「12機いたリック・ドムが全滅だと!? ものの3分も経たずに…? バ、バケモノか…!?」
概要
CV:永井一郎(TV版) 加藤治(劇場版) 渡部猛(特別版)
ジオン公国軍の軍人で、所属は宇宙攻撃軍。コンスコン機動艦隊の司令官。
階級は少将。恰幅がよいのと、ちょび髭が特徴。
ドズル・ザビの腹心の一人であり、メディアによっては南極条約調印時にもいることから、ジオン公国軍の中でも重要な位置に就いていると思われる。
ザビ家以外の者では佐官クラスがせいぜいだったジオン公国軍の中で、階級が少将で将官である地位の高さからも宇宙攻撃軍の参謀長もしくは宇宙艦隊司令長官であったかも知れず、そんな要職にある彼の部隊のサイド6への派遣には、第13独立部隊を壊滅させてのガルマ・ザビの仇討ちというドズルの個人的な目的以外にも、中立地帯でありながら勢いを盛り返した地球連邦に靡きつつあるサイド6に釘を刺す為の一面も併せ持っていたのかも知れない(※1)。
※1:もし、宇宙艦隊司令長官であったなら戦艦グワランが旗艦だが、チベ級を旗艦にしたのは地球連邦軍によるソロモン侵攻が迫る中、さすがにそれだけ強力な兵力を割けないのと、サイド6を威圧し過ぎるという問題があった可能性がある。
劇中では
『TV版』では、ドズルの命令によって出撃、地球連邦軍第13独立部隊(ホワイトベース)と2度にわたって交戦している。1度目は、ホワイトベースがカムランのコネで戦闘禁止宙域外にあった浮きドックに入渠しようと出てきたところを襲撃。ペルガミノの浮きドックを破壊して修理を妨害する戦果を挙げるが、12機のリック・ドムを3分経たずに撃破されてしまうという大損害を出す(この時のアムロ・レイの駆るガンダムの戦果は9機)。これは浮きドッグへの先制攻撃により破損した浮きドッグがWBの盾になってしまった弊害である。
一旦撤退後に補給と増援を受け2度目の襲撃を決行。サイド6を離脱するホワイトベースを待ち伏せ、領空外に出たところで戦闘開始。リック・ドム6機はフォーメーションを組んでガンダムに向かうも全滅し、ムサイ2隻がホワイトベースの主砲で轟沈。サイド6のテレビ局が生中継する中、最後は乗艦のチベをホワイトベースに特攻しようとしたところをガンダムに阻まれて撃沈され、戦死した。
劇場版『めぐりあい宇宙』では、交戦はサイド6を離脱するときの1度のみとなっている。先に戦闘禁止宙域を脱し、条約で発砲が禁じられていた宙域内に残る敵から叩いていくというブライト・ノアの奇策によって出鼻をくじかれ(ちなみにTV版でのブライトはビームがサイド6に入らないように気を使いながら戦闘している)、TV版の1度目と同じように12機のリック・ドムを3分経たずに撃破されてしまい、最後は乗艦のチベをガンダムに撃沈され、戦死した。
その他の作品
『SDガンダム外伝』ジークジオン編では、アルガス騎士団編でムンゾ帝国の王となっておりなぜかファが娘となっているというSDと本家での立場の違いを明確に示した存在の一人である。最もハマーンがよりによっても部下な上彼女の場合女傑要素が全てキュベレイに取られている為あちらと比べどちらがマシなのだろうか……。
『機動戦士ガンダム0080』では、上記の件でサイド6から抗議の声明が出されているのが確認できる。ちなみに0080はこの話の少し後のサイド6が舞台(コンスコン戦が12月5日~6日、0080が12月9日~25日)。
足長おじさま(ジオン少女物語)
ガンダムエースの読み切り漫画『ジオン少女物語』(作者:介錯)では、全滅したリック・ドム部隊のパイロットが実は少女だった、という設定で描かれている。同作品は単行本『機動戦士ガンダムTHE ANTHOLOGY Vol.1』に収録された。
- 戦争終了後に同じくコンスコンの部下であるカヤハワと結婚する予定だった【ツェーン】
- ツェーンの部下でコンスコンが出資していた孤児院出身の【アインス】
- 同じ孤児院出身で、ガルマの熱烈なファンの眼鏡っ娘【フィーア】
彼女たちは上官、そして恩人であるコンスコンのためにホワイトベース撃沈に当たるが…… その結果は上記のとおり、討たれる者の事は討つ者には分からぬ、とも言える末路だった。フィーアはコンスコンのことを「足長おじさま」(足長伯父様)と呼び慕っていた(ただコンスコンは恰幅がよく、さらに言えば短足なのだが)。
彼女たちが死亡する前、コンスコンは「部下の誰にも死んで欲しくない」「あの娘達が参戦するまでには戦争にケリをつけたかった」と語っていた。因みに足長おじさんがコンスコンだと判明するのは、この読み切りの最後である。
評価
彼の評価については、メディアによって『無能な指揮官』『有能な指揮官』と真っ二つにわかれている。
放映当時はシャアに大口叩いておいて、指揮下のモビルスーツ隊が3分で呆気なく全滅したことから無能と評される事も多かったが、ギレンの野望シリーズでは「実力主義者のドズルの下にいるから有能である」とされ、能力値も艦隊司令官としては充分有能だった(逆に無能と描かれた作品ではスーパーロボット大戦などがある)。
アニメ本編中のホワイトベース隊との交戦でも、何かと槍玉に挙げられがちなリック・ドム隊の全滅についても、これはコンスコンが単艦の部隊相手といえど戦力の逐次投入(出し惜しみ)という戦術上の愚策を打つことなく、持てる全戦力を集中させた結果であることを逆説的に証明している(さらに補足すると、戦艦1隻・モビルスーツ3機・宇宙戦闘機2機の部隊を相手に戦艦3隻とモビルスーツ12機というのは、”通常であれば”まず負ける事はない戦力差。戦いは数だよ兄貴!)。失策といえば先制発見したにも拘らずWBへの先制攻撃による照準が甘かった点、先に浮きドッグを攻撃してしまったが故に盾を作ってしまった事故的な物である。
ただ相手がバケモノ過ぎたため、このような結果になってしまっただけである。折しもこの時はアムロが本格的にニュータイプとして覚醒し始めた時期であった。そもそもシャアをはじめ、他の有能とされるジオン公国軍指揮官でもホワイトベース隊を倒すことができなかったことを忘れてはいけない。
というか、メタ的に見れば、当時の脂の乗り切った異常な戦闘力のWB隊相手にたった12機で3分保ったというのは視聴者から見れば驚異的な記録である。
また、彼も戦闘中はドレン同様に最後までノーマルスーツを着用しておらず、命惜しさに見苦しく保身を図るような真似もしなかった。少なくとも自分がそうする事が部下に不安を与えるという事を認識した度胸を持つ将としての器量は持っていたようである。
『機動戦士ガンダムTHEORIGIN』では、スペースコロニーへの被害を考慮し、攻撃を控えさせるなど良識ある一面も描かれた。
実は地味に劇中で唯一、シャアが仮面を外さないことに疑問を抱き、そのことを直接指摘した人物であったりする。そのシャアに対しては面と向かって、かつてはドズルの下にいたのに、今はキシリアの元にいることなどを理由にネチネチ嫌味を言うなど、視聴者受けする言動をしなかったことが、前述の無能扱いの要因とも言えたであろう。
現実的には…
コンスコンが関与した戦闘では、一年戦争において事実上の独立状態となって中立を宣言しているサイド6付近を戦場としたため、両軍とも戦争法規においてグレーなことをやっている。
その中には、サイド6の主権侵害に該当しそうな行為が含まれており、そのエグさは戦争映画も顔負けである。
一年戦争におけるサイド6の中立は、開戦当初、地球連邦に与するサイドを叩きのめしたジオン公国に擦り寄る形で宣言したもので、当時劣勢だった地球連邦はサイド6の中立宣言を止められなかった背景があり、実態としてはジオン公国寄りの中立だった。
しかし、戦争後期に地球連邦が勢いを盛り返したことによって、サイド6は戦争当事国である地球連邦とジオン公国双方の顔色を窺わなければならない板挟みの状況となり、一方にバイアスのかかった中立をしようものなら武力侵攻されかねない事態に陥ってしまった。
こうして一年戦争後期のサイド6は、いくら中立を強調してわめいても両陣営の政治的なお目こぼしで生きながらえているのが実情となり、戦争当事国である地球連邦とジオン公国は形だけ理屈が成立するようサイド6の中立を順守すれば、やりたい放題の状況だったのである。
なお、この戦闘における戦争法規違反と考えられる行為は次のとおりである。
- 地球連邦軍
- 戦闘禁止宙域内に所在する敵を撃つ - めぐりあい宇宙で発生。本来、このような条件下では敵に向けてであっても、戦闘禁止宙域内から外へ向けて撃つことはもちろん、外から戦闘禁止宙域内に所在する敵を撃ってもならないのが基本であるにもかかわらず、これを狙って撃った。故意にやれば立派なサイド6に対する中立の侵害である。
- ジオン公国軍
- ペルガミノの浮きドックを破壊 - 1度目の戦闘で発生。本来、サイド6に籍を置いているペルガミノの浮きドックは戦闘禁止宙域外であっても旗国主義が適用され、臨検はできても攻撃してはならないのである。しかし、コンスコンは偶然を装い、故意にペルガミノの浮きドックを自艦隊とホワイトベースの直線上の間に入れ、戦闘に巻き込む形で破壊した。
- 戦闘禁止宙域内においてホワイトベースを先導するカムランの宇宙艇に対して威嚇飛行:2度目の戦闘で発生。本来、このような条件下では安全通航権が担保され、不必要に接近する行為は制限される。
関連タグ
ゴップ:地球連邦軍の将軍。コンスコンとは逆にギレンの野望では無能の代名詞で一躍有名人となるが、よくよくTV本編を観察してみるとそのような失態は侵しておらずこうなったのは後世の本当に無能な人物の言動を無理やり当てはめてしまったという面が大きい。ORIGINやジョニーライデンの帰還などでは前線の軍人としてはともかく、兵站の管理や政治能力に長けており軍退役後には地球連邦議会の議長まで出世しているなど、かなり有能に扱われており、ギレンの野望シリーズでも最新作では司令塔としてかなりまともなステータスになった。
エルラン:同じく1stに登場した地球連邦軍の将軍。だが実は彼はスパイという利敵行為を働いており、原作では裏切りがばれて逮捕される。更にORIGINではレビルの脱出に一役買うも普段は前線に出たがらない&部下のジュダックが権力をかさに威張り散らしている等々人望や矜持に欠ける面が見受けられ、オデッサ戦では裏切りが露呈し核ミサイルを前にレビルに命乞いをして取り乱すなどの様々な醜態を晒してしまった。そのため、小賢しさはあるものの将官としての力量には欠けるという評価は覆っていない。
ガルシア・ロメオ:ORIGINに登場したザビ家に媚びを売る一方で方面軍を私物化し戦術眼が致命的に無く、そのくせ手柄が立てられないのを周囲の所為にする典型的な無能なジオン将官。シャアから事前にジャブロー潜入の予定日を知らされていたにも拘わらず、符丁に気付かず決行日を危うく逃すところだったのを「出し抜かれた!」と自分の不手際を認められず大慌で出撃し、挙句の果てにGMの存在を察知できずに大量のザクを鹵獲され自身はジャブローのある区画に誘導され乗機のアッザムごと圧死するという最期を迎え、レビルからは「定見のない男」と酷評された。大量のザクを無意味に率いて無駄に消耗した愚行にコンスコンは切れていいだろう。
ジャマイカン・ダニンガン:地球連邦軍(後のティターンズ少佐)に所属する軍人。人物評価や指揮能力はなかなかであるがそれだけしかない。彼やギレンの野望時代のゴップがまともに見えるくらい、無能そのものを絵にかいたような人物。最期は部下の裏切りにあって戦死する。
グラスゴー:ザフトに所属するグラスゴー隊の指揮官。太り気味の体形と自軍部隊を戦闘不能に追いやった敵機の性能に驚愕する様子が共通している。但しこちらはパイロットが不殺戦法をとったため、コンスコンと異なり生存している。
イオク・クジャン:ギャラルホルン月外縁軌道統合艦隊アリアンロッドに所属する司令官の内の一人にして、セブンスターズの中心人物の一人。上記のジャマイカンとかが可愛く見えるくらい無能そのものを視聴者に曝け出した最悪な軍人。