概要
出生前の胎児の段階で脳に畸形が生じる、もしくは出生前〜分娩中〜出生直後までの間に何らかの要因で脳に損傷を負うことにより、四肢などが麻痺・筋肉が痙縮(こわばりのこと)してしまい、運動障害が引き起こされる症候群である。
おおむね2歳までの成長・発達の状態から診断が行われる。なお、2歳以降に負った脳の損傷で筋肉がうまく動かせなくなった場合は脳性麻痺とは扱われない。
分類としては単一の病気ではなく、脳の損傷による後遺症となる。
症状は個人差が大きく、生活に大きな支障が出ない程度に筋肉や関節のこわばりがあるという人から、重度の痙縮で手足がねじれてしまい特殊な装具をつけなければならない人、車椅子で24時間介助を受けながらでないと生活できないという人まで様々である。
麻痺の原因となっている場所によっては脳の運動野以外にも損傷が及び、知的障害、行動障害、視覚障害、難聴、けいれん性疾患などを併発することもしばしばある。また、重度の場合嚥下機能や呼吸器の障害を発症するケースが多く、人工呼吸器等を利用することになる。
麻痺がそれほど重度でなく、知的障害など他の障害がないか軽度であれば、適切な治療とリハビリで健常者同様に生活することが可能である。