概要
一年戦争末期、コロニー落としの被災地と成ったオーストラリアを舞台として、主人公マスター・ピース・レイヤー率いる地球連邦軍ホワイト・ディンゴ隊の活躍を描いた作品。
それまで一年戦争期で描かれてこなかったオーストラリアを舞台としている。
前作で突っ込まれた「ジムゲーだと思ったら半分以上ガンダムじゃねーか」とのツッコミを受けたのかどうなのか、従来『やられ役』とされてきたジムが大活躍する正に「ジムゲー」と成っている。
それどころか本来の主役機であるガンダムが、作中本編では全く登場しない、当時のガンダムゲーとしては前作以上に異色の作品と成った(本編クリア後の模擬戦闘モードでのみガンダムは登場)。
……何? 一番強くて便利なのは量産型ガンキャノンだって? それを言っちゃあおしまいだよ。
また、前作の問題点で在った「味方が全く役に立たず、実質救助対象である」との問題点も解消しており、味方を指揮して戦うのが重要と為っている。
余談だが、前作から「ジオン側視点のジオン主役ゲーが見たい」との要望が有ったが、開発者曰く「それだと、敵がジムだらけに成ってしまい、画面的に見栄えしなく成る」との理由から、当時は断念せざるを得ない事情があった(後にジオンが主役のガンダムゲーは出るが)。
2014年にPS3ソフト機動戦士ガンダムサイドストーリーズにおいてリメイクされた。
更には2017年にはガンダムエースにて才谷ウメタロウ氏が描く漫画版の「機動戦士ガンダム GROUND ZERO コロニーの落ちた地で」が同年7月号から連載した。
ストーリー
宇宙世紀0079年に勃発したジオン公国による独立戦争。その開戦当初に行われたブリティッシュ作戦によって大打撃を受けたオーストラリア大陸も戦場と成った。
それから11か月後、地球連邦軍はオデッサ作戦の成功を契機にオーストラリアで反攻作戦を開始した。
連邦軍の特殊MS部隊ホワイト・ディンゴはその反攻作戦の為に激戦へと身を投じていった。
そんな彼らの前にジオンオーストラリア方面軍のエースヴィッシュ・ドナヒューが立ちはだかり、更にはジオンが開発した『環境破壊用生物兵器アスタロス』がオーストラリアに持ち込まれる事態が起こり、ホワイトディンゴはそれの殲滅に就く。
キャラクター
地球連邦
連邦軍特殊MS小隊ホワイト・ディンゴの隊長。階級は中尉。コールサインはファング1。
元は戦闘機パイロットで出身地はオーストラリア。
「自分を過信せずに常にベストを尽くす」のを信念に戦う。瞬時に敵の要点や狙いを見抜く観察力、状況に合わせ正攻法・奇策を立案する作戦立案力、常に平静を保ち最良を模索する気質を持ち『仲間や司令を信じる事』と『疑う事』の相反する思考を両立出来る。部隊内での信頼も高い。
名前の由来は「Pレイヤー」=「プレイヤー」で在り、つまりはプレイヤー自身であると意味している(『機動戦士ガンダム外伝THEBLUEDESTINY』の主人公ユウ・カジマの名前の由来が「YOU」=「あなた」……つまりプレイヤー自身を指している)。
ユウ・カジマとは同じゲーム出身のプレイヤーキャラクターなのもあり、『ジオンの系譜』にてユウとレイヤーが会った際、レイヤーの口から同郷(同じゲーム出身キャラ)である旨が語られる会話イベントがある。
初期のゲーム作品では整髪剤で整えた様な七三分けの『如何にも軍人』な風貌だったが、上記のコミカライズ版では七三分けなのは変わらないが、毛先を適度に遊ばせており、若干若返った印象を与える(※個人の感想です)。
CV:幹本雄之
ホワイト・ディンゴの隊員。階級は少尉。コールサインはファング2。
元は戦車兵。真面目で実直だが堅物ではない。物事に対してはクールに対応する。
口数は少なめだが、たまに核心を突く様な推察を行ったり、出所不明な噂を知っていたりする。
実はある所から密命を帯びてやって来た諜報員である。
初期ゲーム・コミカライズ版ともに黒髪の角刈りと、大きな変化はないが、コミカライズ版は四白眼寄りの三白眼めいた鋭い目付きに変更されている。
CV:宮本充
ホワイト・ディンゴ隊員。階級は少尉。コールサインはファング3。通称は「マイク」。
元は軍楽隊だったが、適正テストでの結果が良かった為にMSパイロットに為った変わり種。
芸術家気質かつ軽い様なお調子者男だが、任務は確実にこなす。
連邦軍のラジオのDJジャグリーンの大ファンであり、よく録音している。
初期のゲーム作品ではレイヤーと瓜二つなぐらいに外見が似ていたが、上記のコミカライズ版では天然パーマの童顔(何処となくアムロ・レイにも見える)に変更され、ほぼ別人と化している。
CV:土井美加
ホワイト・ディンゴ隊員。階級は軍曹。コールサインはオアシス。
ホバートラックからバックアップを担当。卓越した聴覚の持ち主で音紋索敵や電子戦、情報戦に長けている優秀な女性オペレーター。
ただ連邦軍の正義を盲信気味。よくマイクと揉める。
- スタンリー・ホーキンス
CV:藤本譲
連邦軍オーストラリア方面軍の司令官。階級は大佐。ホワイト・ディンゴの直接の上司。
反攻作戦の為に困難な任務をホワイト・ディンゴに命ずるも個人的に心苦しく思っているが、司令官としてそれを断じられる人物。
軍人家系で、職務に有能であり態度に嫌味は無いので部下からの信頼は厚い。
- ボブ・ロック
CV:緒方賢一
ホワイト・ディンゴの整備長。階級は曹長。
気さくな性格と職人気質を合わせ持つ優秀な整備士。その技術も確かで、新兵器などの特徴を把握していたり、ジオン兵器との性質差を察する等の知識も豊富で、ホワイト・ディンゴから厚い信頼を得ている。
1年戦争後に遊撃部隊・ファントムスイープ隊の整備長となる。
- ジャクリーン
CV:皆口裕子
連邦軍プロパガンダ放送のラジオDJ。兵士達の間では大人気でマイクもそのファンの1人。オーストラリア方面軍で使用されるジムの半分は「ジャクリーン」がパーソナルネームだとか。
またジオン軍内部でも彼女の放送に現を抜かす者も多いらしく、ウォルター大佐でさえも聞いている模様。
ジオン公国
CV:平田広明
詳細は個別記事を参照。
CV:小山武宏
ジオン公国オーストラリア駐屯軍司令官。階級は[[大佐]」。
略奪行為などの悪質な行動を嫌う正々堂々とした軍人で、実務と実働を重視した有能な司令官であると同時に、類稀なる戦略家でもある。
コロニーを堕とした侵略軍であるジオン軍オーストラリア駐屯軍が、オーストラリアの人々からさほど抵抗運動受けないのは生活の為、ジオン軍の物資に頼らざるを得ない事情はあるものの、前述の彼の方針によるところも大きい。
ザビ家のやり方を快く思っていないものの、スペースノイドの自立の為にはやむを得ないと考えている。尚、彼の部下にはジオン軍ながらザビ家を好まない者達も多い。オーストラリアでは優勢で情勢も安定していたが、ジオンの敗北を早期に見越し、極秘裏に「月の階段」なる作戦を発案・暗躍を開始した。
- ユライア・ヒープ(原作未登場)
小説版のみに登場。
ジオン公国軍補給将校。階級は中佐。通称「ユーリ」。
輸送分野のスペシャリストでその能力とその貴重さ故に、一年戦争開戦直前に招聘され、補給将校として人材育成や輸送作戦を立案したが、それと同時にジオン軍の後方支援能力の低さと開戦の無謀さを指摘した為、ザビ家に睨まれオーストラリアに左遷された。
結局、彼の指摘は大当たりで彼はザビ家を嫌う様に為った(実際キシリアを「妖怪の手先」呼ばわりしている)。能力を高く評価したウォルターにより、彼が立案した「月の階段」実行の為の特別部隊「オクトパス」の司令官に抜擢される。
- マヤ・コイズミ(原作未登場)
CV:小林優子(GジェネレーションF)
小説版に登場。
ジオン公国軍オーストラリア方面軍鉄道大隊指揮官で階級は大尉。
『お嬢様』とあだ名されており、よく交渉相手の愚痴や嫌みを口にし、嫌な上司等を相手にした後は厄払いに塩を撒いている。オーストラリア駐屯隊の指揮官とも親しく、以前にはヴィッシュとも交際していたが、彼は彼女と酷い別れ方をしたらしく、交際していた頃の記憶を忘れたいらしい。
オンオフの切り替えが悪い意味で巧みで、自分の都合に合わせて前言撤回する場面もある等々、良くて合理主義者、悪いとエゴイストにも見える厄介者。
- ニアーライト (原作未登場)
CV:置鮎龍太郎(GジェネレーションF)
小説版に登場。
局地戦戦技研究特別小隊マッチモニード隊長。階級は少佐。
下層階級の生まれで自分達を虐げられる立場から脱却し、見下せる立場へ逆転出来るきっかけを作ったザビ家を信奉するようになり、前述の経緯もあって歪んだ劣等感と選民思想で凝り固まっている。
オカマ口調で話し表面上の物腰は丁寧だが、自分以外は部下であっても一切信用せず捨て駒同然に使っており、邪魔になるなら躊躇なく死亡必至の囮に使う等と残虐な性格である。それ故に当人には戦争の行方も勝敗も、ひいては自分の命も人類の存続も無意味と見なし、ザビ家の脅威となる者と自分を馬鹿にする者の排除が全てである。
ザビ家の勝利の為に、キャリフォルニアベース陥落前に『生物兵器アスタロス』を持ち逃げし、味方のユーコンにシージャック同然で乗り込みオーストラリアへ脱出した。
必要な作戦を即座に立てられる知略と、ゴロツキ同然な隊員達すら恐れる冷徹冷酷ぶりでマッチモニードを纏める手腕の他、1度でも聞けばほぼ再現出来るだけの声帯模写スキルを持つ等々、人格に反して軍人として才覚は高い。
- グロック(原作未登場)
KADOKAWAコミック版に登場するオリジナルキャラクターで、階級は大尉の壮年。
有能とも無能とも評せられない実に凡庸の人物で、ドナヒューから呆れられている。
最期はライノサラスに自ら志願して搭乗、ホワイトディンゴと対峙するも、同兵器の欠陥を突かれて敗北・戦死した。
民間人
- オリヴィア・グラント
KADOKAWAコミック版に登場。
シドニー出身の地質学者の女性。スタンリー大佐直々の指示でホワイト・ディンゴに同行する。コロニー落としの影響で荒廃したオーストラリアの汚染状況を把握する為、連邦政府から依頼を受けているが、故郷を失った経験から軍人を快く思っていない。開戦時、つまりブリティッシュ作戦当時は、学会出席でパリにいた為に難を逃れていた。
地質学の分野から兵器になる前のアスタロスの研究にも携わっていた過去があり、アスタロスの概要と原理の知識もある。
- ピオ
KADOKAWAコミック版に登場。
オリヴィアの助手を務める眼鏡を掛けた女性で、やはりオーストラリア出身。
オリヴィアを慕っているが……。
メカニック
地球連邦
ジオン公国
専門用語
地球連邦軍オーストラリア方面軍遊撃MS小隊。主人公の部隊である。
連邦軍オーストラリア方面軍ではレッドポッサム、グリーンエキドナ、イエロークオッカ等、部隊や方面軍の名前に色とオーストラリア大陸および、その周辺の棲息する動物の名を組み合わせたものが使用されている。
- マッチモニード
キシリア直属の『局地戦戦技研究特別小隊』で、隊長はニアーライト少佐。ドムのみで構成されている(因みに、このドムはランバ・ラル隊に配備予定だったのを、ラル隊が戦力の補充要請を握り潰された為に回されたもの)。
しかし、実際は戦技研究なんて全くやっていない名ばかりの部隊に過ぎず、その本分は連邦軍やジオン軍内部の反ザビ家派への諜報や謀略等と、ザビ家の目としてジオン軍内部の監視であり、正にザビ家の私兵集団である。
ニアーライトを始めとする隊員達はサイド3の下層階級の出身であり、彼等は有能ではあるが蔑まれ虐げられながら生きていたが、ザビ家がサイド3を支配してからは彼等の支持者となって反対派の弾圧を行い、後に軍へと編入された経緯がある。
但し、この部隊はニアーライトを始め隊員全員が、お互いを「利用価値がある道具」と見なしている状態で「部隊」の体を成している様な有様で、軍隊としての規律も倫理観も無きに等しいゴロツキ集団であり、ドナヒューからは「装備は1流、腕は2流、人間としては3流」と酷評されている。
キャリフォルニアベースから脱出する際に『生物兵器アスタロス』を持ち出し、友軍の潜水艦にシージャック同然で乗り込んで、打ち上げ基地のあるオーストラリアへ上陸した。
その最中で独自の諜報網からトリントン基地に核兵器があることをつかんだ彼らはそのことを報告したキシリアから核兵器の奪取を命じられる。が、基地に忍び込み内部の人間の殺害には成功するも、核兵器奪取阻止を命じられたホワイトディンゴ隊の妨害を受ける。
基地のコンピューターを利用して相手を罠に嵌めたアニタと、連携の稚拙さを突いたホワイトディンゴの戦術、更にはキシリアに核を持たせるわけにはいかないと判断したジオン公国オーストラリア方面軍の意向により急遽隠れた援軍として派遣されたドナヒューの横やりで、彼らのドム五機は数に劣るホワイトディンゴ隊のジム三機に対し全く損害を与えられず敗北し奪取も失敗。
しかしニア―ライトもただでは起きず、サカキという部下をおとりにしてヘリを撃墜させた間に別のヘリでアスタロスごと脱出に成功。
が、ザビ家とは距離を取りたいオーストラリア方面軍はマッチモニードがアスタロスを持って宇宙に脱出することを拒否。これにより追いつめられた彼らは密かに打ち上げ基地に潜入してHLVと管制室を本来の隊員を抹殺して制圧しようとする。
が、あと一歩のところで元潜水艦の隊員でオーストラリア方面軍に合流していた女性士官が乗っ取りを察知し方面軍本部に連絡したことで計画が露呈し管制室の電源を切り機能を停止させる。そのため何が何でもアスタロスをキシリアに送り届けたいニア―ライトはHLV側の部下に手動で発射させることを命じたが、そのために手順を省略したことが仇となり可燃性の液体が漏れていたため、ホワイトディンゴ隊のジムスナイパーⅡのバルカン斉射で引火してHLVが二機とも爆発。ニア―ライトも直後に駆け付けたドナヒューのゲルググによるビームライフルで消し飛ばされ、アスタロスが宇宙に送られる結末は回避された。
- アスタロス
ジオン軍北米キャリフォルニアベースにて開発された『環境破壊用生物兵器』。
元々は「過酷な閉鎖空間であるコロニーでも生育出来る植物」としてジオン・ズム・ダイクンの命令で研究・開発されていたものである。しかし次第に研究が行き詰まり始め、研究チームは開戦後に地球へ降下してからはキャリフォルニアベースにて研究はスムーズに進んだが、その副産物としてサンプルの中に繁殖力の強過ぎる個体が出来てしまう。そしてジオンはそれを南極条約に抵触しない『生物兵器』として使用する計画を思い付いた
もしこれが散布されれば、地球上の植物がアスタロスに食い潰され、大規模な環境破壊が起きてしまうのである。
マッチモニードはこれをキャリフォルニアベースから持ち逃げして、オーストラリアへと脱出した。
因みに固有種が多く生息するオーストラリアは、外来種の侵入にかなり神経を尖らせている国であり、その点では如何にもオーストラリアらしい題材と評せる。
だがアスタロスはマッチモニードが持っていたものとは別のサンプルがあったようでジョニー・ライデンの帰還にも登場している。
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