概要
キング・オブ・モンスターズにて登場した米軍が開発した対怪獣用の新兵器。
形状もオリジナルのオキシジェンデストロイヤーに準じた形状の容器に収められ。ミサイルの弾頭として登場した。
効果はオリジナル版と同様に効果範囲内を無酸素状態にするものだが、「水中の酸素破壊剤」ではなく気化爆弾を始めとする非核性の大量破壊兵器となっている。
作中では突如登場し雑に使われたモンスターバース版だが、マイケル・ドハティ監督のインタビューや劇中の描写をまとめると
- 核兵器と同じような存在であり、自然を否定する脅威。使うと恐ろしいことが起きる
- 水中だけでなく周囲の空気までも無酸素状態にしてしまうオリジナル以上の効果範囲
- よく見ると使用の瞬間に周囲の街で起きていた火事が一瞬にして消えている。これがもし水中で発動したのであれば、水中と大気中の区別ない、オリジナル以上の凶悪性ということになる。
- 距離減衰はあるが生物を分解してしまう効果も健在。
- 窒息死した魚が浮かび上がるシーンでは爆心地に近い魚の方が損傷が大きく、生物を分解する効果がある。
といった形になっており、芹沢博士がなんとか平和利用できないかと苦心したオリジナル版と比べるとまさに広く浅く、大量破壊を目的とした悪魔の兵器の側面が強くなっていると言える(ゴジラ及びギドラを打ち取れず、無関係の生命だけを大量に殺戮したという点でも)。
ちなみにオリジナル版はゴジラを殺しきったのはもちろんのこと水中で発動すれば地上や空中には影響を及ぼす事はなく、東京湾より深度があり薬剤の効力が拡散しやすいであろう房総半島沖で使用された世界線でも骨こそ残ったもののゴジラを殺しきっている。
劇中での扱い
モナークの目前で繰り広げられたゴジラとギドラの戦闘の最中に、米軍が長距離ミサイルに搭載して使用。両者の戦闘海域に着弾すると同時に核爆弾にも匹敵する強烈な爆発を引き起こし、半径3キロメートル圏内の生物が死滅。
ゴジラも一命こそとりとめたものの、地球生態系の危機的状況にもかかわらず海底奥深くにある巣での休眠を余儀なくされるという半再起不能の甚大なダメージを受けてしまう。
一方で本命であったギドラは宇宙怪獣…無酸素環境を当たり前としていた存在であるため殆ど効果が無く、逆にギドラを止める者がいなくなったことでその破壊活動を活発化させてしまう本末転倒な結果となった。
挙句の果てにその影響はKOMの戦いの終結後も続く。
ODが使用された海域では魚の漁獲量が激減(ポストクレジットより)、現地の漁師たちは生活が困窮し、結果として海から引き上げたあるものを高値で売り払ってしまう。つまり、次回作における大惨事の間接的な要因にまでなってしまうこととなる。
余談
監督によると「かつて核兵器によって無理やり目覚めさせられたゴジラと、それをオキシジェンデストロイヤーによって葬り去った芹沢博士」に対し、「オキシジェンデストロイヤーによって傷ついたゴジラを原爆で家族を失った芹沢博士が核兵器で癒やす」という構図において、人類とゴジラの和解を描く上で人間の原罪を背負ってゴルゴダの丘を登り、神へ許しを乞い願うキリストと重ねる演出だったとしている。
反響
原典では悲劇的メッセージ性の強い禁忌の発明として扱われていたオキシジェンデストロイヤーが、KOMで単なる大量破壊兵器としての登場したことや、その扱いについて一部のファンのあいだでは批判の声も強い。
- 登場も突然かつ一瞬のため前後の登場を示唆する部分が無く、また使用後もそれについて考えるなどのシーンが無いため「呆気なさすぎて雑すぎる」。
- 「自然の脅威であるギドラと戦い、あまつさえ海中で優位に立っている最中、同じくらい自然の脅威となる兵器を扱った人類が、ED後もゴジラからのお咎めが無いのは都合がよすぎるのでは?」
- (使用者の末路について)「映画の別視点の話や設定があるのはいいが、それはむしろ説明ではなく映像で見せるべきではないか」
という批判の一方で。
- 生態系に与える多大な影響やゴジラを一時的にでも死(心停止)に至らしめる威力を持ち、かつ宇宙生物であるキングギドラに効かないという今作の展開に説得力を持たせられる既存の対G兵器ではオキシジェンデストロイヤー以外に存在しない。
- 劇中で使用した結果やエンディング後の描写から、そのような凶悪な兵器を平然と使用してなおかつ後始末や責任を取らない米軍への風刺である。
といった反論・肯定意見もある。
なお、ゴジラからのお咎めに関しては、(ゴジラ本人の目的が異なる形とはいえ)次回作で間接的にしっかり受ける羽目にはなっている為、この一部の批判意見に関しては今となっては無意味に等しくなっているとも言える。
いずれにせよ、「初代監督や芹沢博士の覚悟を理解していない」等と頭ごなしに感情的な批判をする前に、本作の監督や芹沢博士の覚悟についての理解もしようとしなければ、それはただのダブルスタンダードにもなりかねないため注意が必要であり、それと同時にオキシジェンデストロイヤーという「初代ゴジラを完全に殺した兵器」という肩書や歴代ゴジラにおいての重み故に様々な考えや議論を呼んでいると言えよう。