概要
一言でいうと、「80年代オタクカルチャーの総纏め」となった作品で90年代における「オタクらしさ」の中核とも言える作品。
「運命の双子」「前世/転生」「ゴチャゴチャした描き込み」「壮大なバックストーリー」「盛り込まれた裏設定」など、当時のオタク文化が全て詰め込まれている。
最初は角川書店の「マル勝ファミコン」に掲載されていたが、後にメディアワークスの「電撃スーパーファミコン」へと移籍。この移籍に関しては、当時のお家騒動に巻き込まれる形によるものであるが、後にKADOKAWAの「角川コミックスエース」版もリリースされている。
ゲーム版もファミコン及びスーパーファミコンでリリースされ、OVA・ラジオドラマなども展開された。
ストーリー
光と闇の宿業を背負って生まれた双子、摩陀羅(マダラ)と影王(カゲオウ)を軸に展開する転生譚である。…というか一作目のラストで摩陀羅がラスボスの弥勒を殺しきれなかったせいで話が終わらなくなった、とも言える。摩陀羅以外に殺されると弥勒は転生してしまうため、摩陀羅が倒さなければならないのだが「摩陀羅と影王は二人で一つ、どちらかしか覚醒できない」という設定が後付けされてしまい延々と終わらなくなったのである。
ちなみに一作目は「どろろ」、転生編は「水戸黄門」をイメージしたシナリオであると原作の大塚英志氏が語っている。「とりあえず「盗作」してみよう」というのはそういう意味…ではないと思われるが。
MADARA・SAGA
魍魎戦記MADARAは展開予定として8編の本編(壱、赤、弐、転生編、天使編から成り残り3編は現在も詳細不明)と100編の外伝から成り立っており、その舞台は時代も場所も異なっている。
以下は「魍魎戦記摩陀羅全集Vol.2 MADARA壱」に記載されている『摩陀羅神話相関図』(以下相関図)に載っている作品も含めた一覧である。
なお、題名が太字で無い作品は「構想中」のままであり、現状どのようなエピソードになるかはほとんどわかっていない(作者がプロットなどを公開しない限りは)。
- 始まりの大陸神話群
摩陀羅壱 | 「始まりの大陸」を舞台としミロク帝率いる金剛国との戦いを描いた物語 |
妖血淵の魔物 | 主人公マダラの幼少期のエピソード |
初代ウガヤ王朝編 | マダラの前世である初代ウガヤ王のエピソード |
女禍の洪水編 | 「壱」の数百年後に起こった大災厄「女媧の大洪水」を描いたエピソード |
- ガンダーラ編
MADARA青AO | 転生の秘術を求めて旅をするマダラの仲間カオスのエピソード |
- 失われた大陸神話群
MADARA赤 | 赤砂(ラサ)によって滅びかけてる大陸「フダラク」を舞台とし主人公ムーの冒険譚を描いた物語 |
聖ユダヤ伝 | マダラの仲間である聖神邪がフダラクに到着した時のエピソード |
勇者ミロク編 | 「弐」に登場するバサラがミロク帝になるまでのエピソード |
- ギルガメシュ・サーガ
エデンのギルガメシュ | エデンとアレクサンドリアという名の国を舞台としたエピソード |
死海のギルガメシュ | 「エデンのギルガメッシュ」の百年後を描いたエピソード |
黒の供儀王編 | ミカエルと名乗る影王の霊体と出会ったユダヤ(聖神邪)のエピソード |
バル・コケバ伝 | 影王の転生体の一部であるバル・コケバと麒麟(「壱」のヒロイン)の転生体であるメシア=ヨハネのエピソード |
- 耶倭土神話群
摩陀羅弐 | 古代日本に似た「耶倭土」を舞台とし主人公バサラの復讐劇を描いた物語 |
徐福渡来編 | 耶倭土における徐福(「壱」の登場人物でもある白沢)の過去が描かれたエピソード |
カラトシア編 | 耶倭土とは別の大陸であるカラトシアを舞台としたエピソード |
幻王朝影帝編 | 「弐」の数十年後に統一王朝「幻」に支配された耶倭土を舞台としたエピソード |
隠れきりしたん編 | 詳細不明。 |
甲賀三郎異聞 | 「弐」の重要人物甲賀三郎の過去が描かれたエピソード |
- ヨーロッパ神話群
白い闇の王 | 「少年十字軍編」の序章として描かれたエピソード |
異端カタリ派編 | 詳細不明。 |
ファウスト転生編 | 詳細不明。 |
クシー・キッチン編 | 詳細不明。クシー・キッチンとはルイス・キャロルが写真の被写体として気に入った少女「アレクサンドラ・キッチン」の事であり、相関図ではダライアス=サーガイアと関係がある模様 |
夜の少年 | 近代を舞台とし聖槍が関わるエピソード |
- 現代神話群
転生編 | 現代日本を舞台とし、神の国アガルタと戦うために集う転生戦士達の物語 |
天使篇 | アガルタの王アル・アジフと七神官に敗れ力と記憶を失った転生戦士達の物語。未完に終わってるが一部のプロットが公開されてる |
折口信夫編 | 詳細不明。 |
誕生編 | 詳細不明。 |
BROTHERS | 三つ子を主役とする青春漫画。相関図では転生編と関係がある模様 |
僕は天使の羽を踏まない | MADARAサーガ最終章として描かれた物語。しかし元凶であるアガルタには一切触れなかったり舞台が異なる(天使篇では昭和が続いてるのに対しこちらでは昭和が終わってる)など差異が多いためパラレルと見る向きが強い |
- 未来神話群
ミカエルの廃都編 | 詳細不明。相関図では巨大な壁に囲まれ封鎖された東京を舞台とした漫画「東京ミカエル」と関係がある模様 |
CITY OF THE DEATH | 詳細不明。相関図ではダライアス=サーガイアと関係がある模様 |
PROJECT-D | 詳細不明。 |
ダライアス=サーガイア | シューティングゲームダライアスのコミカライズ。詳細については後述の余談を参照 |
余談
矛盾
本作は当時のオタクカルチャーの悪癖だった「矛盾の放置」「節操のない後付け設定」などが盛り込まれている。
一応時間軸は一作目からずっと下っていくことになっているが、実は二作目で早くもそれが破綻している。二作目では転生により全員違う姿での登場だったが、その後「一作目終了後の時間軸で、転生の秘宝を入手し記憶や容姿を継承出来るようになった」となるため矛盾しているとのこと。
ダライアス=サーガイア
前述の通り一応の最終章である「僕は天使の羽を踏まない」では神の国アガルタには触れられず、かなり消化不良な形で終わっている。
そのため天使篇で触れられたアル・アジフと七神官なども登場する作品はないと見えるが、実は未来神話群に属する「ダライアス=サーガイア」に彼らが登場する。
「ダライアス=サーガイア」はダライアスを大胆に改変したコミカライズであり、アル=アジフ率いるベルサー(本作では「エーテル界」に住む水生生物型戦闘生命体という設定)によって占領された地球を奪還するため、ベルサーに滅ぼされた惑星オルガの戦艦シルバーホークと共に戦うストーリーである。
最終的にアル・アジフと七神官とは完全決着が成されており、「僕は天使の羽を踏まない」より未来を舞台とした本作もMADARAサーガ最終章と見ることが一応は可能(その場合アガルタの正体がベルサーになるが)。