概要
作中世界の21世紀末にイオリア・シュヘンベルグによって出現が予見された新人類。
より詳細に言うと、GN粒子の作用による遺伝子改変によって、現生人類とは生物学的に異なる種へと進化した人類の事。
旧人類からの大まかな変化点。
- 脳組織の伝達系統が電気信号から量子信号へ変貌したことにより情報処理速度が大幅に向上。
- 脳量子波を利用した脳波コミュニケーション能力の取得。
- 脳量子波を使用・感知する際、原理は不明ながら虹彩が金色に輝くと言う特徴があり、対象がイノベイター又はそれに準ずる存在であるか見分けるポイントとなっている。
- 細胞の活性化による身体能力の向上。
- それに伴って老化速度が著しく抑えられたことによる大幅な寿命延長。
イノベイターへ進化する条件は「一定量のGN粒子を浴びる事」ではあるのだが、覚醒に至るまでの個人差が大きいらしく、ごく僅かな量で覚醒する者もいれば長期間多量のGN粒子を浴びても覚醒に至らない者と様々。
逆に言えばいつ自分や身内がイノベイターへ覚醒するか予測がつかないという完全なランダム発現となっており、花粉症のそれに近い。とは言え上記の通り「現生人類の生物学的な進化先」である為、基本的には誰にでも覚醒の可能性がある。
そもそも発現に必要なGN粒子は元来自然界に存在する物質であり、人為的に圧縮しなければ濃度が希薄で効能が殆ど現れないものの少なからずその影響を人類は受け続けている。
つまりイノベイター自体は遠い将来自然発生する存在であり、作中の一連の出来事は、本来数千〜数万年かかったであろう進化の過程を大幅に縮めただけに過ぎない。
歴史
イオリアがGN粒子を発見、特性を解明した時期は不明だが、劇場版エピローグにおける発言から西暦2091年までにはそれらの偉業を成し遂げ、その研究の総論として将来的なイノベイターの出現を予測している。(この時点で彼らが取得するであろう能力も予測済みだった様で、後述のイノベイド達はそれらの予測を基に生み出された)
しかし、現状の人類社会では彼らを受け入れ共存していく事は困難とイオリアは判断。
その事を憂いだ彼は、イノベイターへの進化の促進、そしていずれ起こり得る「来るべき対話」に人類を備えさせる計画、『イオリア計画』を発案し実行に移す事となる。
計画を進める実行組織ソレスタルビーイングの創設を発端に、太陽炉の製造、その搭載を前提とした新兵器の開発など200年近い年月をかけ準備された計画は、組織内からの裏切りなど予定外の出来事を挟みながらも進められ、その最中であった西暦2312年、ダブルオーライザーの搭乗者であった刹那・F・セイエイが人類初のイノベイターへと遂に覚醒。
イオリアが予言し、その願いを託した存在が2世紀以上の時を超えて現実のものとなった瞬間であった。
その後、最終決戦時の「トランザムバースト」によって高濃度GN粒子が放出された際、それを浴びた人間の1人であるデカルト・シャーマンがイノベイターへと覚醒。刹那がCBの人員として公の記録から存在を抹消されている為、公式記録上は彼が人類初のイノベイターとなる。(後年に刹那の存在が公のものになったようでこの記録も訂正されたと思われる)
更に世界各地で(擬似型も含む)太陽炉搭載型MSが戦闘を行った際に放射されたGN粒子の影響で、脳量子波を感知する素質を持つ=イノベイターへ覚醒しつつある市民が連邦政府によって多数確認されて始めており、その数は西暦2314年のELS襲来後、急速に増加していく。
その際、ELSに取り込まれた者のうち彼らとの対話が間に合い生還した者の中には、イノベイターへの覚醒と共に彼らとの共生にも成功した亜種「ハイブリッドイノベイター」へ変革を果たしたものが現れている。
ELSとの決戦が終結し共存の道を歩み始めた頃、その人口を爆発的に増やしつつあるイノベイターに対して一部の人々が反イノベイター思想と言える「人間至上主義」を掲げ、各地でイノベイターへ覚醒した人々を襲撃し始める事件が発生。日に日に増大していった彼らとイノベイターの保護を図る連邦政府との間で大規模紛争が発生するまで至った。
この紛争はCBによる武力介入が実施された事もあるが、それ以上に反イノベイター勢力の幹部からイノベイターが現れ始めた事により急速に終息に向かい、人類を二分する事態は未然に塞がれた。
反イノベイター勢力との紛争終結後は特段大きな問題が無いまま時が流れていき、ELSとの遭遇から半世紀が経過した西暦2364年には総人口の実に4割がイノベイターへ覚醒。同年に就役・出航した外宇宙航行艦「スメラギ」に至っては全乗組員がイノベイターで構成されていた。(これは長期の宇宙探査備えての編成でもある)
イオリアによる計画始動から約270年、長い道のりを経て人類はイオリアの「夢」を成就させた。
主なイノベイター
- 刹那・F・セイエイ
- デカルト・シャーマン
- クラウス・グラード
- アーミア・リー(玄関子)
- レナード・ファインズ(レオ・ジーク)
備考
アレルヤ・ハプティズム(小説版で、両目が金に輝くなど、変革したと思われる描写がある。)
ソーマ・ピーリス(同上)
※なお、上記二人は劇場版でもラフ絵の段階ではマルートシステム発動時に両目が金に輝く描写を入れる予定があった。
ルイス・ハレヴィ(厳密にはイノベイターではないが、ナノマシン錠剤で脳量子波を扱える。)
グラハム・エーカー(特攻後、ELSに保存された意識がクアンタムバーストによる量子空間で刹那の説得を受け、ELSの融合を受け入れ生還した。本人は量子空間でイノベイターではないと発言しており、融合までの経緯が特殊なため脳量子波を扱えるかは不明。)