概要
ルパン三世TVスペシャルの流れから金曜ロードショーで放送されたが、本作は野球中継のナイター延長を受けて放送時間が1時間ずれ込んだからか、視聴率が今ひとつだった。
それを受けてTVスペシャルシリーズは次作「ルパン暗殺指令」をもって完結となることになってしまったが、その視聴率が好調だったことから続行が決まった。
なお、タイトルはひと目で分かるように007シリーズの「ロシアより愛をこめて」が由来。
ちなみに本放送では、本編前に山田康雄氏達へのインタビューが収録されていた。
2019年10月11日にはYouTubeの「TMSアニメ55周年公式チャンネル」にて本編の無料配信(21時からのプレミア配信→アーカイブ配信)が行われた。なお、この配信に際し雨蘭咲木子演じる図書館員のシーンに修正が入った(ボカシを入れたり明度を極限まで下げていたため、彼女のトップレスを拝めず落胆した視聴者も多かった。なお、この様な措置は他のTVシリーズでも同様に準拠して行われた)ほか、前週までのTVシリーズ傑作選同様「ルパン三世THEFIRST」の予告(前週までの物とは別のバージョン)が冒頭部分と最後に挿入されたが、エンドロール含め先述のシーン以外には修正が入っていなかった(本放送時点での名義は「東京ムービー新社」だったが、クレジットの修正は無かった)。
なお、これまでの配信は「ネット投票による結果」に拠るものだったが、今回の配信はそれとは別の定時配信という扱いである。
あらすじ
かつて、ロマノフ王朝時代のロシア帝国はアメリカに次ぐ世界第2位の[[金保有国だった。しかし、ロシア革命の後、その莫大な金のうち500トンが何処かへ流出し、行方不明になっていた。
ルパンはその金塊を狙って関係資料である本を図書館へ借りに行くが、ジュディという女が借りていたため、彼女の元まで尋ねる。
同じ頃、五エ門はシベリアの新興宗教団体でやっかいになっていた。教祖ラスプートンは一国の大統領すら虜にしてしまう人物だったが、その正体は莫大な暴利を貪るペテン師だった。そんな彼に斬鉄剣を奪われた五エ門はしぶしぶながら用心棒として雇われてしまう。
一方で、本を見せてもらおうとルパンはジュディに頼み込むが、同じくその本を狙った二人組の男の襲撃を受けて本は奪われてしまう。幸い暗号を見つけ出していたルパンは暗号を解読し、金塊の在り処を突き止める。
しかし、金塊の隠し場所は泥棒界でも有名な銀行の地下金庫。しかも、盗み出すのは500トンの金塊。果たして、ルパンは如何にして盗み出そうというのか?
ゲストキャラクター
ジュディ・スコット(CV:佐々木優子)
本作のゲストヒロイン。
ニューヨークの某会社に勤めていた女性会社員だったが、劇中では会社との裁判沙汰の末に退職して以降はルパン達(主に不二子)と行動を共にする。
実は「ロマノフ家最後の謎」アナスタシア皇女の子孫(劇中では孫)。ロマノフ家の金塊500トンで経済混乱で貧しくなった祖国の人たちを救うためにルパンや不二子に取り入り、最後には念願の金塊(ほんの一部はルパンがこの一件の「手取り」として持って行ったが、全部を欲していた不二子は当然不服だった)を手に入れる。
グリゴリー・ラスプーチンの孫だと自称する、他人の穴という穴(口や鼻、耳)に手や指を突っ込む悪癖(この癖は彼独自の殺人技・人体破壊術でもあり、素手で人間の骨を砕き、急所を突くことで相手を死に至らしめるという見てくれの割に厄介な技でもある)がある上、「人に物事を強要する」ことを好む困ったおっちゃん。
各界の著名人から霊能者として崇められているが、実際の予言はインチキで、名声を利用し予言以外に教団の資金集めのためにコカインの密輸(ドンビーノは「自分達からすれば営業妨害」などという趣旨で憤慨していたが、本人曰く「たかが知れている」らしい)まで行っていた。
しかし本人曰く「テレパシーは本物」で、他人の心を読み取ることができる(この能力は前述のインチキ予言にも使っており、予言の信憑性を高めるのにも一役買っている)。
終盤の飛行艇内戦では、その読心能力で次元の射撃を完璧に見切って彼を恐怖させるが、ルパン曰く「頭をカッパラポッケにした」状態で発砲され眉間を撃ち抜かれるも、すぐには死なずに持っていた十字架の獅子の口に指を突っ込んで呪文を唱えた(もしくは発火用のスイッチを入れた?)途端に人体発火現象を引き起こし、ルパン達を道連れにしようとするが、失敗して自身だけが焼死した。
カルシオーネ(CV:今西正男)
ニューヨーク・マフィアのゴッドファーザーで、ラスプートンの信者でもある。
「ロマノフ家の金塊」の現在の所持者だったが、ラスプートンが金塊を狙って彼から「厄の元凶」とされた金塊を手放す様に唆された事で、かねてより叔父への不満を募らせていた甥のドンビーノの怒りを買ってしまい、彼に射殺されてしまう。
ドンビーノ(CV:大塚明夫)
カルシオーネの甥で、ニューヨーク・マフィアの幹部。
ラスプートンの信者へと成り下がった叔父であるにカルシオーネに不満を持っており、ついには言いなりになって金塊を手放そうとした彼を見限って射殺した。
その後、手下達を率いてラスプートンの総本山に乗り込み、ダイナマイトを仕掛けて金塊の返却を迫るがラスプートンに両目を潰された(あまりに生々しくなるためか直接の描写は無く、間接的に表現された)が、最後の力を振り絞り「ふざけやがって…」と言いながら、残りのダイナマイトを一斉爆破させて総本山を崩壊させた(しかし、結果としてはこれが仇となり、ルパン一行が金塊を奪いやすい状況をつくってしまう)後、力尽き死亡した。
デューク・ブラウン(CV:納谷六朗)
しがない銀行「バンク・オブ・リバティ」…を隠れ蓑にした、盗品の預かりからマネーロンダリングまで行っている、泥棒御用達の銀行「バンク・オブ・バンディッツ」の三代目頭取。
ルパン一味を始めとした裏社会の人間を取引相手にしているため、関係者達に関する情報や知識も豊富で(ルパン達の顔を見ただけで正体に気付いたが、その前に老婆に変装したルパンが来た際には彼だと気づかなかった)、銀行強盗を装った彼らに押し入られて散々な目に遭わされるも、カルシオーネが所有者となった金塊を盗もうとした彼らを必死の形相で止めようとしたが、最後には爆死しないようにと耐火金庫に押し込められてしまう(しかし「銀行の裏の顔の事を公にしない」と、ルパンと次元が約束した際には安心したのか「グッドラック」と言って自ら金庫に入った)。銀行爆破後は劇中から一切登場しなくなりその後の生死は不明。
ラッキー・マクドナルド(CV:石塚運昇)
フリーランスの殺し屋で、ビッグマウス・ジョーと組んで行動する。
愛用の武器はショットガンで、三角形のレンズをしたサングラスをかけている。
力押しのビッグマウスに対し、冷静かつそれなりに優れた洞察力を持つ(ルパン一味が銀行強盗を装った爆破の時も、ほぼ同じタイミングだが別々の爆破が起こったと見抜いている)。
ラスプートンに雇われてビッグと共に金塊を奪い取るが、ラスプートンの爆撃で崩れた瓦礫の下敷きになって瀕死の重傷を負うが辛うじて生き延び(次元曰く「医者が言うには生きているのが不思議」との事)、相棒の敵討ちをすべく、怪我の身体を押してルパン一味と一時共闘、ラスプートンの総本山への道案内をした後、ルパン一味と別れ単独でラスプートンを惜しいところまで追い詰めるが、肝心の場面で弾切れを起こし、そのまま返り討ちにされて死亡する。
ビッグマウス・ジョー(CV:辻親八)
幼なじみであるラッキーの相棒で、スキンヘッドの巨漢。
愛称は「ビッグ」で、丸っぽいレンズのサングラスとショットガンを愛用している。
頭脳派のラッキーとは逆に見た目通りの粗暴だが、時折そのいかつい外見とは裏腹にどこか愛嬌のあるコミカルな言動も多い。
ラスプートンに雇われてラッキーと共に金塊を奪い取るが、ラスプートンの爆撃で崩れた瓦礫の下敷きになって死亡する。
余談
- 現実のロシア帝国の500トンの金塊の行方は今でも行方不明である事から埋蔵金伝説の一つでもあり、バイカル湖に沈んでるという説や一部が日本に流出したという説まである。
- ルパンが銀行強盗を装って銀行の地下金庫を探る際に、デュークが「やめろー、それだけはやめてくれー!!」と叫びながら制止しようとした際、ルパンが「♪やめろと言われても〜」などと口ずさんて返答していたが、これは西城秀樹の「激しい恋」からの一節である。
- ドンビーノ役の大塚明夫氏は、9年後の『アルカトラズコネクション』でアンディ役としても出演している。そして、2021年放送の「ルパン三世PART6」より、長らく演じていた小林清志氏から次元役を引き継ぐ事になった。
関連タグ
ナポレオンの辞書を奪え→ロシアより愛をこめて→ルパン暗殺指令