「キレイになりやがれ~! 水洗、ジャ~!!」
「『汚い建前』洗い流し、『キレイな本音』を垂れ流せ~!」
登場話数:バクアゲ6「シロとクロ」
データ
全高/190cm(ギャーソリン大暴走体/45.0m)
重量/247kg (ギャーソリン大暴走体/585.8t)
エンジン/洋式のトイレ
スピード/洗浄最速
カスタム/水洗ジャー、シュラバラバー、奥の手ペーパー
ナンバー/9090
ファーストラウンド(コース/市街地)
セカンドラウンド(コース/ハイウェイ空間)
ファイナルラウンド(コース/ビル街)
概要
ハシリヤンの斬込隊隊長・マッドレックスが、洋式のトイレ(正確には多目的トイレ。男性用は全席満室で女性用はさすがにサンシーター(特にイターシャ)に止められた)に込められた燃えるキレイ好き魂をイグニッションし、地球に納車された苦魔獣。
上蓋が自動開閉する最新式のウォシュレット便座(上蓋裏と便座内には口内を連想させる青紫のモールドが配される)を模したマスクを着けている様に見える頭部に、その各機能を操作するパネルボタンの胸部、それらが複数のトイレットペーパーのロールで構成された肩と腕で繋がった上半身を持つ。
また武器として、スパイクの付いた黒いラバーカップ型の棍棒『シュラバラバー』を携行する。
腰ベルトのバックルに付いているナンバープレートのナンバーは「9090」。
「キレイにしてやる!」と嘯きながら、頭左横に付いた水洗レバーハンドルを捻る事で、頭頂部の上蓋を開きそこから洗浄水を人に向けて放つ技『水洗ジャー』を使う。
モチーフの都合で、汚物を処理する為に貯められた水を人々に撒き散らすという色々とアウトな絵面だが、「水に流す」の喩え通りこの水には人の「建前」を流して本音を口走らせる効果がある。
これで人々に嘘をつけなくしてプライドを奪い悲観的にさせたり、密かに持っていた対抗心のブレーキを外したり絶対的自信を滾らせる等して争いを誘発、修羅場を引き起こして社会に混乱や騒動等を広め、ギャーソリンを発生させ頭頂部の便座内に取り込む事で回収する。なおトイレグルマーが完全に倒されない限り、流された建前が元に戻る事は無い。
しかし本音と建前が一致している者には実質無効、ポジティブな本音を理性的な建前で抑えている者は逆に発奮させてしまう等、精神構造的に相性が悪い相手も存在している様子。
戦闘はシュラバラバーを使っての棒術メインだが、先端の吸盤を相手の頭に吸い付け主に精神面へダメージが行く攻撃も使う。更に腕周りのトイレットペーパーを伸ばして敵を捕縛拘束、電撃を流して攻撃する技『奥の手ペーパー』を切り札として隠し持つ。
しかし全体的に精神攻撃へ向いた能力等の構成の為、直接戦闘は不得手な模様。
何かある度に、座れる場所へ腰掛けて何かを考える様な姿勢を取る、陰気かつ神経質な口調で話す潔癖症めいた性格。
自分の事を「キレイ」と言って潔白だと悪びれない所か、自分の行動で建前が流された結果、平穏が失われ無秩序な修羅場に人々が陥った光景を“(建前が無くなり)キレイになった”と言ってのけると、苦魔獣らしくモチーフの器物に与えられた役割を誇張・曲解した価値観も露わにしている。
本編での動向
地球に到着してから何度もブンブンジャーに妨害され、ギャーソリンの収集に失敗している状況なのに危機感ゼロで食事を取っていたサンシーターだったが、それに痺れを切らしたマッドレックスが直に地球へ参入。
慌てるサンシーターを引き連れながら、マッドレックスはハシリ犬に導かれる形で苦魔獣の素材を物色し、多目的トイレ内の便座を見付けるやハシリヤンイグニッションキーを装填。「トイレ〜ット!」と言いながら誕生する。
納車後はマッドレックスらに見守られつつ、市街地に現れ水洗ジャーで人々の建前を洗い流して修羅場へと落とし、人々が本音に振り回され争い苦しむ様にしてギャーソリンの捻出と収集を行う。
やがて大也/ブンレッドが迎撃に現れるも、これはマッドレックスがタイマン勝負へ持ち込む形で遠ざけたので活動を続行。しばらく後に別の人々を修羅場に落とすも、その中にいた知り合いを止めようとした錠と彼の裏の顔を暴こうと尾行していた射士郎、それを面白がって付いて来ていた未来が現れたので、結局残りのブンブンジャー3人と交戦する事に。
嗾けたネジレッタを片付けられつつも錠/ブンブラックと交戦。「黒い汚れ、キレイにしてやる~!」と因縁を付けながらシュラバラバーをブラックの頭に引っ付け地面を転がす攻撃を仕掛けるも、見かねた未来/ブンピンクの狙撃で中断されたのを「トイレを汚したなぁ!?」と逆ギレ。
水洗ジャーを浴びせて精神的な揺さぶりを掛けようとするが、ピンクを庇って浴びるも本音と建前が一致しているブラック=錠は自分の心に振り回されなかったので実質無効。反撃されたのでだったらばと射士郎/ブンブルーに水洗ジャーを浴びせ仲間割れを狙うも……。
ブルー「う、疑って...悪かったぁ〜〜っ!!裏と表できている世の中で、熱く、真っ直ぐで、真面目すぎるほど真面目な警察屋!世界で一番、真っ白なブラックだった〜〜っ!!」
ブラック「あっ、はい?」
ブルー「最高にバクアゲだ!阿久瀬錠!尾行などした俺を、許してくれぇ〜...!(泣)」
ブラック「はい!自分は、何の問題もありません!」
今度は疑り深い皮肉屋の建前が流され仲間思いで熱い本音を露にされたブルー=射士郎は逆に発奮。謝罪と和解を挟んだブラックとピンクを先導しての連携を仕掛けて来た。
結局、自身の精神干渉能力と相性の悪い人物が2人もブンブンジャーに居たという不運に見舞われたトイレグルマーは為す術も無く攻撃を畳み掛けられ、トドメにバクアゲハンドリングドライブ(ガン&ロッドVer.)で蜂の巣にされ「あぁ…キレイになりたぁ~~い!」と切実な願いを込めた断末魔をあげて敗北。
その後、ヤルカーを通してギャーソリン大暴走体となり復活。ビル街に再出現し、「流すべきか、流さざるべきか……」と30分前を思わせるような事を呟きつつビルの一つに用を足す感覚で腰掛ける。
直後、相手の繰り出したブンブンジャーロボポリスから先制の銃撃を背後から浴びせられたので接近戦へ移行。シュラバラバーを相手の顔面に吸い付ける攻撃を加えるも、戦闘力は相手の方に分があり程無く逆転、至近距離からの連射をまともに浴びシュラバラバーを叩き落される。
それならばと切り札の奥の手ペーパーを発動させ動きを封じるも、「トイレがポリスを捕まえるなんて、公務執行妨害だ!」と返したブラックの操作で分離したブンブンパトカー1がアタックモードの機構を応用した切断技『パトカーサスマタカッター』で伸ばした奥の手ペーパーを切られ拘束を破られてしまい、「もう紙が無~い!!」と叫びながら転倒。
こうして勝ち目を全て失った末で、起き上がりにトドメのバクアゲマグナム・ブンブンクラッシュが直撃。よろける動きから再びビルに腰掛ける格好になった上で、便座の蓋を開閉する口パクと共に「あんた、キレイだったぜ…!!」とブラック/錠への称賛の言葉を残し、座したまま爆散。息も紙も切らしてフィニッシュした。
デコトラーデ「今回も“お流れ”か…」
サンシーター「「「ガックリ……」」」
これを以てようやく、建前を流された人は正気に返ったが、本音を大也以外の2人にバラしてしまった射士郎は一人頭を抱え意気消沈。しかも錠から「シロ先輩」なる、自分にとっては不本意な新しいニックネームも付けられてしまうのだった。
その後、劇場版においてユーズド苦魔獣軍団の1体として蘇るも、手の内が割れている為対して苦戦はせずに次々と撃破された。
またバクアゲ26において後述する通り、三度再納車されている。
トイレグルマー・リミテッド
「見よ!リミテッドの新機能!」
「え~い!流してやる!!ガチャリ!パカリ!ジャ~!!」
スーツアクター:菅野聖
データ
全高/190cm(ギャーソリン大暴走体/45.0m)
重量/250kg(ギャーソリン大暴走体/585.8t)
エンジン/洋式のトイレ
スピード/引き抜き最速
カスタム/スッポン機能、普通の水
ナンバー/3232
ファーストラウンド(コース/市街地)
ファイナルラウンド(コース/ビル街)
概要
バクアゲ26に登場。
キャノンボーグが戦死後、再度の心機一転を図ったサンシーターが敬愛するマッドレックスの験を担ぐ目的で、洋式のトイレに込められた燃える水洗魂をイグニッション、彼が最初に地球で製造したモデル(種類)を意図的に再納車した苦魔獣。
製造元が別個体の為、あくまでモデルが被っているだけの別の苦魔獣となっており、声や固有能力が初代の個体と異なる上、重量も3kg増加している。ナンバープレート型バックルのナンバーも「3232」に変わった。
シュラバラバーを人に押し当て、その人の「芯」をトイレットペーパーの紙芯の形に「スッポーン!」と言って引っこ抜き、骨抜きにしてしまう芯…もとい新能力『スッポン機能』を持つ。骨抜きにされた人はその場に力無く崩れ落ちるも、同時に肉体と精神に齟齬が生じるらしく、やる気が走る地球人からギャーソリンが生成されてトイレグルマー・リミテッド(以下トイレグルマー・L)に回収される仕組みの様子。
因みに人々より引っこ抜いた紙芯は近くの地面に転がるが、特に人質代わりに取り集めたりする事はなかった。一応、トイレグルマー・Lが完全に倒されない限り元には戻らない様子。
戦闘では、遠距離攻撃として頭部の便座から洗浄水を撒き散らすが、こちらは初代の建前を洗い流す精神干渉能力の無い『普通の水』である。
更に膨大なウォシュレットの洗浄水を一斉に噴射する『大・激・流』を大技としている。見た目的な意味で浴びたくないのはともかく、大技でないと対抗し得ない水圧なのは確からしい。
陰気な性格だった初納車個体とは逆に、威勢の良い性格になっている。
本編での動向
前回で(自分らから見捨てたとはいえ)キャノンボーグが戦死、自分達だけが地球に取り残され不安に駆られ、とうとう自分達がブンブンジャーに撃破される悪夢で飛び起きるまでになったサンシーター。しかしマッドレックスにドツかれつつも失敗を励まされた過去の記憶を思い起こして奮起、ギャーソリンを収集する行動を再開し街へと飛び出した。
しばらくは当ても無く走っていたが、やがてマッドレックスが地球に初来訪した際に苦魔獣の素材を探しがてら訪れた、いつぞの多目的トイレに到着。「あの熱い暴走魂をもう一度…!」と呟きながらイターシャがイグニッションし、先代と同じく「トイレ〜ット!」と叫びつつ誕生。
イターシャ「マッドレックス様が地球で最初に造った苦魔獣に思いを込めて…!」
ヤルカー「その名も、“トイレグルマー・リミテッド”なのカー!」
デコトラーデ「よっし、地球人共にギャーギャー言わせてやれぇ!」
納車後は市街地を走り回りながらスッポン機能を擦れ違いざまで人々に使用、某仕事人気取りで骨抜きに追いやりギャーソリンを捻出。そのまま「全人類の芯を抜いてやる~!」と息巻いていたが、走り回っていたサンシーターを尾行していた先斗が横槍を入れてきたのでネジレッタと共に交戦へ突入。
その内に先斗以外のブンブンジャーも集まってくるが、かつてこの苦魔獣に屈辱を味合わされた(と思っている)射士郎は水を浴びせられるのを人一倍警戒。しかしその辺の事情を知らなかった先斗/ブンバイオレットやピンクにブラックが水を浴びてしまうも、そもそも精神干渉の効果すらない普通の水だったので(絵面が悪い以外は)特に影響無し。
更に射士郎/ブルーが再び水を浴びるも、すぐ傍らで防水仕様のブンレッド119になった大也にいつも通りだと言われた事で本音が曝け出されない=ただの水である事を我が身で知り、自分の警戒が取り越し苦労だったと悟った。
イターシャ「アレ、普通の水被ってるだけじゃない?」
ヤルカー「それでずっと、「流してやる」と言ってただけカー?」
デコトラーデ「リミテッドの売りは、スッポン機能だけか~い!」
何はともあれ、一番厄介だった精神干渉能力が無いのを知ったブンブンジャーは反撃に転じ、あっという間にネジレッタを蹴散らしてトイレグルマー・Lを追い込む。
そしてズンズンオーバードライブとビュンビュンアロードライブが直撃し、「ジャ~~~ッ!!!」と叫んで敗北。
直後、ヤルカーのハイウェイ光線でギャーソリン大暴走体となり、「トイレ~!!」と叫びながらビル街に再出現。
ブンブンジャーロボ119・ビュンビュンマッハーロボと対峙し、「カッコイイのが出てきやがって! 全部キレイに流してやる!」と宣告後、(少しの水しか出せないと見せかけるフェイントを挟みつつ)大・激・流を2体に浴びせようとしたが、ロボ119はバクアゲラダーからの放水で抵抗、マッハーロボもその周りを高速飛行で回っての回避を行い凌がれてしまう。
思わず素になって拍手をした隙にブンブンフルスロットルエディションを組んだ相手に対し、「二度流し~!!」と再度の大・激・流を放ったが、相手の放ったバクアゲフルスロットルバズーカに押し負かされ逆に自分が空高く打ち上げられ、「流されたぁぁぁっ!!」と言い残して爆散。
総じてブンブンジャーの大した脅威にならず、相手に軽く流されながらフィニッシュ。同時に抜かれた紙芯も元へ帰り人々は芯を取り戻したのだった。
余談
- プレートのナンバーは「キレイキレイ」の語呂合わせ(9=キ、0=レイ×2)。そもそもトイレが衛生管理用の道具・施設である事と、退出する際の手洗い場にハンドソープが据えられている事に因んだチョイスと考えられる。
- トイレグルマー・Lの方は「水」を2回繰り返した、もしくは水が大量に浴びせかけられている際の擬音「ザブザブ」の語呂合わせ(3=み、2=ず×2。もしくは3=ザ、2=ブ×2)。
- 復活個体につけられた、「リミテッド」の名称は、限定仕様や特別仕様であることを示す「リミテッド・エディション」が元ネタだと思われる。ただし、実際は新能力の代わりに旧能力が使用不能になってしまうため、機能制限版という意味にも見えてしまう。ダブルミーニングなのだろうか。
- トイレをモチーフにした戦隊怪人はこのトイレグルマーが初。
- 公式曰く、脚本会議の段階で「史上初のトイレがモチーフの怪人」についてかなり激しく議論していたらしく、「モチーフがトイレとはいえ日曜朝からトイレに行けなくしたりトイレットペーパーで拘束したりといった様子を映すのはコンプライアンス的にどうだろうか」と試行錯誤を重ねた結果、「人間の本性を暴く能力を持つ」という設定となったのだとか。
- 前作ではフンに関する虫がモチーフの怪人だの空耳だの排泄物だのと堂々と口走っていたが、流石にトイレの怪人でそこまで行くと行き過ぎであろうから、妥当な判断となったと言えるかもしれない。
- 声を演じる君嶋氏は今作がスーパー戦隊シリーズ初出演となる。
- トイレグルマー・Lの声を演じる手塚氏も今作がスーパー戦隊シリーズ初出演となる。
- スーツアクターの蔦宗氏は前作『王様戦隊キングオージャー』で宰相カメジム/カメジム・ウンカを演じている。後に蔦宗氏はブンバイオレットのスーツアクターとして出演することになる。
- 水洗ジャーによって本音をさらけ出された群集の中に『ウルトラマンブレーザー』でバンドウ・ヤスノブ隊員を演じていた梶原颯氏が出演している(筋肉対決していた関西弁の白いタンクトップの男性の方)。赤いタンクトップの男性とは筋肉を鍛えるライバルであり友達(筋肉仲間?)らしく、水洗ジャーを食らってさらけ出した本音も周りがギスギスする不満等が大抵の中、互いの筋肉を自慢しアピールしながらポーズを決めるという比較的平和な物であった。