「カセキーーー!!!」
登場話数:バクアゲ15「錠とキー」
データ
全高/186cm(ギャーソリン大暴走体/44.1m)
重量/241kg(ギャーソリン大暴走体/571.6t)
スピード/逃げ足最速
カスタム/「キー太郎」という名前
ナンバー/1049
ファーストラウンド(コース/市街地)
ファイナルラウンド(コース/ビル街)
概要
ハシリヤンが、シーミアサウルスの化石に込められた燃える恐竜魂をイグニッションし、地球に納車された苦魔獣。
シーミアサウルスの全体骨格を苦魔獣の素体に組み付け、前脚を両腕、後脚を胴から腰脇部分に組み替えた様なシンプルな外見。シーミアサウルスの双眸からは苦魔獣共通の炎が噴き出し、化石として永遠の眠りについていた恐竜を無理矢理蘇らせた事実を示すかの様な容貌でもある。
腰ベルトのバックルに付いているナンバープレートのナンバーは「1049」。
元となったシーミアサウルスの生態通り、立った人間の真上を一跳びで飛び越える程の脚力の持ち主。
一方、生物としての本能も再現されており、警戒心が強く人間等の外敵と感じられる存在を避け見付かれば一目散に逃走する程の臆病者。要するに下手な刺激が無い限りは害意を持って襲って来る事は無い、現実の野生動物とほぼ変わらない行動パターンで動く。ただし追い詰められても反撃の意志は出さないので気質自体は温和かつ友好的。
また、知能がそれほど高くないのか人語を喋る事が出来ず、鳴き声代わりに「カセキー!」と叫ぶのみ。一方で機械生命体なので食欲があり、人間と同じ物を食べる事が可能(ちなみに肉・野菜・魚他何でも食べれる雑食)。
しかし根本が苦魔獣な事から、それの魔改造を専門とするキャノンボーグに闘争本能をチューンナップ(実質洗脳)された事で凶暴な怪物へと変貌。しかも強引に暴れさせられた事で精神的な苦痛からか極短時間でギャーソリンを多量に自己捻出した挙句、「ヤルカーを介さず自発的にギャーソリン暴走態に変化しての直接巨大化をする」というイレギュラーを引き起こした。
だが、これといった武器や能力は持たず恐竜由来の巨体と膂力で暴れ回るしか攻撃手段は無く、イレギュラーな暴走態への変貌も魔改造を施したキャノンボーグから「ギャーソリンを無駄食いするだけ」と切って捨てられると、結局「苦魔獣としては失敗作」の判断を下されてしまった様子。
総じて、終始ハシリヤンの身勝手から生み出され(※そもそもこの苦魔獣が作られた切っ掛けはヤルカーが玩具感覚で「カー(自分)の恐竜」を欲しがった事から)、埒外の勝手な都合に振り回された挙句心を通わせた相手に打倒される儚い生涯を辿った、純然な被害者の苦魔獣と言えるだろう。
本編の動向
ヤルカー「この星には大昔、こんな生き物がいたのカー! カッコイイじゃないカー☆」
イターシャ「そ~お? 苦魔獣の方がイカしてると思うけど?」
デコトラーデ「ああ~っ、カッコイイ、カッコイイ。(ヤルカーを宥める) それより、早いとこ仕事に取り掛かろうぜ!」
サンシーター「「「行くぜ、恐竜~っ!!」」」
苦魔獣の素材を探す内に、恐竜博のPR看板が目に付いたサンシーターは、ヤルカーの感想をヒントに恐竜の化石より苦魔獣を製造する事を思い付く。
化石が搬入される博物館のバックヤードに作業員の格好で潜り込み、手渡されたシーミアサウルスの骨の化石を確保するや、イターシャがハシリヤンイグニッションキーを装填し誕生した。
納車時の人々の混乱と悲鳴を近くにいて聞き付けた錠が一足早く現れ、「やれやれー! カーの恐竜~!!」と物陰から応援するヤルカーらサンシーターの目の前で睨み合うも、元より戦う意識が無いカセキグルマーはその場で尻込み。更に大也・射士郎・未来まで現れてブンブンジャーにブンブンチェンジしたので、意を決して相手へと接近しての大ジャンプで4人を飛び越し、屋外の市街地へと逃亡する。
それからしばらくは、博物館とシーミアサウルスを研究する古生物学者の倉田舞の依頼で『恐竜探し』のミッションに勤しむブンブンジャー4人だったが、結局錠がカセキグルマーを発見。
今度は逃げられない様、慎重に様子を窺う錠を振り切ろうとしたが、そこで空腹に襲われその場でへたり込む。しかしその見た目から通行人に怖がられたので咄嗟に自身を庇った錠と共に逃げ回り、いつの間にか事情を察していた玄蕃より提供された倉庫へ一旦匿われる事に。
その後は錠が買ってきた食べ物を平らげたり、ボールを玩具に戯れ、寝落ちした錠に寄り添って寝るといった無害で友好的な動物の振る舞いを見せるカセキグルマー。
それを見た錠も、玄蕃より事情を聞いた大也と話し合った上で「この苦魔獣が人を襲わないと証明する為一晩一緒に過ごす」と決め、それに大也も賛成。すっかり錠に懐いたカセキグルマーは穏やかな一晩を錠と共に明かした。
そして翌日、カセキグルマーに愛着の湧いた錠は『キー太郎』という名前を与え、早速お腹を鳴らしたキー太郎のご飯を買いに行こうと倉庫のシャッターを開けたが、そこには「恐竜ハンター」を気取り捕縛道具で身を固めていたサンシーターとネジレッタが待ち受けていた。
これに対し錠もブンブラックへチェンジして抵抗、キー太郎を庇いながら逃げようとするが、多勢に無勢でやがてサンシーターに捕獲ネットを投げられ捕まってしまう。しかし直後に残りのブンブンジャーが救援に入り解放、4人が戦闘を引き受けブラックとキー太郎を逃がそうとする。
だが仲間達も放っておけないブラック/錠がしばしその場で立ち尽くしたので、その隙に現れたキャノンボーグが闘争本能を引き出すチューンナップの光線をキー太郎へ照射。自我を奪われ強引に苦魔獣・カセキグルマーに戻された事でブラックを弾き飛ばし、他のブンブンジャーへ猛然と襲い掛かる。
やがて抵抗の出来ないブラックを袋叩きにし変身解除させるが、その直後ギャーソリンの自己捻出とそれを利用した暴走体への変貌というイレギュラーを起こし巨大化。その巨躯で暴れ回って街を壊す様に、最早キー太郎の面影は失われていた。
ヤルカー「スゴイじゃないカー! それでこそ、カーの恐竜じゃないカー~!」
キャノンボーグ「おやおや…、これはチューンナップの副作用ですか…。 ギャーソリンを無駄食いするだけで、大失敗でしたねぇ…!」
そしてカセキグルマーの暴威により、人々が逃げ惑い泣き叫ぶ光景を見て「キー太郎は人を襲わない」証明が崩れ去ってしまった現実へ錠は慟哭。…しかしひとしきり泣き叫んだ後「警察官の使命は、人を守る事!」と思い直し、『警察屋』ブンブラックとしてカセキグルマーを倒す道を選んだ。
その覚悟を酌んだブンブンジャーはブンブンジャーロボモンスターを繰り出し、ビル街でカセキグルマーと激突。だが操縦のメインであるブラック/錠が葛藤している事から互いに決め手を欠き、日中から夕陽の差す時刻まで戦いは長引いた。
しかし、あの穏やかな一晩を振り返りながら「キー太郎…、すまない…」と呟いたブラックはバクアゲクローの渾身の一撃で擦れ違いざまにカセキグルマーへトドメの一撃を刺す。そして「カァァァ、セキィ…!」と叫びながら崩れ落ちる瞬間、キー太郎としての面影を見せながら敗北・爆散。静かにフィニッシュを果たし、その跡地にはシーミアサウルスの化石が残された。
デコトラーデ「結局やられちまったかぁ…」
ヤルカー「うっうっ、カーの恐竜ぅぅ…(涙目)」
イターシャ「ヤルちゃん、元気出して。 何食べる?」
デコトラーデ「おうっ、今日は俺が奢ってやっから!」
その後、取り返されたシーミアサウルスの化石は依頼者の舞に届けられたが、その届け役へは錠が志願。キー太郎との哀しい別れを胸に秘めながら警察屋の使命を全うした錠を、仲間のブンブンジャーは優しく出迎えるのだった。
そしてその博物館は、キー太郎にとっては墓となった・・・・・。
余談
- プレートナンバーは「ジュラシック」の語呂合わせ(ジュ(10)ラシ(4)ック(9))。
- 化石モチーフの戦隊怪人は『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』に登場した恐竜鬼から2年ぶりだが、本物の化石を媒体にして生み出されたケースは『爆竜戦隊アバレンジャー』のギガノイド第4番「復活」から実に21年ぶり。
- 前回の、ファーストラウンド(等身大戦)のみで終わったレイゾウコグルマーに続き、セカンドラウンド(等身大時での敗北→ヤルカーに取り込まれてのハイウェイ空間でのチェイス)を省略しファイナルラウンドに移行してのフィニッシュを迎えた、これまでのパターンを崩した動向を辿った苦魔獣ともなった。
- 声を演じる浅利氏は今作がスーパー戦隊シリーズ初出演となる。
- なお30分前の番組では全てのモンスターを捕獲に成功する(そのうち一体は皮肉にも恐竜モチーフ)というカセキグルマーとは温度差が凄まじいもの。
- 好き嫌いなく食べていたように見えたカセキグルマーだが、スーツアクターの村岡氏の「サカナキライ…」と言う発言から声を担当した浅利氏も少し不機嫌に声を当てたとのこと。ちなみにこの一言で現場では笑いが起きたらしい。