「言ったろう?道は2つ……死、さもなくば破滅」
登場話:第34話「死 さもなくば 破滅」
概要
龍皇子サラマンデスの所有するカードから召喚された火のサイマ獣。
先の操りサイマ獣パペトング同様、植物系怪人なのに火のサイマ獣のカテゴリーに入るが気にしてはいけない。
全身が緑色の茨の蔦に覆われた外見をしており、両肩には巨大なラフレシアの蕾が付いている他、両胸にも小さな蕾が複数見受けられる。
戦闘では両肩の巨大な蕾から破壊光線を発射する他、自身の身体の一部を介して相手に茨を植え付ける能力を持つ。この茨は植え付けられてから数時間後、「全てを腐らせる毒の花粉を撒き散らす」という危険極まりない代物であり、放出し終わるまで絶対に離れない。更に恐ろしいことに花粉を防ぐ術はなく、対処するには「植えつけられた者を骨ごと残らず焼き尽くす」しか無い。
劇中ではゴーゴーブレスを介してゴーゴーファイブの5人に茨を植え付け、地球を救う為に自分達が死ぬか、或いは自分達のために花粉で地球を滅亡させるかという、「死、さもなくば破滅」の究極の二択を迫った。
活躍
都内の某所に自分の左腕を引きちぎって植えると、腕はその場所に駆け付けたゴーゴーファイブの5人のゴーゴーブレスに蔦型の触手を巻き付け、やがてブレスを介して身体に根を張り巡らせ、元の身体の位置に戻る。
やがて5人の前に現れると、当然ながらゴーゴーファイブに変身しようとする巽兄弟。だが、茨の影響で着装が出来ない。「心配するな、戦うつもりはない」と言い、バイラはマトイ達に残酷な真実を告げる。
「数時間後、その茨から大量の花粉が飛ぶ。地上にあるもの全てを腐らせる毒の花粉がな。花粉を阻む術は無い。地球は死の星となるだろう」
「冗談じゃねぇ!」と茨を引きちぎろうとするマトイ達に対し、バイラは更に言葉を続ける。
「無駄だ、そいつは花粉を飛ばし終わるまでは絶対にはずれんし、傷つける事さえできん。だが一つだけ、それを防ぐ方法がある…」
「何?」と訝しむナガレ。
そしてバイラは5人にこう告げた。
「焼き尽くすのだよ、お前達の体ごとな!花粉をばら撒き、地球を滅ぼすか?自ら命を絶って、地球を守るか?道は二つ……まぁ、どっちを選んでもお前達は終わりだがな」
その言葉に驚きを禁じ得ない5人。自分達が生きていれば、それだけで地球は滅亡してしまう。だからと言って、そのために自分達が死ぬのも嫌に決まっている。いきり立つマトイの体当たりをいなし、高笑いと共にバイラはその場を撤退するのだった。
何としてでも最悪の事態を回避しようとする巽兄弟だったが、茨はナイフでも切り落とせず、マトイが倒れてしまう程の電撃で焦げてもすぐに復活してしまう。医師や科学者、植物学者といった専門家達まで匙を投げてしまい、挙句には研究所の開発した除草剤を投与しようとするも、全てバイラに破壊されてダメにされてしまう。
ミントの解析によると、花粉がばら撒かれるまでの刻限は午後3時。時間だけが過ぎていく中、なんの方法も無く絶望する5人。
最後の手段として、テルミット弾で自分達の身体を焼き尽くして自害してでも地球を守る決意を固めようとするマトイだったが、「この青い空と、緑の大地と別れるのなんて……嫌」と言うマツリの言葉で思い留まる。
マトイ「俺達、救急戦隊だもんな。自分の命救っても構わねェよな?」
ショウ「俺達が要救助者ってことか?」
ダイモン「最後の瞬間まで、諦めないのがレスキュー……」
マトイ「その通りだ」
確かに5人は人の命を救う救急戦隊だが、その救うべき命には自分達も含まれているのは至極当然。その当たり前の事に気付き、5人は自分達の命を救う決意を新たにする。
時刻が2時50分を回った時、偶然空を見上げたナガレは起死回生の手段を思い付く。なんとそれは、ライナーボーイで宇宙へ赴くと同時に、生身の状態で宇宙空間でハッチを開け、花粉を全て宇宙に流出させるという、一歩間違えば自分達が死んでしまいかねない極めてハイリスクな賭けであった。
空気が存在しない上に絶対零度の宇宙空間の中、花粉を全て出し切るまで苦しみに耐え抜く5人は見事にこの危険な賭けに勝ち、ようやくこの呪縛から解き放たれたのだった。
一方、5人が死に場所に宇宙を選んだとして、勝利を確信したバイラは「ゴーゴーファイブは死んだ。これで地球は我ら災魔の物!」と勝ち誇り、街で破壊活動を繰り広げる。
が、その時だった。
「災魔!これ以上、お前らの好き勝手にはさせないぜ!!」
突如耳に飛び込んで来たマトイの声。振り返ってみると、全滅した筈のゴーゴーファイブの5人が立っていたのだ。「生きていたのか!」と驚愕するバイラに対し……
マトイ「ふん、オレたちは往生際が悪くてな!」
ナガレ「花粉も茨も宇宙でキッチリ処分させてもらったよ」
……そう返す2人に対して悔しげに歯ぎしりをするバイラ。
ショウ「今度はこっちが道を選ばしてやるぜ!」
ダイモン「戦うか、逃げるか?」
マツリ「どっちにしても災魔は倒す!」
意趣返しとばかりにそう啖呵を切る3人に対し、「もう一度、俺の茨の餌食にしてやる!」と襲い掛かるバイラに対し、マトイ達は今度こそ着装。群がるインプスを一掃されると、自身も5人の怒りの猛攻を受けた末、ビッグブイバスターを受けて倒される。
直後にピエールの放った再生カードによって巨大な死霊として復活。
巨大戦ではサイマゾーンでビクトリーマーズを両肩からの光線で攻撃するも、悠然と自身に歩を進めるビクトリーマーズはジェットランスを構えトップジェットを飛ばすと、そこから繰り出されるマーズフレアを叩き込まれ遂に爆散した。
余談
名前の由来は「茨(いばら)」から。
声を演じた幹本氏は今作がスーパー戦隊シリーズ及び特撮初出演となった。
関連タグ
ドクガネジレ:2年前に登場した怪人で、似たような手段でヒーローを苦しめた点と、登場話の脚本を小林靖子女史が書いた点が共通している。
毒花忍者ハナサッカ道士:3年後に登場する毒の花繋がりの後輩。