過去へ! 未来へ! 超音速アクションは時空をも超えた!
概要
メガドライブの周辺機器「メガCD」専用ソフトで、本作でエミー・ローズとメタルソニックが初登場。
『ソニック1』のスタッフが中心となって開発しており、『ソニック2』よりも後に発売されたソフトだが、操作性はソニック1に近い。
アクションには足が8の字を描きながらスピンダッシュよりも速く走れる「ピールアウト」が追加された。
『ソニックオリジンズ』の時系列順にプレイ出来るストーリーモードでは、ソニック1とソニック2との間にプレイする。なお、アッパーバージョンである『ソニックオリジンズプラス』では、DLCにてエミーおよびナックルズがプレイアブル化した。
本作の大きな要素として、過去(Past)と未来(Future)を行き来できるシステムが挙げられる。ステージ中にある「Past」「Future」のマーカーを通過したあと、ソニックがダッシュし続けることでタイムワープが可能となる。過去・未来ステージは通常ステージと構成はほぼ同じながら、敵や障害物、アイテムの配置が異なり、通常ルートとは異なる難易度で楽しめるようになっている。
通常プレイでは過去・未来ステージを通る必要はないが、真のエンディングを見るためにはこの要素を駆使しなければならない。
1990年代のCD-ROMを使ったゲーム作品としては評価が高く、全世界での販売本数は150万本とメガCDタイトルの中では最高の売上を達成し、クラシックソニックシリーズの中ではゲーム性やストーリー性の完成度や隠し要素(ゲームプレイに関わるものからスタッフのおふざけに至るまで)のボリュームも非常に多く、『ソニックアドベンチャー2』と競い合う程の「ソニックシリーズ最高傑作の1つ」と評価するファンは多い。
日本(欧州)版・北米版との違い
本作のBGMは「日本(欧州)版」と「北米版」に分かれているのが特徴。
当時はジュリアナ現象が流行していた事もあって、前者はダンスミュージック色の強みがあるBGMが濃い。OP曲も異なっており、前者は「You Can Do Anything」という洋楽で、歌は宇徳敬子が担当し(またメガCD版と移植版で歌い方が異なる)、後者は「Sonic Boom」が採用され、こちらは『大乱闘スマッシュブラザーズ』でも聴くことが出来る。なお後年に海外名が同名のメディアミックス展開されたソニックシリーズとの関連はない。
また北米版ではコミック版の設定と合わせて、舞台名が「リトルプラネット」ではなく「惑星モビウス」、エミー・ローズ(ロージー・ザ・ラスカル)がプリンセス・サリー(サリー姫)に変更されている。
アニメーション映像
OP映像(フルサイズアニメーション版)
OP・EDアニメーションは東映動画(後の東映アニメーション、アニメ『ドラゴンボールZ』の制作スタッフとしても有名)手がけたことも特筆され、今見ても遜色ない完成度の高さから、ゲームと併せて「シリーズ最高のOP・ED映像」と称するファンも少なくないとか。
しかし当時の技術(メガCD)ではフルサイズアニメーションを流すことは困難であったため、コマ割りやフレームレートを落としてドットで打ち直し、サイズダウンしたバージョンになっている。
後述の移植版ではそういった技術的問題が解決し、フルサイズアニメーション版で収録された。
移植版
1996年にWindows95・98版が発売された(BGMは北米版に統一)ほか、2005年に発売されたPS2・GC用ソフト『ソニックジェムズコレクション』にも収録され、2011年にはiOS・Android版・PSN・XboxLIVEでもダウンロード配信が開始された。
2011年に配信されたものではオープニング映像の高画質化(『ソニックジャム』と同一)、日本(欧州)版のBGMと北米版のBGMやダッシュとスピンダッシュの切り替えが可能な他、使用キャラクターにテイルスが追加されている。一方で日本(欧州)版オープニングのBGMからボーカル音声が削除されているので注意。
ソニックオリジンズに収録されていたものは、2011年配信版のものに加えて(日本版オープニングのボーカル音声は追加されている)、「アニバーサリーモード」のみソニックマニアでソニックが使用出来た「ドロップダッシュ」を使用出来る。
ストーリー
小さく美しい星「リトルプラネット」。その星は1年の内1ヶ月の間巨大な湖「ネバーレイク」の上空にやってくる。リトルプラネットには時間を自由に支配し、時を越えた出来事を起こす不思議な石「タイムストーン」が眠っている。
タイムストーンの力に目をつけたDr.エッグマンはリトルプラネットをネバーレイク上空に固定し、巨大要塞の建設を開始し、タイムストーンの力で世界征服を達成するべく行動を起こした。
一方何も知らないソニックはリトルプラネットに会うためにネバーレイクへやって来た。岩から伸びる鎖に固定され、無惨な姿となったリトルプラネットと岩の斜面に掘られたエッグマンの顔を見たソニックはリトルプラネットを自由にするため、鎖を伝って走り出した。
同じころ、ネバーレイクの近くでカード占いをしていたエミーはその占いの結果に導かれ、丁度飛来してきたリトルプラネットに向かうのだった。
登場キャラクター
- ソニック・ザ・ヘッジホッグ(クラシックソニック)
- Dr.エッグマン(クラシックエッグマン)
- メタルソニック(クラシックメタルソニック)
- エミー・ローズ(ロージー・ザ・ラスカル)
- マイルス"テイルス"パウアー(クラシックテイルス)(※2011年配信版、ソニックオリジンズのみ)
- ナックルズ・ザ・エキドゥナ(※ソニックオリジンズプラスのみ)
ステージ構成
本作は他の作品で言う所のゾーンがラウンドで、ACTの方がZONEになっており、他の作品と用語の扱いが異なる。
また、概要通りタイムワープで計四種類の時代があり、それぞれデフォルトである「現代」、エッグマンの侵略を受けていない「過去」、侵略を受けて無残な姿となった「荒廃した未来」、過去の時代にあるエッグマンのロボットを現代から送り込む時空転送装置を破壊(またはタイムストーンを全て入手)する事で変わる自然と人工物が共存した「平和な未来」。
なお、ボス戦のACT3は未来の時代固定だが、1と2の過去の時代で前述の時空転送装置を破壊していると「平和な未来」に、どちらか片方または全く破壊していなかった場合は「荒廃した未来」となる。タイムストーンを全て入手した場合、それ以降の全てのステージとACTの未来は「平和な未来」となる。
ちなみに、各ステージを英語表記にすると、それぞれの単語の頭文字が同じアルファベットとなっている。(この小ネタは『カオティクス』『ソニック3Dフリッキーアイランド』でも採用されている)
- パームツリーパニック(PALMTREE PANIC)
亜熱帯のステージ。ソニック1のグリーンヒルゾーンに雰囲気が似ている。荒廃した未来では破損した機械樹木や汚染された水辺など、全体的に茶色がかった色になってしまいBGMも荒々しいロック調と全くの別物。一方で平和な未来では、逆に現代のカラーをベースに清浄な水源が確保され人工物があるのを感じさせない、より平和かつ陽気なBGMになっている。
ちなみに、ZONE1(現代)のゴール付近でエミー・ローズがここで初登場している。
- コリジョンカオス(COLLISION CHAOS)
湖上とその周辺地帯のステージ。ピンボール、フリッパーなどがいくつか設置されているなど、ソニック1のスプリングヤードゾーンを思わせる要素がある。また、このステージのZONE1の序盤で、エミーがメタルソニックにさらわれてしまう。
なお、このステージは地球のネバーレイクから見てリトルプラネットの下部に位置しており、ステージ背景の上空には反転したネバーレイクの水面が確認出来る。
余談であるが、『ソニックオリジンズ』でエミーが登場する本作の新規オープニングアニメーションムービーでは、このステージの日本版BGMのアレンジが使用されている。
- タイダルテンペスト(TIDAL TEMPEST)
半ば水没した遺跡ステージ。主に水中を進んでいき、水中では床から噴き出す泡で息継ぎが必要になる。水流を発生させるプロペラ、近づくと吸い込まれ一定距離を移動する巨大パイプなどのギミックもある。タイルなどのグラフィックが、ラビリンスゾーンに酷似しているが、泡の数が増えているため難易度は優しくなっている。
現代の時代では活火山に囲まれた遺跡といった雰囲気であるが、過去の時代では地下洞窟または地下水脈の内部のような様相となっている。
荒廃、平和な未来では貯水施設のようになっており、前者の荒廃した未来ではステージ足場の所々に瓦礫が散在し水中は赤茶けた汚水のようになっている。一方で後者の平和な未来は明るいカラーリングも相まって水中都市にも見える近未来的なものになっており、ステージ背景や一部の足場には人工栽培されている水草のような植物がある。
- クォーツクワドラント(QUARTZ QUADRANT)
クリスタル採掘所跡。螺旋状のパイプやベルトコンベアが設置されている。
過去・現代・平和な未来の最下部にはクリスタルの鉱脈が存在するが、荒廃した未来ではクリスタルの鉱脈はおろか採掘所の面影がまるで無くなった、後述のメタリックマッドネスの荒廃した未来のような荒れ模様となる。
- ワッキーワークベンチ(WACKY WORKBENCH)
工場内部。 光る床に触れると高くジャンプしてしまうほか、放電装置が多数設置されている。過去の時代ではステージ背景にて、岩山に囲まれ工場建設用の鉄骨や重機などがあり工場自体も未完成な事から、エッグマンの侵略を受けた直後の時空である模様。
このステージの平和な未来では工場と言うよりはテーマパークのアトラクションのような内装で、平和な未来の中では唯一自然環境が存在しない。
- スターダストスピードウェイ(STARDUST SPEEDWAY)
星空をバックに夜の街を進んでいく。ソニック1のスターライトゾーンを思わせる要素がある。ゾーン3ではメタルソニックとの戦いになり、先にゴールすれば勝利となる。
過去の時代では、ステージ背景の街の造形物が古代遺跡のようになっている他に『ソニックマニア』のステージとしても登場。「荒廃した未来」は『ソニックジェネレーションズ・白の時空』にてメタルソニック戦にて登場している。
平和な未来は一見すると自然環境が無いように見えるが、遠景にて広大な湖が広がっている。
- メタリックマッドネス(METALLIC MADNESS)
エッグマンの要塞。仕掛けの中には、ソニック1のスクラップブレインゾーンとほぼ同じ物があり、更にZONE毎にステージ背景が全く異なる点も一緒。過去の時代ではワッキーワークベンチと同様にステージ背景で建設中の建物が点在しているが、こちらは既に要塞としての体裁は出来上がっているので、ある程度エッグマンの侵略が進行した時空である模様。しかし、平和な未来ではエッグマンの要塞を忘れさせる程に穏やかなBGMが流れ美しい背景が広がっている。
荒廃した未来は、全体的に機械や構成物が破損し錆び掛かったようなカラーリングとエッグマンの笑い声混じりのBGMと文字通りの荒れ放題であり、なおかつZONE3でこの未来を迎えた場合はバッドエンド確定である。
余談
- 当初のiOS・Android移植版は公式が手がけたものではなく、熱心なファンが勝手に移植したものであったが、その高品質な移植からセガゲームス公式から認められ、公式アプリとして認可されたという経緯がある。なお、その移植に携わったファンは後年、『ソニックマニア』の制作スタッフとして参加している。
- アニメ『ソニックOVA』では作画や8の字で走るなど、本作のオマージュと思わしきシーンが多々見られ、『ソニックマニア』のOP映像やWEBアニメ『ソニックマニア アドベンチャーズ』、『ソニックオリジンズ』のストーリモード内のアニメでも同様のセルフオマージュが見られる。また、『ソニックロストワールド』や、『ソニックプライム』、IDW版などソニックが8の字で走る作品もいくつか存在する。
- 本作の出来事は「リトルプラネット事件」としてシリーズ内の世間に認知されているようで、『ソニックアドベンチャー』にてステーションスクエア内のNPCの一人である子供が、『3』の通称「エンジェルアイランド事件」と共に話題に挙げている。
- オープニングアニメーションで流れるテーマ曲『You Can Do Anything』は人気が高く、本作から程なくして発売されたゲームギア版『ソニック2』のグリーンヒルゾーンのステージ曲、『ソニック&テイルス』ではそれのリミックス版がメカグリーンヒルゾーンのステージ曲に、『ソニックドリフト』では無敵アイテム使用時のBGMなどに使われている。
- 『ソニック4エピソード2』ではエッグマンはリトルプラネットが接近してきたタイミングで計画をスタートさせている。その理由はCDで敗れたスターダストスピードウェイに置き去りにされたメタルソニックを回収するためだった事が『ソニック4エピソードメタル』にて明かされた。また、メタルソニックと対決する「ホワイトパーク」のACT4では背景にリトルプラネットが映っている。
関連動画
当時のCM
メガCDによるプレイ動画
関連タグ
ソニックライダーズ - OPがアニメ映像のソニックシリーズ(こちらはプロダクションIGが担当)