「おかしい、あんなハズでは………俺は一体どうなってしまったんだ!?」
概要
第33話「ウブな災魔の戦士」に登場。
邪霊姫ディーナスが所有するカードから召喚された水のサイマ獣。
白と黒のカラーリングが特徴の筋骨隆々とした姿を持ち、両腕と両脚、腰に金の鎧を身に付け、背中からマントを羽織っている。また、頭部と両肩に見られるシャチの意匠も見逃せない。
サイマ獣の中でも一二を争う強さを誇る猛者であり、1度暴れ出すと敵味方関係なく攻撃する凶暴な性格の持ち主である。
特殊能力こそ持たないが、その強靭な肉体に裏打ちされた膂力の高さから、正面からの殴り合いで勝つのは困難と思われる。武器はマゼンタ色の両刃が付いた長刀で、戦闘では強烈な破壊エネルギーを飛ばして来るが、意外にも笛としてメロディーを奏でる機能も付いている。
順当に行けばゴーゴーファイブすら全滅させかねない最強の尖兵となるはずだったのだが、サラマンデスの妨害工作によってなんと「女性が弱点」というウブな性格となってしまい、ここからショウやマツリとの交流が描かれる。
活躍
カードから召喚される寸前、サラマンデスによって女性が苦手になる様にプログラムされて誕生してしまう。そのウブさたるや、団子屋のお婆ちゃんから手を握られて取り乱してしまう程の重症であった。
それでも最初は存分に実力を発揮し、街中で暴れている最中に駆け付けたピンク以外のゴーゴーファイブを圧倒していたが、ピンクが駆け付けた途端に自身の弱点が発動して一気に弱体化し、ハイパーファイブで怯み逃走。
逃走後は笛を吹きながら街を歩いていた所をショウとマツリに発見された為、2人と戦おうとするも、女子学生の集団が通った為に怖気づいて再度逃走する。
こうして女性が苦手であるという弱点をショウに見抜かれた事で、すっかり自信を喪失したタナトスは「煮るなり焼くなり好きにしろ」とまで言い出して覚悟を決める。
だが、彼の姿に昔の自分を見たショウの説得により「弱点の克服と引き替えに地球から出て行く」と約束し、弱点を克服するべく様々な作戦を立てて行動する。
………しかし、その全てが悉く失敗した為に自害しようとまで追い詰められるが、ショウとマツリの説得によって持ち直し、2人から前述の団子屋のお婆ちゃんにおまけとしてもらった鈴を受け取り、それを身に付ける。
そこへ突如現れたディーナスに「心が芽生えてしまった」と告白するが、「サイマ獣は所詮、戦う為の獣」と言う彼女の手で暴走させられ、ゴーゴーファイブを追い込む。グリーンの「もう1度心ある戦士に戻ってくれ!」という言葉にも耳を貸さず、彼に止めを刺そうとするタナトス。
しかし、落下した鈴の音によりショウの「サイマ獣にだって心はあるはず」という言葉を思い出し、正気を取り戻してディーナスに反撃するも、空しく返り討ちに遭い、今わの際に「獣として復活したら自分を倒して欲しい」とグリーンに言い遺して倒れる。
直後にピエールの放った再生カードによって巨大な死霊として復活し、ビクトリーロボと交戦。戦いの最中、ビクトリーロボは呼び出されたライナーボーイと共にマックスビクトリーロボへと合体。最期はマックスノバを喰らい正気を取り戻し、「ありがとう………ゴーゴーファイブ」と感謝の言葉を伝えながら爆散するのだった。
タナトスの死後、ディーナスは彼がウブになった原因がサラマンデスの妨害工作によるものだとようやく気づき、それと同時に両者の間の溝もまた一段と深まってしまった。
余談
モチーフはシャチと、ギリシャ神話に登場する死の神であるタナトスであり、名前もそれに倣っている。
シャチをモチーフにした戦隊怪人は『超新星フラッシュマン』のザ・ゴステロ以来、実に13年ぶりの登場となった。
シャチの学名はローマ神話の死神オルクスからとられた「オルキヌス・オルカ(冥界からの魔物)」であることから、そちらの意味も含まれていると思われる。
今エピソードはスーパー戦隊シリーズでも恒例の、「怪人と戦隊メンバーの交流回」となった。
声を演じた大塚氏は昨年の『星獣戦隊ギンガマン』にてザッカスの声を当てていた。続く6年後の『魔法戦隊マジレンジャー』では、冥府神ダゴン役で準レギュラー出演する事となる。こちらは戦隊メンバーと和解した怪人を処刑するという真逆の立場となった。
関連タグ
救急戦隊ゴーゴーファイブ 災魔一族 サイマ獣 シャチ 哀しき悪役
バラリベンジャー:『超力戦隊オーレンジャー』に登場した中の人繋がりの怪人で、こちらも戦隊側と和解する繋がり。
チャンプ(キュウレンジャー):『宇宙戦隊キュウレンジャー』でヒーローに変身する味方怪人(厳密に言えばアーサーG6やコロンのようなロボットキャラ)。大塚氏がスーパー戦隊シリーズの中で、ようやくヒーローサイドに回った役である。