概要
『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』に登場するキャラクター。
シリーズ初のバージョンによって登場する博士が異なり、こちらはスカーレットに登場する女性。パルデア地方のある伝承について研究している。
白衣の下の衣装は原始人を彷彿するワイルドなデザインとなっており、皮や木で出来たアクセサリーを身に着けている
体格も研究者としてかなりがっしりしている部類に入り(よく見ると腹筋も少し割れている)、行動派な人物であることをうかがわせる。八重歯もチャームポイントで、笑うなどして口を大きく開けるシーンで確認しやすいだろう。
名前の由来はラテン語で昔を意味する「Olim」と思われる。
人物像
対になるフトゥー博士と比べると、時折笑顔を浮かべながら話しかける等、気さくそうな印象を受ける。
現在は伝承の研究のためにパルデアの大穴の研究所に居を構えている。そのため作中で登場する場面は大半が通信を介しての会話のみであり、冒険の途中で直接会う機会はない。
作中ではレジェンドルートでコライドンが力を取り戻すたびに通信が入り、スマホロトムによるテレビ電話で能力の詳細を教えてくれる。
研究に熱心な一方で研究のため家を放り出してしまうなど家庭人としては不器用な一面もあり、一人息子には寂しい思いをさせてしまっている。また相当長い期間家を開けているらしくコサジの灯台にある研究所は埃まみれで、台所には賞味期限の切れた調味料がおいてある。
ただ、終盤で訪れる「ゼロラボ」には、幼少期の息子とその相棒ポケモンを写した写真がホワイトボードに飾ってあり、後述する研究の動機も含めて、息子に対する愛情を失ったわけでは決してなかったことがうかがえる。
活躍
大事なキーアイテムとして、自分で名前を書いた愛読書・スカーレットブックを灯台の研究所に残しており、ペパーが勝手に持ち出していたそれをゼロラボまで持ってくるように依頼。
長らく直接会う機会がなかった彼女だったが、パルデアの大穴の最深部・エリアゼロの研究所「ゼロラボ」にて、ついに直接邂逅を果たすことになる。
しかし今まで通信で見ていた姿とはまるで違い、死んだように目を閉じて力なく椅子に座り込んでいた博士の姿がそこにはあった。
その直後、「スリープモードを解除」謎のアナウンスと共にまるでロボットのように不自然な動きで目を覚まし立ち上がる…。
さらに、そこへゼロラボ突入前に遭遇したコライドンの別個体が出現。主人公とコライドンを威嚇するが、博士は「戻りなさい」と言い、マスターボールでコライドンを回収してしまう。
状況を飲み込めないままの主人公に向けて彼女は語りかける。
「キミたちに謝罪しなければいけないことがある」
「ワタシは本物のオーリム博士ではない」
「ワタシは博士が自身の知識と記憶をもとに作った人工知能」
「…AIで動くロボットなのだ」
作中で何度も通信をしてきた博士は博士本人ではなく、彼女自身の人格と記憶をコピーしたAIを搭載したロボットであることが判明。
ただ、第4観測ユニットでの通信の途中で、突然(あたかも壊れたかのように)同じフレーズを繰り返し発する不自然な言動を取るという少々ホラーチックなシーンがあり、勘の良いプレイヤーはこの時点で彼女の正体がロボットであることに気づいたことだろう(ペパーも「アレってもう……なんか……違えじゃん」と述べて呆然としており、この際に彼女が本物の母親では無いことに薄々感づいたようである)。
本物の博士はというと、主人公が出会ったコライドンを第4観測ユニットで発生した事故から庇って死亡していた。つまり本編開始時点から既に故人であった。
生前の博士は古代のポケモン(つまりパラドックスポケモン)に強く魅了されており、エリアゼロ内部でタイムマシンを開発し、古代のポケモンであるパラドックスポケモン達を現在へ転移させることに成功する。
エリアゼロの観測ユニットに存在する日記によると、オーリム博士は「仮称■■■」と呼ばれる存在の力を使ってタイムマシンを開発したことが語られている。テラスタル現象を任意で制御可能なテラスタルオーブはその研究の副産物として産まれたものであるようだ。
だが彼女の熱意が災いしたのか、配偶者は彼女の元を去り、他の研究者達も彼女に着いていくことができず次々に離れていった。追いつめられたオリジナルの彼女はついに自身のデータを搭載したAIを開発。共同でゼロラボを管理することにする。本来、ここまで高性能なAIを作成するのは現代の技術ではとても不可能とのことだが、博士は「仮称■■■」の力を使うことでAIを産み出し研究を大きく加速させた。
非常に強い生命力を持つ古代のポケモン達は生態系を破壊しかねない存在であったが、それでも彼女は古代のポケモンと現代のポケモンの共存を望み、仮に生態系がそれで破壊されたとしてもそれは自然の一つの形と考え、タイムマシンを稼働し続けた。
だが、実験の過程でオリジナルのオーリム博士は、第4観測ユニットで発生した何らかの事故の際に、主人公が出会うことになるコライドンを庇って命を落としてしまう。
オリジナルの死後、稼働を続けるタイムマシンに対して残されたオーリムAIは、「古代の生物を現代の生態系に持ち込むのは危険」と判断し、オリジナルの意志に反してタイムマシンを止めることを決意する。
しかし、そうなることを見越してか、オリジナルの博士はオーリムAIにタイムマシンを守るよう特殊なプログラムを仕込んでおり、仮に主人公がタイムマシンを止めようとすればプログラムが発動して戦闘に発展することは明白であった。AI自身もそのことは把握済みであり、だからこそ自分を退けられるだけのバトルの実力を持つ主人公に白羽の矢を立て、わざわざエリアゼロへ来るよう仕向けたのである。
つまり、スカーレットバージョンにおけるラスボス。
黒幕と言われることもあるが、作中で悪事と呼べることを働いたのはオリジナルのオーリム博士の方なので黒幕と呼ぶなら彼女の方、ラスボス化したAIを黒幕と呼ぶのは間違いと言えよう。
使用ポケモン
戦闘ではパラドックスポケモンを繰り出し猛攻を仕掛けて来る。
手持ちのポケモンは存在せず、タイムマシンから送られてきたポケモン達を即興で使用してくる。
前述した通り全ての使用ポケモンが古代のパラドックスポケモンであり、マスターボール入り。タイプがバランスよくまとまっており、また事前にタイプを知っていない限り一部は相性が分からない状態で戦闘になる為、偏った手持ちでのクリアは厳しい。
序盤の4体はまだ何とかなるが、最後から2体目のハバタクカミは圧倒的な素早さと高い特攻を武器に責め立ててくる強敵である。
さらに、切り札であるトドロクツキは元々の高い攻撃と素早さの他に、ブーストエナジーで更に攻撃を引き上げてくる為、半端な手持ちでは全滅の危険性があるのでこちらも要注意。
余談
後述の事情によりスカーレットを選んだプレイヤーの中には、最終盤で明らかとなった衝撃的な事実やその結末にショックを受けたという人が(恐らく『バイオレット』版と比較しても)多かったものと思われる。一応、どちらを選んでも展開や結末は概ね変わらないのだが。
なお、現実世界でも外来種による固有の生態系の崩壊に関する問題は多々発生している。有名所ではペットとしてもよく好まれるアメリカザリガニも日本固有の生態系を脅かす存在であるとして規制すべきではないかと多くの有識者が指摘している(本来は2020年に指定されるのでは、という話になったが指定されたときの影響を懸念され見送られた)。また、日本固有の生物が逆に海外の固有生態系を荒らしている例としてナミアゲハや葛、イタドリなどが有名である。
オーリム博士もフトゥー博士も、明らかに在来のポケモンよりも強いと認識しているパラドックスポケモンたちを現在の生態系に放つというのは、AIが指摘する通り生態系を壊す懸念は否定できず、「合理的ではない」と断じられても無理も無いだろう。
太古のポケモンが野生に放たれたケースとしては化石ポケモンの例があり、オムナイトの図鑑説明では復元された個体が逃げ出して野生ポケモンと化し、問題になりつつあるとされている。
実際にガラル地方のカンムリ雪原では野生化した化石ポケモンが生息しており、現地のNPCからもいわタイプのポケモンが増えた旨の台詞が聞ける。
同作ではそれらの影響まで踏み込んだ描写は存在していなかったが、社会問題になっているという記述からは化石ポケモンが生態系を脅かすことも危惧されているものと推測される。
他のキャラクターたちは呼吸に伴う体のモーションが実装されているが、博士には実装されていない。
「今マで ありがトう」
「ようヤく タいムマシんヲ」
「彼女ノ 意思ヲ 止めルこトが デきタ」
「さミしイ 思い 今マで すマナい さセて ぺP……」
「セキュリティに異常発生」
「セキュリティに異常発生」
「障害を取り除くため 楽園防衛プログラムを起動します」
関連イラスト
露出の多いワイルドな服装に身を包んでいる女性キャラである故か、発表直後から多数のイラストが投稿されている(投稿数はフトゥー博士のおおよそ2倍強)。
R-18イラストの投稿数も非常に多い…というか、現状投稿されているイラストの約半数がR-18である。
彼女に会いたいが為に『スカーレット』版を選んだというプレイヤーもいるとか。
…まぁ、結局本人とは会えない上にそのAIとも終盤の終盤にしか直接顔を合わせられない訳だが。
また、確かに若々しい容姿をしているが、主人公の先輩の母親なので実際はかなりの熟女のはずである。
関連タグ
ルザミーネ:シリーズ過去作の登場人物。「主人公の仲間の母親」「異なる世界から生物を連れてくる研究をしている」「他者に操られて主人公と闘う」という共通点がある。ただしこちらは存命しており、子と和解している。
ヒガナ:シリーズ過去作の黒幕とよくいわれている人物。殿堂入り後に対立、禁止級のドラゴンポケモンと関わりがある、太古のポケモン(ガチゴラス)を連れていると共通点が多く、トドロクツキの子孫がエース。
「藍の円盤」
ブライアと共にエリアゼロのさらに下層、「ゼロの大空洞」へ降り立った主人公一行は博士のレポートを発見する。
そこにはゼロの秘宝の正体がテラパゴスであること、テラスタイプ:ステラの存在、そして秘宝を調査中だった博士が「東方の地に転移し、硫黄の匂いのする池で子供と出会った」ことが書き記されていた。
大空洞から戻って来た主人公は、ブライアから大空洞での出来事を纏めた著書「ゼロの秘宝」を渡される。それを持った状態でてらす池に行くと、何とテラパゴスの力で生前のオーリム博士が過去から呼び出されるというイベントが発生する。
主人公が連れていたコライドンを見て驚きを示し、自分が異なる時空の過去の存在であることを推察した上で情報交換を持ちかける。互いに一通り質問し合った後、主人公が持っていた「ゼロの秘宝」を自身が所有するスカーレットブックと交換し元の時空へと帰還していった。
恐らく博士はこの時に「テラスタルの結晶に時空を超える作用がある(=タイムマシンの原動力として利用できる)」と知った他、
- 本来"ツバサノオウ"と呼ばれていた存在が"コライドン"と呼ばれていること
- パラドックスポケモンと現代の人間が共存できる実例
- 大穴の最奥部で"ゼロの秘宝"として眠る"テラパゴス"がいずれ覚醒すること
などの情報を未来から受け取った事になる。
これだけだと卵が先か鶏が先かのタイムパラドックスが発生してしまっているように思えるが、本編の博士はペパーを授かったのと同時期にタイムマシンを稼働させており、転移に成功した1匹目のツバサノオウに「コライドン」と命名している。
対して、てらす池に呼び出された博士はその言動から察するに、異なる時空の過去から来たオーリム博士である可能性が高い上、博士自身もその可能性を考慮している。
本編時空 | てらす池時空 | |
ペパーが | 生まれている | 生まれている |
タイムマシンは | 完成している | 完成していない |
ツバサノオウは | 転移されている | 転移されていない |
コライドンと | 呼んでいる | 呼んでいない |
スカーレットブックを | 持っている | 持っている(※) |
※本編でタイムマシンを停止するためのキーであったサイン入りのスカーレットブックをイベント内で手放している
なお、大空洞の入り口にある机上のメモを考慮に入れると、恐らく本編の博士もこのイベントとはまた別の時空のてらす池に転移したことがあるが
- その時は本を交換する直前に時間切れで元の時空に戻ってしまい「ゼロの秘宝」を手に入れられなかった
- あるいは、全く別の子どもに出会い異なる白い本を入手した(=メモに書かれた範疇で類似するエピソードを体験した)
等の可能性が考えられる。
一方で「ゼロの秘宝」を持ち帰った博士は、本に記されているテラパゴスの覚醒と暴走の顛末を読んだはずである(※)。さらにはタイムマシンの停止に必要なキーであるスカーレットブックを手放してしまっている。とすれば、この博士が帰った時空では、本編シナリオとはまた違う未来が待っている可能性も十分考えられる。
※「ゼロの秘宝」はあくまで大空洞での出来事を纏めた本であり、書いた本人は本編で起きた一連の出来事の全てを把握しているわけではない。