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バン・ババーン

概要

声(TVアニメ版):富山敬

土佐出身の主人公。高校中退している。

目上の人に対しても丁寧語を使わない性格で、ギャグシーンがもっとも多い。

頭に血が上りやすく感情に任せて行動をしてしまう部分もあった。

漁師をしていた父親をクジラに殺されてしまった。

学業と漁師の二足の草鞋を履きつつ、クジラと出会う日を待ち続けていた。

そんなある日、クジラ漁の達人で「クジラに呑み込まれても腹を突き破って生還した」漁師の話を知り、「巨大な存在を内側から打ち破る」ことに強いあこがれを覚える。

折しも時は読売ジャイアンツの全盛期であり、蛮はジャイアンツをクジラに見立て、ジャイアンツを内側から撃破すること野望を抱き、親友の八幡太郎平の紹介でジャイアンツの門を叩く。

川上哲司監督の「今のジャイアンツには侍のような豪傑が欲しい」という希望に当てはまったことから、彼から指名されてジャイアンツへと入団した。

背番号4番・打席9番・ポジション投手。

性格

短気熱血漢で、基本的には敬語を使うことのない深謀遠慮のない直情径行。

ガキ大将がそのまま大きくなったような青年で、特に序盤は勝手な行動でチームワークを乱すことが度々あった。

しかし敬意を抱いたものに対しては素直に従う純粋さもあり、自身に落ち度があると感じれば素直に反省もする。

また根がガキ大将だけに、親しい者への仁義や人情には厚い。

クジラに親を殺された経験から、「巨大なもの」「威勢に任せて横柄な言動をおこなう者」を嫌っており、そうした相手には敵意を隠さず突っかかっていく。

選手としての実力

入団当初は致命的なノーコンであり、相手バッターの急所を狙ったかのような危険球しか投げられず、「殺人ノーコン」とまで罵られる。

だが身体能力全体はずば抜けて高く、走塁も打撃を並み以上にこなす器用万能型の選手。

のちにノーコンは、キャッチャーとして女房役となった八幡の献身と、死に物狂いの特訓で克服している。

そして番場蛮といえば魔球

『侍ジャイアンツ』を当作たらしめる最大の必殺技であり、アニメ版では原作以上の数の魔球が編み出された。

内角への豪速球

漫画版のみ登場。

元はノーコンを矯正する中で偶然に生まれたものだが、序盤はこれを武器に三振の山を築いていく。

当初は「投げる前に舌なめずりをする」癖があり、ライバルである眉月光にこれを見抜かれて打たれてしまう。しかし癖を自覚からは舌なめずりを矯正し、眉月さえも抑え込むことに成功した。

そしてこの豪速球一本では今後に不安があるとして、魔球の開発が始まっていく。もっとも八幡は普通に変化球を覚えてもらうつもりだったのだが……。その八幡もノーコン矯正の特訓が塞翁が馬となり、後にバッターへと覚醒することになる。

ハイジャンプ魔球

蛮の記念すべき魔球1号。

ピッチャーマウンドから助走なしに凄まじいジャンプをおこない、超急角度での速球で打者をきりきり舞いにする。漫画版では跳躍は1.5m程となっている(が、その程度の高さとは思えないレベル)

練習中に二軍にいた有力株の選手に、建物の上からゆるくボールを投げてやった際に空振ったのを見て、「上から急角度で来るボールは打ちづらい」と気づき、開発に着手した。

八幡にバイクで突っ込んでもらい、それをその場でジャンプで躱すという特訓で習得。

エビ反りハイジャンプ魔球

大ジャンプ魔球の発展版。

アニメ版のみ登場。

大ジャンプ魔球の際に、投げる前に空中でエビ反りに体を曲げ、そのバネでより速い球を投げる。

大回転魔球

「うわ~っ 手が八本になった!!」 (王貞治)

ハイジャンプ魔球の敗北から新たに生み出した魔球。

マウンド上で自身を独楽のように高速回転させてから投げる。腕が残像何本にも見えるため、バッターはいつボールが飛んでくるのかタイミングが掴めなくなる。また遠心力で球威を上げる効果が得られる。

初披露時に、試し打ちの相手となった王はこれを受け、「同じチームでよかった」とその恐ろしさを語っている。

ハイジャンプ大回転魔球 → 大回転ハイジャンプ魔球

先の魔球二つを合体させた大技。

ハイジャンプ魔球の要領で飛び上がり、そこから大回転魔球同様に体を回転させて投げる。

後に投球時間の短縮を兼ねてジャンプ中に回転するフォームに変更したため、名称を変更した。

余りの球威ゆえに捕手の手が一度でその試合では使い物にならなくなるため、ミットの内側にタオルを仕込むなどして衝撃を緩和するという対策が取られた。

ハラキリシュート

ものすごく曲がるシュート。

元は足指の故障を庇って投げた球が、偶然に急に曲がるシュートになったことが切っ掛け。

左打ちバッターには、球がボディーブローを狙ってくるかのような恐怖に晒される。

分身魔球

蛮の最終兵器といえる必殺の魔球。

ボールを握りつぶして激しく変形させ、そのまま投げることでボールが変形から戻る作用と、握力から解放された反作用で、強烈にブレながら飛んでくる球を生み出し、相手バッターを撹乱しながら打ち取る。

初期は親指と人差し指で挟んで握っていたが、雨の日だと滑ってしまうため、手を全体的に使う方法へ切り替えた。

漫画版だと特にこれといった原理は説明されていないが、アニメ版では空手家のケンさんが「自然借力法」という一種の気功を利用して筋力を瞬間的に強化する方法を伝授しており、これに基づいてボールを変形させている。

しかしただでさえ固い野球の硬球を片手で握りつぶすため、蛮は一投ごとに体力の1/10を消耗する。漫画版ではこの球の投げ過ぎが祟り、試合終了と共にマウンド上で心臓発作を起こして急死した。

ミラクルボール

アニメ版最終回でのみ登場。

ワールドシリーズの試合で蛮が土壇場でやけくそで編み出した、これまでの魔球すべての原理を叩き込んだ文字通りの奇跡の一投。

まず「分身魔球」の準備に入り、そのまま「ハイジャンプ大回転魔球」で投球する。投げた球は流星群のように上空から分身して何十もの分身を生みながら降り注ぐ。

ラスボスである世界最強の打者ロジー・ジャックスも、これには攻略を断念し、八幡も捕球が無理と判断して体全部を使って球を受け止めている。

なお命名はジャックスで、蛮のこの付け焼き刃の魔球を見て面食らった際、こう呼んだ。

TIPS

なお、野暮も野暮だや、蛮の魔球はほとんどボーク判定を食らうまったく試合に使えない魔球である。

野球のルール上、「マウンドで投球フォームに入ったら、最後までプレートから足を放さず投げ終える」のがルールであり、飛んだり回ったりと全身を忙しく動かすダイナミックな蛮の投球は、真面目に野球のルールで考察するとどれもボーク判定になる。

さらに分身魔球に至っても、「試合中に故意にボールを破損した場合は反則」となるので、万一にも分身魔球で握りつぶしたボールが変形したままだった場合、蛮はそのまま反則判定でマウンドを降ろされる危険がある。

そして『空想科学読本』シリーズの柳田理科雄氏が、『空想科学漫画読本』で「ハイジャンプ魔球」と「大回転魔球」を検証したことがあるのだが、結論として蛮の超人的な身体能力をそのまま生かして普通に投げた方が絶対に強いという身も蓋もない結論に到達してしまった。

ハイジャンプ魔球は「腰の捻り」という投球の肝となるエネルギーが得られず完全に手投げになってしまい、大回転魔球はそもそも蛮の視界も投げるタイミングも相手バッター以上の苦行と化す、と検証され、その上でこんな無茶が出来るなら普通に投げた方が絶対に強いと導き出された。

実際、蛮の魔球の原点である「内角への豪速球」や、故障を切っ掛けに編み出した「ハラキリ・シュート」のように、奇抜でなくとも十分に通用する投球が可能なことが窺える。

まさに昭和時代の漫画だからこそ出来た、夢に溢れた魔球といえよう。

(ただし、ハイジャンプ魔球に関しては放送当時は合法だった。というのも、それからずっと後の2010年代にMLBで活躍したジョーダン・ウォルデンやカーター・キャップスが駆使していた、リリース直前に軸足でステップする“ジャンプ投法”ことステップ投法を2017年にルールが改正されるまで投げ続けていた。)

その結末

漫画版は梶原一騎作品のお約束で、三試合三者連続三振の完全試合を達成したと同時に、分身魔球の投げ過ぎが祟ってマウンド上で心臓発作を起こし、試合中に急死する。アニメ版ではワールドシリーズに出場し、最強の敵であるジャックスとの試合を制して終了した。

なおどちらの結末でも、ヒロインの美波理香とは結ばれておらず、漫画版では理香が銀行の頭取と政略結婚させられ、アニメ版ではジャックスとの対決に尻込みする蛮を叱咤激励した後、独りで海外へ旅立った。

後継者(原作のみ)

彼にはユキという年の離れた妹がいるのだが、原作の世界線では、彼女が成人後に儲けた息子(蛮から見れば、甥に当たる)が成長し、生前の蛮と同じ年頃になった1990年代初頭の頃に巨人に入団し、蛮の後を継いだ。甥御は生前の蛮が使用した全魔球を八幡太郎平のコーチングで会得済みというハイスペックな選手であるとの事。

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