機体データ
型式番号 | MS-14F |
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頭頂高 | 19.2m |
全備重量 | 81.3t |
出力 | 1440kw |
総推力 | 55000kg |
装甲材質 | 超硬スチール合金 |
概要
一年戦争末期、旧ジオン公国軍が開発したゲルググの海兵隊仕様。機体名称のMは「マリーネ(MARINE)」を意味する。
カタログスペックでは同時期に開発されたゲルググJにやや劣る一方でコストパフォーマンスに優れており、また下腕部に内蔵武装を搭載するなど設計上の共通点も見られる。
ただし装甲に関しては他のジオン機体と同じレベルである為、
突撃機動軍海兵隊に於いて運用され、シーマ艦隊やゲール隊、キルマイヤー小隊などに配備された。一年戦争後、配備先の海兵隊が戦犯として扱われた事もあり、本機の存在も関係者以外にはほとんど知られていなかったが、デラーズ紛争時に宇宙海賊となっていたシーマ艦隊がデラーズ・フリートに合流した事によりその存在は明るみに出た。なお、シーマ艦隊では「星の屑作戦」開始時点で30機以上が稼動状態にあったと言われている。
しかし、まともな補給を受けられなかったシーマ艦隊の機体は大半がビーム兵装を喪失しており、その代替として汎用装備やその改修装備を使用しており、艦隊の厳しい懐事情を窺い知る事が出来る。
デラーズ紛争後もシーマ艦隊以外のジオン残党軍によって運用された他、一部の機体が地球連邦軍に接収され訓練機として運用された。また、一年戦争後に海兵隊関係者の合流を拒否したアクシズでも本機のパーツを流用する形で開発されたリゲルグが存在している。
また、一年戦争終盤にシーマ艦隊で特殊なドット迷彩塗装を施し運用された例も確認されている。
ゲルググM指揮官機(シーマ・ガラハウ機)
ゲルググMの指揮官仕様機。型式番号は「MS-14Fs」
シーマ艦隊の司令シーマ・ガラハウ中佐の専用機であり、「マリーネ・ライター」の愛称で呼ばれる。
頭部には隊長機の証であるブレードアンテナを備える他、バルカン砲も内蔵されており、火力・通信能力双方が強化されている。
また、バックパックや胸部装甲、脚部なども専用のものへと換装されており、全体的な形状はゲルググJに近い物になっている。
これら改修によって全備重量が増加しており、機動性の低下を防ぐ為にスラスターを増設。更に稼働時間延長の為に合計四本のプロペラントタンクを装備する。
また、一般機とは異なり専用武装として大型ビーム・ライフルと、覗き穴付きの大型シールドを携行。当時のジオン残党としてはビーム・ライフルの存在は貴重であり、デラーズ・フリートでは唯一ビーム・ライフルを装備する機体であった。シーマ機はガンダム試作一号機の大破、バニング大尉のジムカスタム撃退などの戦果を残している。
なお、Fs型はシーマ機以外存在が確認されておらず、シーマ機に施された改修が他のFs型に見られる物なのか、それともシーマ機独自の物なのかは不明である。PS2ゲーム「めぐりあい宇宙」では通常のゲルググと同じカラーリングの指揮官用ゲルググMが登場している。
また漫画『機動戦士ガンダム0083 REBELLION』では、シーマがガーベラ・テトラに乗り換えた後はクララ・ロッジに譲られる。
武装
MMP-80 90mmマシンガン
統合整備計画で開発されたモビルスーツ用汎用マシンガン。
シーマ艦隊に所属する機体は三年の間まともな補給を受ける事が出来なかった事から本来の武装であったビーム・ライフルは失われており、その代替として装備されている。
スパイク・シールド
ザクⅡのシールドを改修した手持式のシールド。
先端部にスパイクが増設されており、打突武器としても使用可能。
単純な装備であるがスパイクによる格闘戦の有用性もあって他のジオン残党もこれと同様の装備を使用した例も存在する。
ビーム・サーベル
両腰に収納されている格闘用ビーム兵装。
形状はリック・ディアス、ネモなど後のエゥーゴ系モビルスーツが使用する物に似る。
110mm速射砲
下腕部に配されたマシンガン。
貫通力が高く、ジム・カスタムのシールドを粉砕し、装甲を貫通するだけの威力を持つ。
MNG-110ビームライフル
シーマ機の装備する大型ビーム・ライフル。形状はゲルググJの物に似る。
ビーム兵装とそれを運用出来る機体の存在は当時のジオン残党にとって貴重であり、前述の通りデラーズ・フリート、そしてシーマ艦隊でこれを装備していたのはシーマ機のみであった。
コンペイトウ近傍でのアルビオン隊のバニング大尉との戦闘で喪失。
作品によってはビームライフルだったりビームマシンガンとして扱われる事もある。
『GUNDAM_EVOLVE』では通常のゲルググと同じビームライフルを装備した機体が登場している。
バンダイ出版の『MJ(模型情報)1992年3月号』では『機動戦士ガンダム0080』のOVAがリリースされた1989年当時に発売されたゲルググJの1/144スケール旧キットをゲルググMシーマ専用機に改造した作例と併せて『MNG-110重機関銃』という名称で「110mmケースレス弾を使用する実弾兵器」だと解説されており、ドラムマガジンから給弾ベルトが延びている詳細な設定画が掲載されて、劇中における設定や仕様が詳細に解説されていた。
ちなみに、『MJ(模型情報)』でのプラモデル改造作例の製作記事では「パトレイバーのブロッケンの銃とゲルググJのビームマシンガンを組み合わせて少し手を加えるとシーマ機のライフルになる」と解説されていた。
ここから後に、実弾兵器からビーム兵器へと設定が改められたらしく、角川書店から1993年11月に発行された『ニュータイプ100%コレクション 機動戦士ガンダム0083オペレーション・プログラム』に収載のモビルスーツ設定解説では、ドラムマガジンと給弾ベルトの設定画はそのままに『MRB-110大型ビームライフル』だと解説されている。
2002年発売の1/144スケールHGUCのキットに付属のインストでも『MRB-110ビームライフル』だと解説されており、色々と謎の多い武器である。
専用シールド
シーマ機の装備する大型シールド。上方には防御体制のまま照準を合わせる為の覗き窓が備えられている。
デラーズ紛争ではシーマ機が使用した例が確認されているが、少数ながらも同様の装備を使用する他機種の存在も確認されている。
書籍では
小説版では、星の屑作戦が開始された時にはシーマ艦隊は約30機以上が稼働状態であったらしく第一線で活躍していた模様。
シーマ機もビームライフルの補給がされるシーンが追加され、最後まで第一線で活躍した。
関連動画
立体物
1/144スケールのものがHGUCブランドとして一般用及びシーマ専用のものが発売されている。
ビームサーベルは一体成型ながらもクリアパーツで再現されている他マニピュレーターの造形が非常に美しい。
後にプレミアムバンダイ限定で受注生産販売されたHGUCシン・マツナガ専用ゲルググJにもこのビームサーベルが付属している。
ガシャポンガン消しシリーズにラインナップ。※現在、入手困難
ROBOT魂でもシーマ機、量産型の順に発売。いずれもプレミアムバンダイ限定での販売であった。
バリエーション
ゲルググM迷彩カラー(一般機)
シーマ艦隊所属でEフィールド守備に就いていた機体。
ジオン友軍撤退の進路を切り開くために先陣を切って活躍したがほとんどの機体が連邦軍に撃破された。
指揮官型ゲルググM迷彩カラー(シーマ機)
シーマが一年戦争時に搭乗していた指揮官型ゲルググM。
カスペン大隊と共にEフィールドにいたが最終的に友軍撤退の進路を切り開くために先陣を切った。
激戦の中、ビームの集中砲火を受け機体は大破したがシーマは生還した。
ゲルググM(地球連邦軍仕様)
地球連邦軍北米オークリー基地所属の機体。
地球連邦軍によって接収された機体で、トリントン基地所属のザクF2型同様クリーム色をメインに胸部に紺の塗装を施されている。
チャック・キースが搭乗し、釈放され同基地に配属となったコウ・ウラキをピースサインで出迎えた。
ゲルググ[シュトゥッツアー]
ティターンズの新鋭MSに対抗するためジオン残党軍がゲルググMを現地改修した機体。
上半身にウィンチユニット2基と増加装甲及びスラスターで構成されたシュトゥッツアーユニットを装着している。
残党軍のカゾック・ラーゾンが搭乗した。
武装は指揮官型ゲルググMのビームライフルと大型シールド。
一時はザク[シュトゥッツアー]、ドム[シュトゥッツアー]2機との連携でT3部隊のガンダムTR-1[ヘイズル]やジム改高機動型らを追い詰めたが、
アッシマーTR-3[キハール]と交戦した際にプロペラントタンクでかかと落とし攻撃を受け機体は大破した。
ゲルググR型"リベリオン"
形式名MS-14R。
サイド3のファームバンチコロニー"アマテラス"領主であったジュウゾウ・アマトがゲルググMを強襲機動型仕様として改修した機体。
宇宙世紀0084年のコロニーアマテラスでティターンズと連邦軍に反旗を翻したジオン独立部隊"ネオ・デラーズ・フリート"を立ち上げたアナベル・ガトーを自称する人物が搭乗する。
機体はゲルググMを素体に頭部はドム系のモノアイカバーがつけられ、腕部や脚部をイフリート・ナハトのパーツを使って改修している。
武装は、陸戦型ゲルググのビームライフル、左腕部収納型3連ガトリング、腰に携帯したコールドブレード2本、脚部に携帯するコールドクナイ2本。
シールドはセンサー付きの新造モデル。
関連タグ
シャア専用ゲルググ - 陽動のために出撃した際に、破損した箇所をこの機体の部品で補った。