概要
混沌を呼ぶ宝石と言われ、すべて集めると奇跡を起こしたり、絶対的な力を手にしたりする事ができると言われている。
基本的には「赤、黄、白、緑、水色、青、紫」の全部で7つ(初期作品では水色を除く6つ、ソニックシリーズの作品の一つ『ソニック・ザ・ファイターズ』では何故か一つ増えて8つ(青、橙、赤、赤紫、桃色、紫、緑、黄色)である)あり、7つの手のひらサイズの宝石と、それを統括する巨大な宝石「マスターエメラルド」が存在する。
なおアニメ『ソニックX』ではエミーが「7つ集めると世界のすべてが手に入るという伝説がある」と発言しており、スーパーソニックの名称や外見も相まって7つの水晶玉を彷彿とさせる言い回しとなっている。
1つでもかなりのエネルギーと価値を持ち、この石を巡って騒動が起きることがほとんどだったが、最近ではただのパワーアップアイテムのような扱いが目立つようになった。
「エメラルド」と冠してはいるが緑一色ではなく、7つ全ての色が異なっている(公式イラストやグッズなどでは、緑のカオスエメラルドの登場頻度が多い)。
それぞれに属性や固有効果があるのか否かは一度も語られておらず不明。
形状は所謂ブリリアントカットをしているが、作品によっては異なることもある(基本的に作品を経るごとにデザインカットが細かくなっていく傾向が強い)。
数が増えるごとに共鳴し、相乗効果で強力なエネルギーを生み出すことが可能。
カオスエメラルドの力を利用した地球を破壊できる兵器であるエクリプスキャノンも、不完全な状態で月の半分を破壊することが可能であった。
劇中における利用手段
スーパー化
全てのカオスエメラルドのエネルギーを引き出した事で黄金に輝く姿に変身し、身体能力が飛躍的に向上する。
ただし、体力の消耗が激しいので長時間の変身はできない。
過去にはテイルスやナックルズもスーパーテイルス、スーパーナックルズ名義で変身したことがあるがこの2人の場合は変身というよりもただ光っているだけで無敵状態と似たようなもの(能力自体はスーパーソニックとの違いは殆ど無い)。
つまり金色に変色するソニックのスーパー化とは姿の異なるパワーアップ形態といえる(『ソニック3&ナックルズ』のテイルスの場合は周りを飛ぶフリッキー達が金色に変色している。テイルス自体は光っているだけで元々似たような色だが特に変色無し)。
『ソニックヒーローズ』でもその設定を反映し、オーラを纏ったパワーアップ状態に変化した。
なお変身にも性質によって差異がある。
たとえば怒りや悲しみ、憎しみの感情で変身すると怪物化したり、ダーク化してしまう様子。
『ソニックオリジンズプラス』では、なんとプレイアブル化したエミーもスーパー化が可能となった。(ちなみに見た目はテイルスとナックルズ同様の変化)
また、スーパーエメラルドで変身した場合は外見に変化はないものの、放物線を描くようにピコピコハンマーを投擲して敵を攻撃出来るようになる。
技・能力
特筆がない限りは、シャドウが主な使用者である。
カオスコントロール
カオスエメラルドの力で時空を歪め、時間の流れを自在にコントロールする。
例えば、時空を歪めることによって周囲の時の流れが遅くなり、まるで超高速移動のような動作が可能となる。さらに周囲の時間経過を完全に停止、または重力や物質の耐久力を無視しての行動をしたり、自身や物体の瞬間移動も行える。
元々はブラックドゥームが使える固有能力で、彼の細胞から生み出されたシャドウや、シャドウの能力をコピーしたネオメタルソニックも使っている。
しかしブラックドゥームの血筋ではないソニックやシルバーも使った事があり、こちらは何故使えるのかは不明。
一応アニメ『ソニックX』では、これらは個々の能力ではなくカオスエメラルド自体が持つ力の一つに過ぎないと説明され、エネルギーを最大限に溜めて資質のある者が力を発したり、特殊な装置を利用したりすれば発動可能とされた(そのため『ソニックX』ではシャドウのカオスコントロールに対してはエメラルド一つで自由自在に発動できる点が驚かれていた)。
単体でもかなりの力を発動するが、複数のカオスエメラルドを用いるなど、より力を最大限に引き出せば時空移動や異世界へ行くことも出来る。
ソニックの住む世界だけではなく、人間達の暮らす現実世界の地球(『ソニックX』)や突然発生した並行世界(『ソニックプライム』)などへの移動も可能。
『シャドゲ』ではシャドウが悪役の勢力を倒すとヒーローゲージが蓄積し、発動すると高速移動が可能なヒーロー技として登場した。
『ソニックと暗黒の騎士』ではシャドウのそっくりさんがカオスコントロールに似た技「カオスパニッシュメント」を使用した他、『ソニックトゥーン』のシャドウはカオスエメラルドが無くても使用可能(厳密には本編のシャドウもエメラルドなしでカオスコントロールは使用可能ではあるが)。
余談ではあるが「カオスコントロール」は日本語の発音のため(ネイティブの発音では「Chaos Control “ケイオスコントゥロール”」)、海外ファンが日本版のボイスを聞くと「Cows Control “カウズコントゥロール: 牛を操る”」と聞こえるらしい。
カオススピア(カオスランス)
カオスエメラルドの力を光の矢に変えて対象を貫く。
作品によっては地面にめがけて振り下ろすものから、投擲武器として相手にめがけて水平方向に投げたり、地面に突き刺して進路妨害するなど、様々な使い方がなされている。
カオスブラスト
カオスエメラルドのエネルギーを体内に蓄積して一気に放出することによって爆風を起こし、敵味方関係なく周囲のものを破壊する。
『シャドゲ』では味方勢力を倒すことでダークゲージを蓄積して発動するダーク技として登場した。
『シャドゲ』のOPではシャドウが発動状態のまま、体に当たった銃弾を跳ね返して無効化している描写がある。
カオスリジェネレーション
アニメ『ソニックX』で登場したカオスコントロールの派生技で、物質の再生を行う。
現時点でこれが出来るのはソニックとシャドウ。
ただしこの技は日本語版限定で、英語版での該当シーンではそのままカオスコントロールである。
動力源
カオスエメラルドは1つだけでも飛行機を燃料不要で動かせるほどのエネルギーを有する。
初期の頃であるメガドライブでの『ソニック1』や『2』の取扱説明書等にはレーザー兵器の動力にも使えるという設定の記載があった他に、『アドベンチャー』以降はしばしば乗り物や実際に兵器の動力源にされる事がある。
また、『ワールドアドベンチャー』のガイア神殿のように、過去の遺物を動かすキーとして扱われることも。
代表的なのは、テイルスが所有する飛行機「トルネード」を改良した「トルネード2」にアニメオリジナルの「Xトルネード」や、スペースコロニーアークに取り付けられた大型光学兵器「エクリプスキャノン」など。
しかしエメラルドのエネルギーは無限というわけではなく、カオスがパーフェクトカオスになった際には一時的にエネルギーを失い、シャドウが戦闘で前述の技などを使用すると本調子では無くなり、力を最大限に引き出せなくなる。
更にエネルギーが完全に回復し切るまでは力が不安定になる様で、その際に無理矢理使用すると原動力とした機械が暴走したりすることも。
エッグマンがダークガイアを復活させた際にはエメラルドの力が完全に失い色は黒ずんでしまい、復活させるには世界各地に存在するガイア神殿に行く必要があった。
また、アニメ『ソニックX』では6つのカオスエメラルドを組み込んだエッグマンの開発したEシリーズの一つ「E-99」は、1つ足りないながらも機体がスーパー化したように輝き、カオスコントロールにも似た高速移動を駆使しソニックを一方的に叩きのめす戦闘力を有していたが、
次第にエッグマンの制御すら受け付けなくなりソニックを半殺し以上に痛めつけるなど、半ば暴走に近い圧倒的なパワーを発揮して敵味方問わず絶望させた。
もっとも、そんなE-99もスーパーソニックには軽々と攻撃を受け止められてしまい、あっという間に敗北するのだが。
関連・類似するキャラクターやアイテム
カオスエメラルドを吸収して成長する、チャオの突然変異体。
全てのカオスエメラルドを怒りと悲しみの感情で引き出してエネルギーを吸収すると、怪獣映画さながらの巨大生命体、パーフェクトカオスとなる。
エンジェルアイランドの祭壇に祀られた巨大なエメラルド。
カオスエメラルドが暴走した際、このエメラルドで抑えるリミッターの役目を持つ。
このカオスエメラルドを制御する力を引き出せるのはナックルズ族だけで、現在ではそれができるのはナックルズのみとされる。
リミッターとしての機能を使うときには「行うもの 其は七つの混沌 混沌は力 力は心によりて力たり 抑えるもの 其は混沌を統べるもの」という呪文を唱える必要がある。
エンジェルアイランドが浮遊する原動力でもあるので、これが無くなると島は地上に落ちてしまう。
ちなみに粉々に割れても欠片を集めれば復活するという性質も持っており、一度ナックルズはこの性質を利用して、エッグマンにマスターエメラルドが盗まれるのを阻止したことがある。
なお、カオスエメラルドに比べるとあまり積極的に利用されない(ソニックアドベンチャー2でエッグマンがエメラルドの反応を頼りに来てみたらマスターエメラルドであった際には若干落胆しつつ何かの足しになるとしていただいていこうとしていた)ものの上述したようにこれ自体も強力なエネルギーを秘めている様子。
『ソニック&ナックルズ』のソニックパートでは巨大エッグマンロボに搭載されたレーザー兵器の動力源にされた他、ナックルズパートではメカソニックがマスターエメラルドのエネルギーを吸収しスーパー化を果たしている。
『ソニックX』においては、テイルスの作り上げた宇宙戦艦ブルータイフーン号の動力源として選ばれた(本来はカオスエメラルドを動力源と想定していたが、諸々の一件でカオスエメラルドがなかったため)。
更にメタレックスとの最終決戦では、マスターエメラルドの力を活用した決死の攻撃によって敵に凄まじいダメージを与えている。
実写映画版でも登場し、地球のとある遺跡に隠されていたことが判明する。
想像を実現化するほどの力を持っており、ドクター・ロボトニックはこれを悪用して巨大なメカを一瞬で作り上げている。
その一方で内部にはカオスエメラルドが収められており、これがソニックの逆転の鍵となった。
現在は「マスターエメラルド」で名称が固定されているが、初出の『ソニック3』や『カオティクス』では「ピラー」という名がつけられていた。
スーパーエメラルド
「スーパーカオスエメラルド」とも呼ばれる、7つのカオスエメラルドが変化した状態。
これを使うとソニックは全身が虹色に輝くハイパーソニックに、ナックルズは残像を伴うハイパーナックルズにそれぞれ変身が可能になる。
『ソニック3&ナックルズ』『ソニックマニア』ではテイルスもスーパー化が可能だが、基本的にスーパー化はソニックだけのものとなっている。
『ソニックラッシュ』シリーズに登場した、異世界のカオスエメラルド。
カオスエメラルドと同じく強大な力を秘め、時空を歪ませる能力を持ち、普段はブレイズ達によって厳重に保管されている。
カオスエメラルドはブリリアントカットの形状をしているが、こちらはエメラルドカットの形状をしている。
タイムストーン
『ソニックCD』でストーリー進行やエンディングに関わってくるアイテム。
地球のネバーレイクという湖に周期的に訪れる小惑星リトルプラネットの各所に眠っており、この石を使うと使用者の思うがままに時空間を書き換えることが出来る。たとえば砂漠をジャングルにするなどといった感じで、歴史を意図的に変異させる事も可能となる。
エッグマンはこれに目をつけてリトルプラネットをネバーレイク上空に巨大な鎖で拘束し、惑星自体を巨大要塞に改造。タイムストーンを使って世界征服を目論もうとしていた。
バッドフューチャー(未入手)とグッドフューチャー(入手済みまたは過去の時代にあるエッグマンメカ転送装置を全て破壊)の風景が全く異なるのはこのため。
バッドエンディングのラストでは、エッグマンが奪ったタイムストーンの力で時間を巻き戻し、地球を離れたはずのリトルプラネットを巨大要塞の状態で再び地球に固着させた。
世界リング
『ソニックと秘密のリング』における7つのキーアイテム。
手のひらよりも一回り大きいリング(ドーナツ)型の形状をしており、絵本の人物は触ることが出来ない。
世界リングにはそれぞれに雨を降らせたり、嵐を無効化にするなどの能力が備わっているが、元々は物語を作る7つの心が具現化したもの。
全ての世界リングを集め、さらに集めた者を生贄に捧げる事で強大な力を手にし、現実世界への進出が出来るようになるという。
物語に直接関係はないが、続編にもコレクションアイテムとして登場している。
ゲーム版『ソニックトゥーン 太古の秘宝』における、カオスエメラルドの位置に相当する存在。
それぞれ形が研磨・成型されていない不定形な結晶の塊であるが、強大なエネルギーを秘めているため、大量のロボット軍団を起動させ、世界を破壊する「センチネル計画」に必要な代物だった。
『アイランドアドベンチャー』の方にも登場しているが、見た目は別物でありゲーム本編への関わりもあまりない。
『ソニックマニア』『ソニックフォース』で登場した、莫大なエネルギーを供給する事で本物と相違ない仮想現実(幻)を見せる事ができる謎の鉱石。
作品や媒体によって入手経緯や能力、形状が異なっている。
詳細は「ファントムルビー」を参照。
アメコミ版に登場した惑星モビウス(アメコミ版におけるソニック達が住む星)の平行世界「アンチモビウス」に存在するカオスエメラルド。
訳すと「無秩序たる緑柱石」になる(カオスエメラルドも「混沌たる翠玉〈緑柱石の一種〉」なので意味はほとんど同じ)。
形状はカオスエメラルドと同じだが、こちらでは7つ全てが緑色で、手のひらに納まるほど少し小ぶりな大きさ。
アンチモビウスの悪のソニックは、これを使ってスーパー化している。
フェイクエメラルド
『ソニックアドベンチャー2』で登場したカオスエメラルドの偽物。
エッグマンの計画を阻止するためにテイルスが本物を参考にして用意したもの。
パワーと純度は本物に劣るものの、波長と特性は本物と同じであり、さらにカオスエメラルドのエネルギーを吸収して爆発させる機能もある。
エッグマンの策略により偽物であることがバレてしまい、その後ソニックがピンチの際に使用して危機を脱しているが、それ以降はどうなったのか不明のままだった(一応条件を満たすと爆発するためエクリプスキャノンに使用した際に紛失説もあった)。
『シャドウジェネレーションズ』ではスペースコロニー・アークの動力室に安置されていたようで、シャドウが発見して回収している。「フェイクエメラルド」という名はこの偽物を指してシャドウが発した名前。本物のエメラルドを所持しているシャドウでも「見分けるのは難しい」とのこと。
『ソニックジェネレーションズ』でソニックがシャドウと対決し勝利した際にカオスエメラルドを奪っているが、実はソニックが持って行ったのはフェイクの方だったことがムービーで判明した。エンディング直前のムービーでシャドウが本物のエメラルドをルージュに預け、『ソニジェネ』本編終盤でのタイムイーターとの最終決戦の直前にルージュがフェイクと本物のエメラルドをすり替えたと思われる。
出自(『ソニックフロンティア』のネタバレ注意!)
これまで紹介してきた様に数々のソニックの作品でキーアイテムとして登場してきたカオスエメラルドだが、出自などは長らく不明であった。
しかし、『ソニックフロンティア』でソニックが4番目に訪れる島「レイア島」に出現した6本のタワーを攻略していくと、ビジョン(電脳空間が見せる幻覚)を見る形でその出自が明かされることになる。
なんとカオスエメラルドは他の惑星から来た古代人によって持ち込まれたものだったのだ。
かつて古代人は元々住んでいた惑星でカオスエメラルドを発見。ソニックたちと同様に原動力として利用し、高度な文明を築いていた。
しかし『ある存在』による攻撃を受けてしまい、惑星を脱出する際に使用していた船の原動力としてカオスエメラルドを使っていたのだが、別の惑星(地球)にあった謎の宝石に引き寄せられる形で地球のとある諸島に降り立つ事になる。
その後、古代人たちはその島でカオスエメラルドを原動力とした文明を築き上げていった。
しかしそこに再び『ある存在』の脅威が訪れる。
『ある存在』に対抗すべく、古代人たちはカオスエメラルドの力で様々な兵器を作り始めた。ソニックが各島で戦った「巨神」もその中の1つである(カオスエメラルドの1つが巨神の頭部にあるのはそのため)。
他にもエクリプスキャノン以上の力を持つキャノンを何台も作り上げたらしい。
しかし、それらをもってしても『ある存在』を打ち倒すことはできず、島も環境が変わるほどの莫大な被害を受けた。
なんとか生き残った古代人により、カオスエメラルドは別の島に持ち出されることになる。
(エンジェルアイランドの遺跡の中にスターフォール諸島にもあったポータルがあったことから持ち込まれたのはエンジェルアイランドの可能性がある)
余談
- 『ソニックバトル』のあるシーンには、シャドウとエメル達がカオスエメラルドを7つ所持しているにもかかわらず、ガンマがカオスエメラルドの欠片を持っているシーンがある。
- 『ソニックフロンティア』の舞台となるスターフォール諸島のシステムはカオスエメラルドのエネルギーで動いているのだが、スーパーソニックが別の島に訪れた際何故かカオスエメラルドがないはずの島の迎撃砲がソニックを攻撃している。
- スターフォール諸島全体のエメラルドデバイス(エメラルドを安置して置く場所)は7つ以上ある。
- 古代人が惑星を脱出する際、船の原動力にはカオスエメラルドが使われていたのだが、その船の数は7隻以上ある。
これらのことからカオスエメラルドは本当に全部で7つだけなのかが怪しくなってきている。