概要
『ソニックアドベンチャー』シリーズの3作目という位置づけで開発されたソニックシリーズの一つで、日本での主な略称は「SWA」「ソニワド」「ワルアド」など。
え? 同じようにアドベンチャーシリーズ3作目を銘打った作品があるって?
しかしミリタリー要素や複雑なシリアス設定(GUNや連邦政府・銃火器など)の描写は排除されているため、アドベンチャーシリーズとはほとんどパラレルワールドである。
世界観がころころ変わるのはソニックシリーズでよくあること。
2008年12月18日にWii(SD)版、2009年2月19日にPS3、Xbox360(HD)版が発売され、Wii版と同じ内容のPS2版は日本では未発売。理由は不明だが、HDの日本版は一度発売延期を経ている。
舞台や街、世界観は同じであるものの、SD版とHD版はコースマップやゲームシステムに差異があり、ほぼ違うゲームと言っていい(SD版は『ソニックラッシュ』など、完成度の高いソニックシリーズを作る事で定評のあるディンプスが担当)。
HD版は当時としては珍しかったGI(グローバル・イルミネーション)処理をゲームグラフィックに落とし込み、まるで海外3DCGアニメーションを見ているかのような美しい光源表現が特徴。
しかしまだゲーム技術としては当時未成熟だったためか、処理の反映には複数PCをフル稼働させても、一回の処理に半日ほどの時間がかかってしまったという。
またプリレンダムービーではセガVE研(後のマーザ・アニメーションプラネット)が参加し、こちらも海外アニメーション映画のような美麗映像が話題になった。
またそれだけではなく、ニンテンドーDSで発売された『ソニックラッシュ』に登場したブースト能力を本作で採用し、通常のソニック(昼ソニック)を操作する場面では、これまでになかった圧倒的なスピード感と爽快感を生み出している。
所々横スクロールアクションが導入されているのは、「ただ走るだけでは障害物よけのレースゲームになってしまうから」だと後に開発スタッフインタビューで語られ、この2.5Dシステムはブーストソニックの基幹になっている。
一方で時間のかかるような探索や謎解き要素が多く、海外で有名なあるゲーム作品に似ているウェアホッグ(夜ソニック)の内容には賛否両論。
これは「ゲームとして考えた場合、スピード感のみを追求するだけではダメ」という判断で生まれたものである事は留意したい。
前作は暗くハードなシリアス展開が繰り広げられたが、今回はコミカルでありつつ熱い王道展開に仕上がり、(当時は)評判が散々だった時の反省を十二分に活かしている。
一部では上記のような不評は聞かれるものの、ファンからは本作は名作の一つとして語り継がれている。
ストーリー
遥か成層圏上で宇宙艦隊を繰り広げるエッグマンの前にソニックが降り立ち、スーパーソニックになって彼を追い詰めるものの罠にかかってしまう。
その際、エッグマンは太古の書物「ガイア文書」の記述から星(地球)の核に眠る超巨大エネルギー生命体「ダークガイア」を目覚めさせる方法を調べ上げており、目的を果たすべく星にレーザーを撃ち込んでバラバラにしてしまう。
ソニックはダークガイアのエネルギーを間近で浴びてオオカミのような姿になってしまい、エッグマンに星へ突き落とされるも、謎の力によって助けられる。
目を覚ましたソニックが辺りを見回すと小さな生き物も倒れていた。
ソニックはこの生き物が、自分が原因で記憶喪失になったものと考える。この不思議な生き物の記憶を取り戻して星も元に戻すため、一緒に分断された世界の国々を巡る冒険の旅へ出る。
登場キャラクター
史上最速のハリネズミ。
本編では冒頭からスーパーソニックに変身し、宇宙空間でエッグマンを追い詰めるが罠にはまってしまい、ダークガイアのエネルギーを注入されたことで夜にはオオカミのような姿に変身する体質になってしまう。
これまでのゲーム作品では終始ポジティブなキャラクターとして描かれることが多かったが、今作では一部のシーンに限り弱気になったり、後述の短編映画では仕返しで馬鹿にされ返されて怒り狂う姿を見せるなど、人間臭い部分がある。
CV:白石涼子
ソニックがエッグマンの罠によってウェアホッグと化して地上に落とされた後、彼の近くに倒れていた不思議な生き物。
記憶喪失に陥っているが、天真爛漫で食いしん坊。ソニックは、店で売られていたスペシャルチョコチップサンデーから名前を付けた。
日本版と海外版では声の雰囲気がかなり異なるので、衝撃を受けた人も少なくないとか。
CV:広橋涼
発明が得意な子ギツネ。
ナイトメアという怪物に襲われ、怯えて助けを求めていた所をソニックに救われる。
今作では久しぶりに登場した初代トルネード号(ただしかなり改造されている)に乗って登場する。
スパゴニア大学のピックル教授とは知り合い。
CV:川田妙子
ソニックが大好きな女の子。
しかしウェアホッグがソニックだと気付けず(一応彼の雰囲気を感じ取っている)、ソニックは並々ならぬショックを受ける。
後にソニックのサポートのため、ピックル教授の元へ立ち寄るようになる。
CV:チョー
スパゴニア大学の教授。テイルスの知り合いで、ダークガイアについて研究している。
しかし彼の研究がエッグマンの野望の邪魔になる為、ガイア文書と共にマズーリにあるエッグマンの基地に監禁されていたが、それに危機感を感じさせないほどのマイペースな性格。
キュウリのサンドイッチが好物で、作り方にはかなり細かくうるさい。
CV:大塚周夫
ガイア文書の記述に従って星を7つに割り、強大な力を持つダークガイアを復活させるも、その目的はエッグマンランドのエネルギー源にするというスケールが大きいようでそうでもない悪事を企む自称悪の天才科学者。
前作のシリアスによる反動からか、今作では非常にコミカルな性格で後の作品でもほとんどこれがベースである。
球体型の側近ロボットと一緒に行動しているものの、そのロボットは後のオーボットに似ており、彼以上に皮肉屋でよく小バカにされる。
悪事を働く一方で人質のピックル教授に(味などは不評ではあるが)サンドイッチを用意したり、村の住民をすぐに襲わず降伏をするように要求するなど彼なりの気遣いを見せている。
太古のはるか昔に惑星のコアに発生した超エネルギー生命体。
エッグマンの手によって不完全ながらも目覚めてしまい、体はバラバラに分散して、その一部は人々の心に取り憑いたり、ナイトメアとして徘徊するようになる。
ダークガイアのエネルギーは人々の心の悪い部分に強い影響を与える性質を持ち、夜に力が強まるので、これによって夜の人々がおかしな行動を取る原因を作ってしまっている。
ソニックがウェアホッグになるのもこれによるものだが、ソニックは心に裏表が存在せず間近でエネルギーを浴びた為、肉体に影響が出るようになった。
音楽
Endless Possibility
メインボーカルテーマ曲。
アメリカ合衆国テキサス州の出身者で結成されたロック・パンクバンド『ボーリング・フォー・スープ(Boring for Soup)』のJaret Reddickをボーカルに採用し、歌詞は彼と大谷智哉の共同制作によるもの。
The World Adventure
本作のメインテーマにあたるフルオーケストラ楽曲。
上述のEndless Possibilityは、メインテーマ曲を冠してはいるがアレンジ自体は少なく、ゲーム内ではこちらをメインテーマと据えている感が強い。
短編映画『ソニック&チップ 恐怖の館』
このゲームをモチーフとした短編映画作品で、映画館、キッズステーション、インターネット等で公開された。
現在はジョイポリスの3Dムービーシアターや、公式サイトから視聴が可能。
ゲーム本編のプリレンダムービーを担当したセガVE研(マーザ・アニメーションプラネット)が制作担当を行っており、ピクサー作品を思わせる映像表現と、『トムとジェリー』で知られるワーナー・ブラザース作品のような、ボイスが掛け声のみのサイレント映画なのが特徴。
ボイスは幽霊たちは共通であるものの、ソニックとチップの声は日本版と海外版それぞれで付けられているため、特にチップに関しては上述したように、印象が随分異なっている。
詳細は該当項目を参照。