「小賢しい女狐めが、地獄へゆけ!」
登場話数:第9話「突然!!裏切り者」
概要
マシン帝国バラノイアが開発したマシン獣の一体。
紅く縁取られた黒い装甲と胸部に備わった単眼、それにボディの至るところから生えている鋭いトゲが特徴で、上半身を構成するパーツは、遠目からは蠍に近いシルエットに見えるようにもなっている。
この蠍の尾に相当する、背中から突き出たパイプ状の部位には無数の「ポイズンダーツ」が備わっており、命中した生物を錆びつかせるという恐ろしい効果を発揮する。ダーツの効果だけでなく、その命中精度も非常に高く、作中でも3体並んだバーロ兵の頭に乗ったリンゴを全て射貫くという形で、その実力を遺憾無く示してみせている。
この他にも戦闘においては、腰からチューブを伸ばしてその先端の針を突き立て電撃を浴びせたり、頭突きを繰り出すなどといった攻撃手段を用いている。
性格については限定的な描写に留まっているものの、折に触れて余裕綽々な素振りを見せることが多い他、前述のリンゴの的を射抜いた直後に、続けてオーレッド達が描かれている扇子を射抜くかに思わせておいて、油断した吾郎ら男性陣をまんまとダーツの餌食としてみせたり、後述の樹里の投降を逆手に取って罠を仕掛けるなど、巧みに相手の虚を突いた手口を好むかのような節も見られる。
作中での動向
バーロ兵の一団とともに、地上に降り立ったバラダーツは市街地にて破壊活動に及び、これを受けて駆けつけた吾郎ら男性陣を前に前述したパフォーマンスを披露すると、油断した彼らにポイズンダーツを撃ち込みまんまと行動不能に追い込んでしまう。
この計略は、如何に強力なオーレンジャーロボを擁していようとも、操縦者たるオーレンジャーがいなければガラクタも同然というバラノイアの狙いによるものであり、その第一の目的を果たしたバラダーツには、バッカスフンドから続けて地球全土の生き物を錆びつかせるよう次なる命令が下された。
一方で、ポイズンダーツを食らった吾郎達の診察に当たった三浦参謀長曰く、超力のおかげで後6時間は彼等の肉体は保つとはいえ、それを過ぎれば二度と立ち上がることはないだろうと断言。その言葉を受け、残された樹里と桃は吾郎達を元に戻すべく、再度市街地に繰り出していたバラダーツに挑みかかるが、対するバラダーツはポイズンダーツの解毒剤をちらつかせた上で、それを奪取しようとする2人を難なくあしらってみせた。
するとここで、最早敵わぬと見た樹里が突如バラダーツへの降伏を宣言。この予想外の展開を前に、バラダーツは彼女の忠誠心を試さんと桃を倒すよう命令し、逃走する桃を追おうとする樹里に対しても解毒剤が有る限り必ず戻って来ると制止するなど、ここでも余裕綽々な素振りを示している。
その後、樹里と桃との間で激しい戦闘が展開される中、劣勢に立たされた樹里からの求めに応じてバラダーツもポイズンダーツを放つも、これが樹里に誤爆するというアクシデントが発生、慌てて解毒剤を投げ渡してみせるのだが・・・実はこれこそが樹里の本当の狙いであり、解毒剤を入手するために敢えて投降を装い、桃との死闘を文字通り「演じてみせた」のであった。
しかしその事実を明かされてなお、バラダーツの余裕ぶりが崩れることはなかった。バッカスフンドからの助言により、バラダーツはとうに樹里の臭い芝居を見抜いており、樹里に渡した解毒剤もまた偽装された爆弾だったのである。
二度までもオーレンジャーを出し抜き、本物の解毒剤を示してますます調子づくバラダーツであったがしかし、桃もなお負けてはおらず、何といつの間にやら復活していた吾郎達の姿を示されるとともに、三浦参謀長の手によって解毒剤が開発され、最早バラダーツの持つ解毒剤に何の価値もないと煽られるに至って、自棄を起こしたバラダーツは解毒剤を投げ出すという手痛いミスを犯してしまう。
吾郎達の姿はあくまでもホログラフに過ぎず、これにより解毒剤は今度こそオーレンジャーの手に渡るが、今度はアチャ・コチャらによるアメフト戦法で妨害を仕掛けるも桃の手によって基地へと運ばれ、ギリギリのところで吾郎達は救われたのであった。その間、一人足止めのために残っていた樹里を追い詰めるも、5人揃ったオーレンジャーの攻撃の前には敵わず、レッドの秘剣・超力ライザーの前に撃破された。
直後の巨大戦では、相対したオーレンジャーロボを頭突きや腰の針からの電撃で苦しめるも、バルカンヘッドに換装しての超力ドグバルカンとドグスカイキック、続くキャノンヘッドからの超力モアキャノンの連続攻撃に圧倒された末、クラウンファイナルクラッシュで止めを刺されたのであった。
後に物語後半にて、バッカスフンドにより「超マシン獣」の一体として、巨大な姿で修復・強化再生されたが、特に活躍らしい活躍の機会にも恵まれぬまま、ブロッカーロボの奇襲による落盤に巻き込まれる形で敢えない最期を遂げている。
備考
デザインは大畑晃一が担当。蠍をモチーフとしつつ、尾に相当するパーツから針を射出するという点でダーツ要素を意識したものとなっており、決定稿の段階で他者の手掛けたデザインにやや合わせていることを後に述懐している。
CVを担当した小林は、過去にも東映特撮に度々携わっているが、いずれもナレーションもしくは顔出しでの出演であり、スーパー戦隊シリーズへの初参加となった本作にて、声優として初めて役付きでの出演を果たす格好となった。
関連タグ
ダーツグルマー:後輩怪人。なお、この2体のモチーフは蠍ではなくダーツそのもの
モードクボーマ:『高速戦隊ターボレンジャー』に登場する敵怪人の一体。バラダーツとは蠍をモチーフとしている点に加え、「毒に侵されたメンバーを救うためにヒロインが裏切りを装う」という登場エピソードの大まかな展開、そして両方のエピソードの脚本を井上敏樹が手掛けているなど、複数の共通項を有している