概要
週刊少年ジャンプにて2020年24号から、2020年39号まで連載されていた。作者によると、元々はジャンプ+でWeb上での連載を想定して構想された作品であったそうだが、編集によって本誌連載に推される事になり、ジャンプ誌上での連載が決まった。ざっとした内容をまとめると、『突如としてできたタイムマシンを使って未来を変える』と言う、歴史改変を主題に添えたSF作品。
作者が推奨する略称として「タイパラ」、「TPGW」などあるが、一部の読者からは別の略称も付けられている。
ストーリー
ジャンプ連載を夢見る漫画家である主人公「佐々木哲平」は、25歳の誕生日を目前にして立て続けの全ボツをくらい、失意の内にあった。夢を諦めようかと思ったその時、家に落ちた雷によってタイムマシンと化した電子レンジから10年後の未来の週刊少年ジャンプを入手。そこに掲載されていた新連載・アイノイツキ作ホワイトナイトに大いに感銘を受ける。しかしその翌朝、未来ジャンプが消え失せていた事からそれを徹夜の疲労が見せた夢あるいは幻覚だと思い込み、自身の深層意識の産物であるその傑作を現実の物とすべく、意図せず盗作してしまう。
ホワイトナイトはジャンプ編集部に大絶賛され、会議を通すことなく本誌での読み切り掲載が決定。しかしその後日、哲平は電子レンジを通じて送られ続ける未来ジャンプの存在に、ホワイトナイトが自身の深層意識の産物などではなく盗作である事実を突きつけられる。このため一度は連載を断るものの、盗作である事を知らない担当の宗岡の熱意に押され、ホワイトナイト作者宛のファンレターに感無量となり、自分の名前でホワイトナイトを発表してしまったことで本当の作者アイノイツキがこの作品を出せなくなったことを含めて「自分には罪の十字架を背負ってこの作品を世に出す使命がある」とホワイトナイト連載を決意する。
一方その頃、「ホワイトナイト」の本来の作者であるイツキは、未だ制作中の自分の作品である「ホワイトナイト」がジャンプに掲載されたのを不信に思い、真相を問いただすために上京する。
哲平と出会ったイツキは、自分の部屋に忍び込んでネームを盗み見て、盗作したのではないか?と哲平を問い詰める。それに対して彼は、落雷によって電子レンジと冷蔵庫が融合してタイムマシンと化し、そこから出てきた10年後のジャンプを夢だと思って描いてしまったと告白する。しかし当然ながら証拠も無しに彼女がそれを信じる事は無く、「貴方は私の同類。だから酷似した内容の作品を先に生み出した」と一人合点してホワイトナイトを主人公に託す。そして後日、イツキは高校中退してまで、連載作家となった哲平のアシスタントとなり、本来の時間軸より数年早く漫画家への道を歩み始める。
そうして連載が続き、最初に10年後のジャンプが送られてからおよそ1年後のある日、唐突に未来のジャンプが届かなくなる事態が発生する。哲平は突然のことに酷く動揺したが、翌週の月曜日、何事も無かったかのように1号分飛ばしてジャンプが送られてきた。だが、そこに書かれていたものは、イツキの訃報と言う思いもよらぬものであった。
※作中のジャンプの連載陣や過去のジャンプの掲載漫画は全て架空の物が使用されている。
登場人物
本作の主人公。漫画家を目指して漫画を描くものの、「沢山の人に楽しめる作品を作りたい」だけで読者に伝えたい事や作りたい作品がある訳ではなく、空っぽな凡人。夢でみたと思い込んだ未来の傑作漫画ホワイトナイトに感銘を受け、それを描き起こしてジャンプに持ち込み読切掲載を獲得してしまう。後に盗作である事に気づくも「自分の所為で存在しなくなってしまった未来の名作を現代で届ける」と使命感を抱いてそのまま連載に踏み切るが…?
パラレルワールドの10年後の未来のジャンプにて連載開始した稀代の傑作漫画「ホワイトナイト」の作者。だがその連載は作者死亡という形で道半ばにして終わってしまう。
藍野伊月/アイノイツキ
哲平と同じ時間軸のアイノイツキ。本作のヒロイン。引きこもっていた自分の未発表作品「ホワイトナイト」がより完成度の高い状態で発表され、事実を確認すべく上京して問い詰めた佐々木の要領を得ない返答から、同じ理想(全人類が楽しめる漫画)を目指した同士故の偶然と勘違い。その後、触発されてパラレルワールドより十年以上早く漫画家の道に進むことを決意。哲平のアシスタントを経て新連載「ANIMA」でデビューし、30週以上連続一位などの快挙を遂げるが…?
作中作『未来ロボットフューチャー君』の主人公…のフィギュア(プレミア品)を通じて干渉する作中の黒幕。佐々木にパラレルワールドでの未来のジャンプを送り続け、ホワイトナイトの連載を続けさせる。アイノイツキの死を防ぎたいらしい。
宗岡編集
佐々木哲平の現担当編集。
アシスタントたち
宗岡に紹介された、赤石元気・山根次郎・五十嵐肇の3人。
佐々木哲平の元担当編集。4年にわたり変わりばえしない没個性な作品しか持ってこない佐々木に対し、一応時間を取って読み込んだ上で「超奇抜な設定にしてエログロ要素詰め込んでトリッキーな要素で一部の客を釣った方がまだマシ」とアドバイスする程度には面倒見が良かったが…。
評価
全体的な評価としては、悪いと言わざるを得ない。
特に単行本を読んだ読者からも指摘されているが、基本的に話の内容は一話か二話で収められるものであり、そもそも十巻以上の長期連載を望めるものではない。
この他にも、多くの欠点が指揮されており、特に連載開始直後から二巻発売直後にかけての間、読者の多くから酷評された。詳細については当該記事に記載されている。
しかし、単行本を読んだ読者からは、「ネット上の意見ほどひどくはない」という意見もある。
これは単純に週刊で一話ずつ読んだ読者と、単行本で一気読みした読者との感想の違いが如実に表れたものであると思われる。(また、単行本では主人公の発言から「パクり」といった発言は全て修正され印象が変わっている事も留意。)
元々、連載中も各種の欠点は指摘されながらも、話の引きを作る能力と作画担当の画力に関しては一定の評価がされており、話を一気読みしてみた場合、上記で指摘されたように元々、話の内容そのものが長期連載に向いた題材ではないこともあって、それなりに話の内容がまとまって見える。
また、作品に好意的な考察勢からは「(漫画思想的な意味での)宗教漫画」「ジャンプ編集部のインタビューが副読本」と評されることもある。
余談
本作の最終回が載った週刊少年ジャンプ39号は2020年8月31日に発売されたが、奇しくも、作中でホワイトナイト(佐々木哲平版)の連載が開始されたのも2020年8月31日であり、読者の間で話題となった。
関連タグ
ネット流行語100:2020年の63位に選ばれ、授賞式では司会進行の小西克幸により作品紹介が行われた。
世界で一番早い春:ツイッターの感想勢により光のタイパラと呼ばれた。