
etc…
これが実現していたらかなりハード鬱なアニメになっていたのではとの意見もある。
ストーリー
人口・環境・汚染問題のはけ口を地球の外に求める「地球クリーン化政策」のもとに置かれた未来の地球。火星と月が産業廃棄物や犯罪流刑者の送り先となっていた中、月で軍を組織したゴッドハイド博士は量産型戦闘ロボット「ブラックベアー」を開発、地球に対しての反乱を開始した。
その戦闘の余波がブルーハイム博士・シルベスター将軍が指揮する地球連邦軍の物質電送システム実験場にまで及び、実験装置にミサイルが激突。このときのショックでパソコン好きの少年・香取敬の作った通信対戦ゲーム用の戦闘ロボット「レザリオン」のデータが地球連邦軍のコンピューターと混線してしまい、電送実験に使われた旅客機を素材として実体化してしまった。
反乱軍の戦力に対抗できるレザリオンを使いこなせるのは敬だけであり、ブルーハイム博士の脅し(実験失敗に対する賠償請求であるが、それって冤罪なのでは?)もあって地球を守る戦いへと巻き込まれていくことになる。
登場キャラクター
- 香取敬(CV:古谷徹)
- オリビア・ローレンス(CV:潘恵子)
- シルベスタ(CV:野田圭一)
- ブルーハイム(CV:滝雅也)
- ゴッドハイド(CV:蟹江栄司)
- インスパイア(CV:森功至)
- ギャリオ(CV:森功至)
- モンロー(CV:川浪葉子)
- チャールズ・ダナー(CV:若本紀昭)
- サハラ(CV:山田栄子)
メカニック
地球連邦軍
- レザリオン 飛行形態や戦車形態にも組み替え変形が可能などころか、電送能力(テレポート能力)により神出鬼没な戦いが出来る非常にチートなスーパーロボット
- Gシリーズ 地球連邦軍製の戦闘ロボットシリーズ。レザリオンとは比べ物にならないほど弱いが、全3機しか導入されなかった事から、シークレットフォースにとってGシリーズは非常に高価高額な機動兵器である事がうかがえる。
通常であればナンバリング順にG3になる筈がG5となっている。G3やG4は画面に出てないだけで別の部隊に配備されている様子。G5を基に、Gシリーズは量産されることに。
- 量産形Gシリーズ(仮称) 後半のジャーク帝国編で漸く量産されたGシリーズ。詳細が判明次第、随時修正予定。
反乱軍
- ブラックベアー 反乱軍の主力量産期
- レッドベアー 第一部唯一のカスタム機
ジャーク帝国
- ジャークサバン ジャーク帝国の主力量産期。一部カスタム機が登場する。
- ギャリオサバン 後半のライバル機でレザリオンと互角の強さを持つ
余談
韓国ではアニメ映画ビデオレンジャー007の題名で上映されたが、非正規作品、つまりパクリの様である。
主題歌
オープニングテーマ
「ビデオ戦士レザリオン」
作詞:吉田健美、作曲:渡辺宙明、編曲:藤田大士、歌:宮内タカユキ
エンディングテーマ
「Heartful Hotline(ハートフルホットライン)」
作詞:吉田健美、作曲:渡辺宙明、編曲:藤田大士、歌:かおりくみこ
挿入歌
「We' re Ready」
作詞:吉田健美、作曲:渡辺宙明、編曲:藤田大士、歌:宮内タカユキ、こおろぎ'73
「忘れないでForever」
作詞:冬社加代子、作曲・編曲:藤田大士、歌:かおりくみこ
「光の世界」
作詞:上原正三、作曲・編曲:渡辺宙明、歌:宮内タカユキ
商品展開
当時の玩具はフレームを折りたたむことができる機能を持ち、コアは2形態のマシンに変型できるギミックを乗っていた。
暫くの間はリメイクトイに発売に恵まれなかったが、21世紀に発売されたハイエンドトイ・ダイナマイトアクションで発売され、ユーザーを歓喜させた。ほぼすべてのギミックが再現されているが、フレーム折りたたみギミックのみ再現されていない。
関連タグ
光速電神アルベガス:前作。本来は別のテレビ局の番組だが、TBS系列局の一部でも放送された。しかもこちらは放送してもレザリオンは放送しなかった、と言う所がある。
超獣機神ダンクーガ:バンダイのロボットアニメの次回作でリアルロボット世界でのスーパーロボットの立ち位置を描いた作品。こちらも放送期間短縮の憂き目に遭った。
日5:キー局の放送時間帯で此処ではTBS製作だった初代日5を指す。
機動戦士ガンダム00:偶然とはいえ上記の路線変更以前の展開のいくつかが実現しているほか、2期が日5帯での放送という共通点がある。