概要
週刊少年ジャンプに1971年8月3日号より1974年10月14日号まで連載された、何をやらせても最終的にバトル漫画になることで有名な梶原一騎原作の野球漫画。
東京ムービー(現:トムス・エンタテインメント)の手でテレビアニメ化された。1973年10月から1974年9月にかけて、日本テレビ系列局(他)にて放送された。製作ホスト局は読売テレビ。
ユニークを超えて奇抜極まる魔球が多数登場し、同じく魔球が多く登場する同原作者の巨人の星と比較されることもあった。
漫画とアニメでは結末が大きく異なっており、特に漫画版の最終回はその衝撃的な結末のため、当時の読者に多大なインパクトを残した。
あらすじ
高知出身の漁師の息子、番場蛮(ばんば ばん)はクジラに父親を食い殺された過去から、「強くてデカくて威張っているヤツ」に対し異様な反抗心を抱いていた。
猛烈にノーコンながらも超人的な身体能力と、そこから繰り出される驚異の豪速球を持つ蛮はやがてV9時代の読売ジャイアンツにスカウトされる。
初めは嫌がっていた蛮だったが、クジラのように強大な(大洋ホエールズは?)巨人のどてっぱらをぶち破るということを夢見て入団し、様々な魔球を駆使して、高校での先輩である八幡太郎平と共にバッテリーを組みながら、様々なライバル達と対決するのだった。
余談
- アニメの後期OP映像では、長嶋茂雄が主人公を殴り倒し、一回転させてコンクリートの壁をぶち抜くという描写があった。超人である。
- 本作において作画を担当する井上コオは、後に『聖闘士星矢』などで名を馳せる車田正美の師であり、当時彼は本作のアシスタントを務めていたという逸話がある。
- 実は「宇宙戦艦ヤマト」は、元々はこのアニメの後継番組として放送されていた。
原作とアニメの違い
原作とアニメで微妙に違う部分がある。
- 原作にある「ハラキリシュート」や「ハイジャンプ大回転魔球および大回転ハイジャンプ魔球」はアニメには登場しない。
- 逆に「エビ反りハイジャンプ魔球」、「ミラクルボール」はアニメオリジナル。
- 巨人に対する一種の反逆心は原作では「内面的には入団時にはほぼ無くなっている(漫画内で金田正一氏がそう分析。)」が、アニメ版ではかなりその気持ちを持ち続け後半オープニングで有名な「長嶋茂雄パンチ」を食らうことになる。
そして最も違うのがラスト。
アニメ版ラスト
V9を達成した1973年シーズン終了後、大リーグ覇者であるアスレテックスとワールドシリーズが行われた。苦戦の末に世界最強の打者であるジャックスを「ミラクル・ボール」で三振に打ち取って勝利、MVPに選ばれた蛮が祝福を受ける。
原作版ラスト
1974年の対中日3連戦で分身魔球を駆使し3連投。優勝への望みをつないだ勝利の瞬間、蛮がマウンドで仁王立ちのまま心臓発作で死亡する。
原作版の終わり方は梶原一騎氏の作品の「主人公が悲劇的結末を迎える」中でもかなりインパクトは強い。
また、原作版最終回のラストシーンは、元々はアニメ版巨人の星の最終回の当初のシナリオに似ており、共通する点も見られる。
おおもとの内容としては
作品名 | 巨人の星(テレビアニメ版の没設定) | 侍ジャイアンツ(原作版) |
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最終回の展開 | 1970年シーズン最後の巨人対中日戦(試合球場は後楽園球場)にて、主人公の飛雄馬が完全試合を達成する | 1974年後半戦の対中日3連戦(試合球場は後楽園球場)の3戦目に於いて、主人公の蛮がリリーフし、3連投3連勝する |
主人公の最期(?) | 最後の一球(おそらく投げたのは大リーグボール3号)を投げたあとマウンド上で死亡する | 分身魔球の多投が原因とみられる心臓発作によりマウンドで仁王立ちのまま死亡 |
主人公の葬式 | 一徹が飛雄馬の墓前で土をかけて泣くという設定があった | 蛮の葬儀が執り行われ、家族やチームメイト、ライバル達が涙を流しており、蛮の高校での先輩だった八幡太郎平がその後巨人を退団して、母校の土佐嵐高校野球部の指導にあたっていることが語られるところで完結 |
といった具合だろうか。
備考
- アニメ版最終回で蛮が投げたミラクルボールは、今までの全ての魔球を混ぜた前代未聞の魔球であったが、アニメ版で登場した魔球のうち、エビ投げハイジャンプ魔球が省かれている。
- 原作の連載が終了したのは、厳密に言えばテレビアニメ版の放送が終了した直後のあたりとなっている。
関連動画
関連作品
巨人の星 アニメ版は共に同じ監督
勇者ライディーン アニメの監督が同じ人(ライディーンは後半の故・長浜忠夫の方)繋がりで、原作の分身魔球からゴッドボイスのヒントを得たのではと想定。
銀牙 高橋よしひろ原作の動物バイオレンス劇画で、初期構想では巨人の星の没構想や侍ジャイアンツ原作版の結末と同様に主人公死亡エンドになる予定だった共通点繋がり