賽の目の三郎太
さいのめのさぶろうた
妖怪(四十八の魔物の一つ)が取り憑いた馬『ミドロ号』に操られていた無頼の槍遣い。
ミドロに操られ、彼の手足となって棘を仕込んだ蹄鉄を作らされて殺戮を繰り返していたが、百鬼丸との戦いでミドロが死んだことで正気に返る。
その後は放浪を続けていたが、醍醐景光に雇われ、どんぶりばらの怪物(大沼亀の魔神)を退治した百鬼丸に嗾けられるが、決闘に割って入ったお米(村長の娘)を誤って殺してしまい、怒った百鬼丸に殴られて川に転げ落ちた。以降はそのままフェードアウトし、出番はなくなる。
原作後の展開となるPC88ゲーム版でも遭遇するがある噂を教えた後すぐにいなくなる。
(cv:中村悠一)
原作版とは設定が一部異なっており、元々は猟師をして毛皮を売って生活しながら剣術の稽古に励み、将来は剣で身を立てて年老いた母に楽をさせる事を夢見る、努力家で親孝行な青年だった。
だが病気の母を背負って医者のいる町に行く途中の山道で鬼神鵺に出くわし、母を守る為に鵺に立ち向かうが、多少の剣の心得がある程度の人間では鬼神に敵うはずもなく、あっさり返り討ちにあい胸に大きな爪痕をつけられてしまう。
そのまま恐怖のあまり母親を見捨てて逃げ去るが、逃げる際に自分の服に縋りついた母親の手を切り落としてしまい、その手を服にぶらさげたまま村に戻ったせいで村人たちから「母親を見殺しにした臆病者」として軽蔑されてしまう。
すっかりプライドがズタズタになって家に引きこもっていた三郎太だったが、村の男たちから母親の敵討ちに誘われて再び鵺の元に行く。結果は無論惨敗であり、そこで自分の事を臆病者と軽蔑していた村人たちが無様に泣き叫びながら命乞いをして鵺に殺される有様を見て、他の奴らも自分と同じじゃないかと「胸にぽっかりと空いた穴」が埋まるような気分を感じたのだった。
それ以来、過去のトラウマを思い出す度に山道を通る旅人を騙して鵺の元に送り込み、泣き叫びながら鵺に殺される姿を眺めて心を紛らわせるようになってしまった。
妖怪退治のために山に来た百鬼丸とどろろに、母親の敵討ちだから協力したいと近づき、鵺の居場所に案内して、鵺と戦闘中の百鬼丸を背後から切りつけるが失敗する。
その後、再び鵺に戦いを挑んだ百鬼丸が、鵺を恐れることなく圧倒する姿を見て、過去に強さを求めて剣の稽古に励んでいた日々と、母親を守るために鵺に立ち向かった頃の自分を思い出した。
そして鵺の顔半分を切り落として止めを刺そうとした百鬼丸を止めようとしたために両手に刀が突きささってしまい、百鬼丸に「俺はお前のようになりたかった」と言い残して鵺に食われ、そして鵺の切り落とされた顔半分の代わりに上半身が生えた状態で一体化する。
鬼神と一体化した事で魂の色が見えるようになり、最後は百鬼丸に心臓を刺し貫かれた際に、百鬼丸の魂の胸の部分が鬼神の色である赤に染まっているのを見て、「そうか、お前は、人じゃないから」と言い残して、そのまま百鬼丸に上半身ごと切り落とされて絶命した。