ゴジラ死す
概要
平成ゴジラの完結編。
初代ゴジラ以来となる「ゴジラが死ぬ」作品となり、本作の製作が発表された時には、大ニュースになるほど、世界中から反響があったという。
本作は初代ゴジラから製作に携わっていた田中友幸と伊福部昭の両名及び、「ゴジラ(1984)」以外の平成ゴジラ全ての作品で、特技監督を務めた、川北紘一が参加した最後の作品になった。
なお、伊福部昭が音楽を手掛けた最後の映画作品ともなった。
また、初代ゴジラと関わりの多い作品という事もあって、初代ゴジラのヒロイン・山根恵美子役だった河内桃子が同役で再び出演しているなど初代のオマージュや初代の映像等が随所に使用されているのも特徴の一つ。
初期案は初代ゴジラの怨念「ゴーストゴジラ」と戦うというものだったが、初代ゴジラにてゴジラを消滅させた唯一の兵器「オキシジェンデストロイヤー」の分身「デストロイア」と戦うというものに改められた。田中友幸は当初、ゴジラを死なせる事に反対していたが、後に復活することを前提に、ゴジラが死ぬという本作のエンド、「ゴジラ死す」のキャッチコピーが認められたという。
なお、ゴジラの死ぬ姿については緘口令が敷かれるなど徹底した機密保持が行われていたという。
本作のゴジラは体内の核エネルギーのバランスが崩れ、赤熱し、蒸気を体中から噴出させている異常な状態にあるが、この状態を表現するためゴジラのスーツの全身内部には800個以上もの電球と、蒸気に見立てたガスが噴き出るギミックまで仕込まれた為、スーツの重量は100キロを越えたという。更にはそれに加えてギミックを作動させるケーブル類を引きずりながら歩く必要上、ただでさえ重いスーツのせいで緩慢なゴジラの動きがより一層緩慢になってしまい映像を早送りにしたり、ケーブルを建物や瓦礫で隠したり映像処理で消したりといった手間が増えてしまったというエピソードも伝わっている。
また、撮影中にスーツ内部でガス漏れが起き、ガスがスーツ内に充満したことからゴジラを演じた薩摩剣八郎が撮影中に酸欠で昏倒するという事態まで起き、ガスの仕様が改められただけでなく、酸素ボンベを着用した上で演技するという事になった。
本作の公開を受けてゴジラ告別式、葬式が行われたという話も本作を語る上で有名なエピソードになっている。
生誕60周年記念および「GODZILLA(2014)」公開記念として日本映画チャンネルより開催された全ゴジラ28作の中からファンの投票によりベスト・オブ・ゴジラを決定するゴジラ総選挙において、第一次投票で見事3位(平成シリーズトップの快挙)を獲得。決選投票候補である上位4作に選ばれている。
あらすじ
ゴジラとリトルゴジラの様子を確認するために彼らが暮らすバース島へ向かった三枝未希は、バース島が煙を上げながら跡形もなく消滅しているのを目の当たりにする。それから間も無く、香港に突如としてゴジラが出現。ゴジラは身体が赤く輝く上に吐く熱線も赤く強力なものとなるという異常な状態に陥っていた。
バース島で発生した自然の核爆発がゴジラに過剰なエネルギーを与え、炉心暴走へと追いやっていたのだ。このまま放っておけばゴジラが行き着く先は果てしない暴走か、地球の表面全てを焼き尽くす規模の核爆発を起こすという地球の全生命にとっても危機的な状況が起こりうることが判明する。
そのころ、アクアラインの工事現場では謎の事故が多発、その後には水族館の魚が突如白骨化するという異常事態が起きる。原因はかつてゴジラを消滅させたオキシジェンデストロイヤーによってもたらされた無酸素環境下の海底で復活した太古の生命体が、工事で流入した現代の大気に触れ異常進化した怪物「デストロイア」だった。
一方、ゴジラはエネルギー補充のため四国の原子力発電所に迫るも自衛隊のスーパーXⅢの活躍により炉心の暴走に歯止めが掛けられ、核爆発を回避することは出来た。ところが、炉心こそ安定したものの近いうちにゴジラがメルトダウンを起こす蓋然性が高まる。そんなゴジラの暴走を止めると共にゴジラの科学的な抹殺が出来るのは、そのデストロイアだけだったのだ。
そして、バース島の核爆発による消滅に同じく居合わせていたリトルゴジラも更なる成長を遂げたゴジラジュニアとして出現。生まれ故郷へ帰ろうとするジュニアを囮に使い、ゴジラをデストロイアの元へ誘導しようと図るGフォースだったが、ゴジラジュニアとの衝突を経てデストロイアは完全体への進化を果たしてしまう。自らの身体の内と目の前に現れた2つの大敵に追い詰められる中、ゴジラ最期の戦いが始まる。
スタッフ
監督 | 大河原孝夫(本編)/川北紘一(特撮) |
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脚本 | 大森一樹 |
製作 | 田中友幸、富山省吾 |
音楽監督 | 伊福部昭 |
撮影 | 関口芳則(本編)/江口憲一、大根田俊光(特撮) |
編集 | 長田千鶴子 |
配給 | 東宝 |
公開 | 1995年12月9日 |
上映時間 | 103分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
キャスト
伊集院研作 | 辰巳琢郎 |
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山根ゆかり | 石野陽子 |
山根健吉 | 林泰文 |
三枝未希 | 小高恵美 |
小沢芽留 | 大沢さやか |
黒木翔三等特佐 | 高嶋政宏 |
山根恵美子 | 河内桃子 |
麻生孝昭大佐 | 中尾彬 |
国友満 | 篠田三郎※当初は細川俊之が演じていたが、クランクイン後に急病により途中降板したため、篠田に交代。 |
関連動画
予告編
エンディング
エンディングには第1作目と本作を含む平成シリーズの映像がスタッフロールと共に流れている。
余談
- 『ゴジラvsバルバロイ』として企画が進んでいた時期にはアンギラス(しかも、初代アンギラスの当初のデザインである甲羅の後部が二つにめくれ上がるもの)やバラゴンも登場予定だったらしく、アンギラスとバラゴンの合体形態である「バラギラス」や新種の「アンギラス・ハウンド」も企画されていた(『ゴジラVSデストロイア・パーフェクション』より)。
- なお本作が制作されたのは川北特技監督によれば、ハリウッド版『GODZILLA』(エメゴジの方)の制作が監督降板のゴタゴタで遅れたから。本当はvsスペースゴジラで終わるはずだったのだが、「つなぎ」として作ることになったのが本作。
- 『名探偵コナン』第13巻の表紙はこの映画における幼体デストロイアと自衛隊の戦闘場面のジオラマが使われている。この巻にはゴジラのパロディキャラ・ゴメラが初登場した『大怪獣ゴメラ殺人事件』が収録されており、関連性を付けるために原作者の青山剛昌が東宝から許可を取り付けての実現となった。
- 2019年公開の『GODZILLA King of the monsters』では、オキシジェンデストロイヤーや真っ赤に光るゴジラが登場し、本作のオマージュが少々使用される。
関連タグ
ゴジラVSスペースゴジラ←ゴジラVSデストロイア→ゴジラ2000ミレニアム