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寿海

じゅかい

手塚治虫の漫画『どろろ』の登場人物の一人。本項では同作の昭和アニメ版に登場する同じポジションのキャラクター・寿光についても記載する。
目次 [非表示]

声:田村錦人(1969年版アニメ)

  小林清志(ゲーム版、ナレーションも兼任)

  大塚明夫(2019年版アニメ)

演:原田芳雄(実写映画版)


概要編集

主人公・百鬼丸を拾い育てた医師。立派な髭を生やしている。非常に手先が器用で、木や陶磁器を用いて義手義足義眼など人体を模した医療器具を作り出す技に長けており、魔物に奪われた百鬼丸の身体を補った張本人である。

川に流された赤子の百鬼丸を偶然拾い、その異形の容姿に驚きつつも必死で生きようとする彼に心打たれ、彼を育てることを決意し「百鬼丸」という名前を与えた。

百鬼丸を捨てた実父・醍醐景光に代わって彼に惜しみない愛情を注ぎ、百鬼丸からは『パパ』と慕われていたが、彼の不思議な力に惹かれて物の怪が家に集まるようになってしまったため、やむなく安住の地を探す旅へと送り出すことになった。

旅立ちの際には肩の筋肉で指先まで動かせる精巧な義手と、その内部に仕込まれた名刀を与えた。


手塚スターシステム編集

ブラック・ジャック』ではBJの恩師戸隠先生として登場。アニメ版でのCVは青野武

第58話「ちぢむ!」でアフリカの奥地の無医村で活動し、BJと共に体が縮む奇病に立ち向かう。

ブラック・ジャック自体「体がバラバラになった重度障害を持つ少年が、天才医師に助けられて地獄のような特訓の末に刃物の達人になる」という『どろろ』そっくりな設定なのでこの配役は妙とも取れる。

189話「終電車」でも海外赴任に不安を感じるブラック・クイーンこと鈴木このみに対し、BJが「医者が医療行為を続けることを好きだと思うのは、絵描きが絵をかいて幸せだとか言うのとは違う、おれはアフリカでツェツェバエが飛び交う中扇風機一個で懸命に治療を続けていた医者を知ってる」と戸隠先生の例を挙げて説得している。


…まさかそのBJの中の人が、後に本当に寿海を演じるとは思わなかっただろうが。

なお余談であるがそのBJの中の人はPS版では醍醐景光役である。


第128話「最後に残る者」ではドクター・ニッシェとして出演。

西ドイツの六つ子の未熟児たちの内、胎児のままの姿で産まれながらも最も生命力は強い子供の将来に悲観し、ドクター・キリコにその処遇―すなわち安楽死を依頼するという、「不完全な身体を持ちながらも、懸命に生きようとする子供」を巡って寿海とは正反対の結論を下す役どころである。

このエピソードは旧チャンピオンコミックスにしか収録されていないが、旧版自体が電子書籍になっているため容易に読むことができる。



第166話「リンチ」でスッポ医師も演じているが、彼はアル中でマトモに手術できないダメ医者である。(リンチでボコボコにされてフラフラなBJからも「アンタよりはシャンとしてるから手術はできる」と言われる始末)


派生作品編集

1969年版アニメ編集

寿光』という名前になっている。

大まかな役回りは変わらないものの、百鬼丸に旅をさせるに至るまでの経緯が変更されており、百鬼丸の生い立ちを知り、彼に自分のために戦うよう諭して送り出している。


2019年版アニメ編集

原作にはないオリジナルの描写として過去の物語が語られている。

医師になる前は斯波氏の家来であり、主家に歯向かう者を磔・耳削ぎ・指削ぎなどの拷問にかけて見せしめにする役目を負っていた。ある時、己が背負う業に堪えかねて海へ身を投げたところを大陸の船に拾われ、そのまま向かった大陸で義肢作りの技を身につけて祖国に戻る。

それからしばらくの間、戦乱に巻き込まれて手足を失った農民たちに無償で義肢を提供し、自身を慕う農民たちや助手の少年・カナメと共に平穏な日々を送っていた。しかし、斯波氏に父を殺された過去を持つカナメは寿海の過去の所業を知って庵を去ってしまう。

その後、カナメを失った悲しみに駆られるまま彷徨っていたところ足を滑らせて川原に落ち、そこで見つけた百鬼丸を拾い育てるようになる。百鬼丸に物の怪から身を守るため戦う術を教える中、彼が魔神に体を奪われたことを知り、真の体を取り戻すための旅へと送り出した。

百鬼丸と別れた後は、戦死者の体を補って弔う旅をあてもなく続けている。


その後、第17話でどろろとはぐれ、古戦場をさまよっていた百鬼丸と再会を果たした。本作の百鬼丸はテレパシー腹話術も使えず勿論筆談も出来なかったため、この回で初めて百鬼丸と意思疎通ができた。

百鬼丸の口から、百鬼丸の実父醍醐景光が国の為に鬼神に百鬼丸を人身御供として差し出したことを知って愕然とし、百鬼丸が殺人にまで手を染めていたことを悟ると、「もう戦わなくてもいい、自分と一緒に暮らそう」と懇願した。しかし、百鬼丸が肉体を取り返す事こそが夢である事、そしてもう1人ぼっちではない事を語ったことで、その存在こそが、百鬼丸を「人」たらしめていると安堵し、新たに義足を与え、旅立ちを見送った。


最終回では百鬼丸が全ての鬼神を滅ぼし人間となった事を喜ぶも、その手を血に染めてしまった事を悔やみ、「ワシが与えるべきものは手足でも目でもなかったのだな」と悔悟する。最後は焼け落ちた砦から逃げず、縫の方多宝丸と共に炎の中に消えた。


なお彼が主役となる第3話「寿海の巻」は彩度が極端に低く、まるで白黒のように描かれている。


実写映画版編集

舞台が日本ではなくなったため、大幅に設定がオカルトチックになっている。

映画版においては寿海は呪医師であり、百鬼丸の義骸も戦死者の死体から作り出した生体部品になっている。そのため、傷を負っても栄養補給と休養を挟めば治癒する再生能力を有しており、百鬼丸が48の魔物を倒して元の部位を奪還すると腐り落ちる。

物語開始から少し前に自らの死期を悟り、自分の医術が残っていれば、戦を起こす愚かな者たちが不死となり永遠に戦乱が続くことを危惧し、百鬼丸に庵を焼くよう命じ、息絶えた。


なお、映画版においては48の魔物は百鬼丸の剣(寿海に託したのは琵琶法師)でしか倒せない設定になっている。


関連項目編集

手塚治虫 どろろ 百鬼丸 義父 医者 福祉

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