解説
「週刊少年ジャンプ」に読み切り作品として発表された後、1988年49号から1992年40号までの約4年間の間連載された。単行本全21巻、ワイド版全16巻、集英社文庫全14巻。
アニメ化もしている他、ファミコンで2作、ゲームボーイで2作、スーパーファミコンで1作と、ゲーム作品は計5作制作されている。
江川達也「"全身漫画"家」(光文社)新書によると、本作は『ドラえもん』のアンチテーゼとして制作された意図もあるらしい。これは連載中に世間から「ドラえもんのパクリ」、「藤子作品を魔法アイテムに置き換えただけ」などと外部から揶揄された苦い経験があるからで、それなら魔法に頼りっぱなしだった本丸の自立心を高めて差別化を図ってやろうと、キャラ設定を作品内で変えていき、同作品のアンチテーゼ化を公言するようになっており、当時は主人公というと素直で熱い性格が多かったが、それと比べて本丸(厳密には準主人公)はぶっきらぼうな態度が多く、無気力で口も悪いと印象もあまり良くなかった(ただしツンデレなだけで根は悪い奴ではない)。
しかし、彼が更生していく熱血漢になる様や下手に喧嘩に強くしてしまったことで、自分から作品スケールの幅を縮めてしまうことになる。また、後になって「あれはやはり模倣でした」と発言していたこともある。
ただ、ドラえもんに相当するキャラクターのタルるートは本丸を助けたいというような使命感や責任感はそこまで持っておらず(逆に本丸に世話を焼かれる方が多い)、けっこう自由気ままな性格。困った人を見逃せないという優しい心を持っているが、後先のことを考えず魔法を使うことも少なくないため、後でトラブルになったりすることもしばしば。つまり、どちらかというと騒ぎの火種はのび太にあるドラえもんに対し、自分で騒ぎを解決しようとして却って騒ぎを大きくしてしまうという、火種はタルるート自身にあることが多いのが本作の特徴。またのび太の場合は母親が厳しいが、本丸は父親が厳しい(しかも息子が捻くれ者になる程のレベル)という相違点もある。
要は、落ちこぼれ少年、彼のお助け役、憧れのマドンナ、ガキ大将といったキャラクターで構成された昭和日常ギャグ漫画のオマージュ的作品である。『ドラえもん』だけでなく『ど根性ガエル』、『ハクション大魔王』、『忍者ハットリくん』を思わせる要素も存分に見られる。
骨川スネ夫に相当するのは両口屋是清。邪馬じゃば夫の腰巾着的存在で口八丁。ただ、ずば抜けた金持ちという家柄は原子力が該当する。
ストーリー
江戸城本丸は南野小学校に通う5年生の男の子。成績もスポーツもあまりパッとしないダメ小学生だが、同級生の美少女の河合伊代菜に密かに思いを寄せている。ある日、席替えでクラス一の乱暴者の邪馬じゃば夫の隣になってしまって困っていると、絵本作家の父から借りていた魔法の本が偶然反応し、小ちゃくて変な格好をした少年タルるートを召喚してしまった。彼は、自分の事を魔法使いだと名乗り、本丸の願い事を一つだけ聞いてくれるという。
「僕の友達になって下さい」
こうして江戸城本丸とタルるートは友達となり、2人は珍騒動を巻き起こしていく。
地名
南野町
江戸城本丸達が生まれ育った町。
典型的な日本の住宅街として表現されている。
町内には、主人公たちが通う南野小学校をはじめ、商店街や公園などがあり、子供たちが遊ぶ姿がよく描かれている。
蛮野町
麺太郎達が生まれ育った町。
江戸城本丸が中学生になった後に進学する地元の公立中学校がある。
具体的な描写は少ないが、一般的な日本の中学校がある町という設定であることが想像される。
南野町と同様に、日常生活の舞台として、本丸や彼の友人たちの新たな冒険や成長が描かれる場所となっている。
登場人物
じゃば夫の腰巾着的存在。名前の元ネタは実在のお菓子屋。骨川スネ夫的存在。ただし出番はさほど多くない。
男の娘的キャラ。
本丸の父で絵本作家。スパルタ親父。
本丸の母。ある意味一番のドラえもんのアンチテーゼ的存在。
江本丸恵(CV:高山みなみ)
本丸と同じ中の人だが、その正体は・・・
千鶴の父。駆け落ち同然のそれであったため将軍之介の事は嫌っていた。
千鶴の母。既に故人。
タコ焼き職人。タルと本丸の好物がタコ焼きなので出番は多い。
タルるーとが胸に飾っている水晶玉。非常に物知りだがインチキは許さない。
アニメ版未登場人物
本丸がタルと離れていた時期にタルを呼び出した。
麺太郎の姉。
アニメ版
1990年9月2日から1992年5月10日にかけて、日曜8時台後半の時間帯において、朝日放送・テレビ朝日系列局(ただし系列局によっては放送日時差し替えまたは放映権を他系列局に譲度)で放映されたほか、朝日放送とほぼ同じ時期にテレビ岩手、四国放送、南海放送、高知放送(いずれも日本テレビ系列局)、テレビ山梨、山陰放送(この2局はTBS系列局)、秋田テレビ、テレビ宮崎および山形テレビ(これらはフジテレビ系列局。ただし山形テレビは放送当時)でも放送されている。全87話。
アニメーション制作は東映動画。
アニメはそこそこヒットし、特に玩具類の売上が良かったらしく、作者も漫画の印税より多かったと発言している。
のちに長らくニチアサキッズタイムに関わった関弘美が同時間枠の作品にサブプロデューサーとして入った最初の作品でもある。後に『GS美神』でメイン昇格し『明日のナージャ』まで担当した。ただし、あくまで関がニチアサに関わった最初の作品であるだけで単なるサブプロデューサーとしてなら、それ以前の『レディレディ!!』から実績を持っていた。
朝日放送のニチアサアニメ枠としては最多話数の作品でもある。朝日放送アニメ全体では同時期に木曜19時枠で放送されていた『ハーイあっこです』の162話が最多である。単体アニメに限った話であるが。
主題歌
オープニング
「オレ タルるート」
作詞 - 佐藤大 / 作曲 - タケカワユキヒデ / 編曲 - 山本健司 / 歌 - TARAKO
エンディング
「キミと世界征服!?」(第1話~53話)
作詞 - 安藤芳彦 / 作曲 - 山梨鐐平 / 編曲 - 奥慶一 / 歌 - 下成佐登子
「タルル・カタブラルル」(第54話~87話)
作詞・作曲・歌 - TARAKO / 編曲 - 山本健司
パチスロ版
原作をリメイクしたアニメが楽しめるが、声優が異なる。
タルるート:大谷育江
江戸城本丸:荻原秀樹
河合伊代菜:茅野愛衣
ミモラ:矢作紗友里
ライバー:鈴木達央
伊知川累:喜多村英梨
原子力:子安武人
座剣邪寧蔵:谷山紀章
座剣邪寧代:日笠陽子
関連動画
テレビアニメ
パチスロ
テレビゲーム
関連イラスト
テレ朝/ABC・日朝8:30枠
【ビックリマンシリーズ】
新ビックリマン(1989年4月~1990年8月)
↓
まじかる☆タルるートくん(1990年9月~1992年5月)
↓
【ビックリマンシリーズ】
スーパービックリマン(1992年5月~1993年4月)
関連タグ
関連作品
まじかる☆タルるートくん_MAGIC_ADVENTURE:タルるート初のゲームオリジナルストーリーが楽しめるスーパーファミコン用ゲームソフト。
まじかる☆タルるートくん(メガドライブ):ゲームオリジナルストーリーが楽しめるメガドライブ用ゲームソフト。
ドラえもん:前述の通り、本作のライバル的存在な有名漫画ではあるが、過去には放送するテレビ局繋がりの関係で、特番で夢の共演を果たしたことがある。
ソニック・ザ・ヘッジホッグ:有名作品に対抗して作られた作品繋がりであり、ゲーム版が収録されるメガドライブミニ2にもシリーズ作品が収録されている。
コミックボンボン:『有名な漫画に対するライバル的存在』、『現在は終了しており、知名度で負けているマイナーな漫画』という共通点がある。
ファミコンジャンプ:2にて主演キャラの一角を担う。