概要
1958年3月3日生まれ、東京都出身。KDエンタテインメント&オフィス南所属。
本名・栗原良之(くりはらよしゆき)。
フジテレビのモノマネ番組に何度も出演し、モノマネタレントのスターとしてコロッケなどと共に並び称され現在に至っている。
そのレパートリーも俳優や演歌歌手からアニメキャラクターまで幅広く、特に山田康雄演じるルパン三世のものまねは後に当人から公認され、冗談で後任の指名を受けるほどだった。このため山田の没後に同キャラクターの声優を引き継ぐ程の高い完成度を誇っている。
私生活では大沢さやかと結婚している。家では亭主関白であり、モラハラとも取れる態度を取っているとのことで、テレビ番組で私生活を明かした際には炎上することになった。後に大沢が語ったところによればこれは大沢の提案によるキャラ作りで、本業であるものまね番組の衰退で仕事が減ったことから、バラエティ出演を増やすための模索だったという。それを面白がったテレビに求められて大袈裟に発言したが、実際そこばかり強調されて仲の良いシーンは全てカットされたらしい。これは物の見事に大失敗してしまい、おかげで世間から大きな批判を受けてしまいかなり落ち込んだとのこと。また同番組では前頭側頭型認知症の疑いがあると診断されている。
現在は亭主関白キャラを強調することはやめている。
ルパン三世について
経緯
山田康雄が急逝した1995年4月22日公開の劇場用作品『くたばれ! ノストラダムス』以降、ほぼ全てのメディア作品でルパンのCVを担当している。
『くたばれ!ノストラダムス』の際は、オファーを受けた際「山田の未収録部分を自分が声を当てるのだろう」と思い込んでおり、「気付かれなかったらモノマネタレント冥利に尽きる」と考えて現場に赴いた。しかし実際は山田がアフレコした部分はまったくなく、想定と違ったため呆然としたのだとか。
元々山田とは、自分の家の留守番電話にルパンのモノマネで声を入れていたら、山田からルパンの声で返ってきたのがきっかけで交友関係が生まれ、公私問わず親しくなり、家に呼んでルパンのモノマネをさせたり、還暦祝いのゴルフコンペに呼んだりもしていた。何かと栗田貫一を引き合いに出して不満げに語っていたような山田だが、むしろ栗田のモノマネについては好意的だったことはうかがえる。テレビのバラエティ番組に出た山田が、司会の小堺一機によるふとしたモノマネに対し「君は栗田貫一か?」と口にしたこともあり、それでか山田ルパンのモノマネ=栗田貫一ということが定着していた。
なお、その当時留守番電話は、「応答はICボイス、録音はカセットテープレコーダー(だいたいはマイクロカセット)」というタイプが一般的だった。ところが、栗田は迂闊にもこのテープを上書き再利用してしまう。後に『ルパン三世オフィシャルマガジン』インタビュー内で「とっておけば大事な記録になったのに……」という趣旨の、悔やむ発言をしている。
なお前述の当人からの後任指名というのは、ルパン三世のアフレコ中、不調のためかリテイクを繰り返して疲れていた山田が「どうせ同じなんだからクリカンに(ルパンを)やらせておけよ」と苛立ち混じりに冗談めかして発言していたことが誇張されたというのが真相である。後任になった事を当初は重荷に感じており、山田と声がそっくりな息子に「コツを教えるからルパンをやってよ。」と真面目に頼んだという(勿論、即座に却下された)。
ルパンの代演は一度切りのつもりだったが、制作側は同作の代演が好評だったことから継続的出演を懇願した。栗田はあまりのプレッシャーに参っていたこともあり何度も断った。が、栗田が仕事で移動するために使った新幹線にプロデューサーがわざわざ乗り込んで説得するという血眼っぷりで、その熱意に根負けして渋々引き受けることになった。
とはいえ自分がルパンを演じ続けるかどうかのジレンマには常に苛まされていた。実際にかつては「代わりが自分以外に現れたら素直に代わりたい」と言っていたほどである。
山田の幻影や、小林清志をはじめとする共演者からの激励もあり、基本的に自分はあくまで山田康雄の代役であるというスタンスを崩さず、永らくルパンを演じていた。
このためか後年モノマネ番組に出た際は「これが一番似ていない」と言ったうえでルパン三世の声を出したこともあるほどである。しかし現在はモノマネタレントでありながら「ルパン三世の本家声優」として出演する場面も増えた。
2018年には、ルパンの担当期間が山田康雄がルパンを演じたおおよその年数である23年に到達した。また、2020年には山田康雄が没した年齢である62歳を迎えた。しかし山田はTV版のPart3までとTVスペシャルの初期数作を演じた経験から担当本数では比べ物にならない差があり、本人も「山田さんより長くやってると言われても恥ずかしい」と語っている。
演技プラン
長年担当してきたことから、共演者やスタッフなどの周囲から「そろそろ自分の味を出してもいいのでは?」としばしば言われてきたものの、これらの進言に対しては、「自分が山田さんの立場であればどう演技しているのか、山田さんであればこのセリフはどう表現するのか想像し、山田さんの演技をできるだけ忠実に再現することが自分なりのルパンの演技である」と述べ、あくまで上述のスタンスを長らく崩さずにいた。
しかし、『次元大介の墓標』の舞台挨拶にて、小林からも「そろそろ山田康雄の亡霊を振り払って、栗ちゃんらしさを付け加えてもいいんじゃないかと思っているわけだよ。頑張ってちょうだいよ!」と公の場で発破をかけられてしまった。
こういったことも受けてか、他作品などで経験を積んだ2019年のインタビューでは「山田さんの真似ではなくルパンを演ればいいんだ」と思うようになり、山田の魂を受け継いでいるという意識を持ちつつ、自分の求めるルパン像に意識が向くようになっていったことを明かしている。実際TVシリーズPart4以降のルパンは声のトーンがやや下がっており、基本は崩さず渋みを増しつつある。
二代目となって以降は演ずるにあたって非常に神経を使うらしく、収録の何日も前から山田版ルパンを過去作から徹底的に鑑賞し、さらにモチベーションを維持するといい、特に今でも『カリオストロの城』の美味しい場面を見て必ず音を確認するという。おかげで咄嗟にルパンの声を出すことが逆にできなくなってしまったらしい。
本来はモノマネの世界にいた彼が突然『声優=役者』の世界に放り込まれた事はジレンマに陥るほどに身をもって厳しい世界である事を知ったともいえる。事実、声優事情についても殆ど素人だった。
このため「TVシリーズをやらせて欲しい」と以前から願っていたが、念願叶って「峰不二子という女」以降、数作においてルパンのTVシリーズで主演を果たしている。その後も栗田は「ルパン」の研究に余念がないという。最近は「初期の作品を撮り直しさせて欲しい」と思っていると語る。
栗田ルパンはどちらかというとシリアスなルパンの脚本が合っていると評されるも、本人はコメディチックなルパンを好むような発言もしている。が、実際はどちらを得意としているかは不明。
共演者との関係
共演者の中でも特にキャリアの長い一人で、厳しい人柄で知られる銭形警部の初代キャスト納谷悟朗も、栗田がジレンマに陥っているときに「これはお前の作品だからな」「俺たちはお前に付いていくぞ」と、他のオリジナルキャストと共に栗田を激励していた。また、初期には一度だけ小林と揉めたことがあり、栗田はなかなか演技が決まらず一人でブースに居残りすることが多かった。その間、他のキャストは思い思いにどこかへ行ってしまうことが多く、不安になった栗田は小林に横いてほしいと頼んだことがある。超大御所に対するその懇願に周囲は「小林さんに何を言っているんだ」という空気になったが、納谷が間に入って栗田に事情を説明するよう促す。話を聞いた納谷は「クリちゃんの言う通りだ」と納得し、収録中はなるべく共演者はブースを離れないようにするという不文律ができ、以降小林と仲違いすることもなくなったという。
2013年に納谷が亡くなった後、お別れ会の時に「とっつぁん、さみしいねぇ、ずっと追いかけてほしかったぜ」と語りかけていた。
また、原作のモンキー・パンチも、栗田が引き継いだことに批判を受け続けているのを見かねてか「何も心配しなくていいですよ。そのまんまでやってください」と背中を押してくれたという。
二代目ルパンという大役を務める重みと、大きく批判を受けた経験もあり、栗田と次元役の小林以外が交代になった初めてのSPの際、収録前に後継達と共に一致団結を目的とした会合を開いたという。これは栗田が「自分と同業の大先輩から役を受け継ぐのだから、その緊張は自分の比ではないはず。だから変な緊張はやめよう」という意図で開いたものとのこと。
その他
声優としては、FOX制作の海外ドラマ『バーン・ノーティス 元スパイの逆襲』の主人公マイケル役などを担当している。
この役については「ジャック・バウアーの吹き替えの人のような演技にはしないようにしたい」と放送前に抱負を語っていた。
外部リンク
関連項目
ホリ…ある声優のものまねを十八番にしており、その声優の亡き後に、そのキャラクターを演じるというものまねタレントつながり。