概要
最悪のゲームシステムと、魅力的なSF的世界観を兼ね備えた、プレイしたいけどプレイしたくないファミコンゲーム。
クソゲーとして有名だが、奥深い世界観とストーリーで熱狂的なファンも多い。
そのファンの声に応える形で2020年7月30日に株式会社シティコネクションよりゲーム内容はほぼそのままに改善点を追加要素として加えた移植版がニンテンドースイッチにて発売された。→公式サイト
(本来ホット・ビィのゲームの著作権はスターフィッシュ・エスディが引き継いでいるのだが、本作のみ2016年になぜかもつ鍋屋の経営権と一緒にシティコネクションに買い取られている)
おおまかな世界観
マザーコンピュータ「クルーⅢ」によって全人類が管理されている、荒廃した未来世界が舞台。
この世界では全ての人類は「クルーⅢ」によるマインドコントロールを受けているが、自分たちが「クルーⅢ」という存在に支配されていること自体を忘れている。そして管理都市「アークCITY」の中で幸福に「飼われて」いる。
だが、そんな世界で「クルーⅢ」のマインドコントロールを受け付けない先天的特性を持つものたちもいた。それはサイキックと呼ばれる超能力者たちである。
サイキックたちは「クルーⅢ」が支配する管理都市から逃げ出し荒野に隠れ住んでいたが、「クルーⅢ」はロボットや遺伝子操作されたバイオ兵士を使ってサイキックたちを狩り出し、「アークCITY」への連行を続けていった。
このゲームは記憶を失ったサイキックの少年を主人公に、サイキック狩りの魔の手から逃れながら、この世界に隠された真実を見つけ出すRPGである。
後半になって明かされる衝撃のどんでん返しはゲーム史上に残るものと言ってよいが、後述のゲームシステム面のおかしさから、そんな後半までたどり着けたプレイヤーは少なく、結果的に伝説のクソゲーとしての方が有名になってしまった。
クソゲーポイント
- 開始直後、OPもイベントも無くいきなりフィールドに放り出され、何をすべきか全く分からない。(一応最初の街は主人公のすぐ左にあるのだが街のアイコンが表示されないため気付きようがない。これはバグではなく仕様で「超能力者の隠れ里なので、誰からも見えないようにしている」という設定)
- とにかくプレイヤーキャラが歩くのが遅い。
- そのくせ街やダンジョンから出ると、全然違うところに出てくるなど、マップの繋がりがおかしい。
- ランダムエンカウントのゲームなのだが、プレイヤーのレベルに合わせて敵の強さを調整する気がない。ゲーム開始時に中盤以降のレベル帯の強敵と遭遇することが普通にある。
- 敵の防御力よりも低い攻撃力の武器を装備してると絶対にダメージを与えられない。そして戦闘中に逃げる事ができない仕様なため、強敵に遭遇すると積み確定。
- 運よく序盤をくぐり抜けると楽にゲームが進める強さになるが、今度は敵味方ともに、HPは高く攻撃力は低い状態になる。おかげで戦闘がなかなか終わらない。
- セーブはパスワード式だが、パスワードに使われる文字が平仮名・片仮名・アルファベット・数字・記号と100種類以上あるうえ、文字入力のUIが一文字ずつのドラムロールという不便さマックスな仕様。しかも数字の「1」とアルファベット「l」、平仮名「へ」と片仮名「ヘ」の違いなどがとてつもなくわかりにくい。
- パスワードに片仮名が使えるのに、ゲーム中に表示されるテキストは全部平仮名。
- ゲーム中の重要アイテムが、見えない状態で落ちている(またかよ…)。それを拾うのはコマンドを使うとかでなく落ちている場所を通り過ぎるだけでいいのだが、そのアイテムを拾ってもエフェクトなどが無く、まずプレイヤーには気づかれない。というか何を拾ったのかもよく分からない。
- ある仲間の加入条件があまりに難解である。
登場人物
サイキックたち
マザーコンピュータ「クルーⅢ」の支配下に置かれていない人間。だが正体はクルーⅢによって作られたミュータントである。
この物語の主人公。物を壊す「ぶれいく」の能力を持つ少年。
発電施設に幽閉されていた青年。空間を飛び越える「じゃんぷ」の能力を持つ。
わけあって病院に幽閉されていた女性。ダメージ床を無視できる「しーるど」能力を持つ。
一般人のふりをして迫害を免れていた少女。読心術「てれぱし」の能力を持つ。
一般人
惑星アクアの住民
- イルカ族
人類以上の知能を持つ生命体。惑星アクアで自分達が生存していくためのアシスタントを探している。サイキックたちには好意的。
- シャチ族
人類以上の知能を持つ生命体。人類およびサイキックを快くは思っていない。自分たちをイルカ族より優れていると考えている。
立ちふさがる敵
陽気な超能力者は、陰気な敵に会うと長生きできぬ。
- ガードフォース
アークCITY所属の軍隊。様々な装備で武装した部隊がおり、サイキックを捕えようと作戦を展開する。
らむじ/ちぇいさ/くらっしゃ/ばたりあん/えるみねーた
- 異様な生物
遺伝子操作で造られた攻撃本能しかない異様な生命体。病気で麻痺させる「かりう」や眠らせる「とれろ」など、サイキックを行動不能にする各種特殊攻撃を持つ個体も多い。
さらまんど/ぺるぜでぶ/さんふらん/のーずあい/ぽいすん/ゆりだぬす/ばーすとのう/もっこし
- ロボット
クルーⅢによって製造された白い外装に青もしくは赤のカメラ・センサーアイに規格統一された戦闘機械群。
- デスサイキック
遺伝子操作で造られた人工サイキック。非常に強力な存在で序盤攻略の壁となる。高位の能力者ほど幼い外見となっている。
- 正体不明
「クルーⅢ」以前より存在する謎の生命体。
余談
シナリオやBGMが気に入ったユーザーにより、二次創作で「STARGAZER」「ロマンシングステラバイザー」が作られた。
クソアニメを自称する『ポプテピピック』第13話のレトロゲームをパロディしたパート「POP TEAM 8BIT」のファミコンRPG風画面で、今作のサイキックの名が使われた。
星をみるひと発売日問題
2020年4月ごろに発覚した発売日の表記ゆれに関する問題。
ファミコン用ソフト「星をみるひと」の発売日は1987年10月27日とされているが、発売日を「'87.11.18」と表記した内部資料が発掘され、ファミ通編集部による書籍でも発売日が「'87年11月18日」と表記されている。
脚本家に関するデマ
「星をみるひとのシナリオは劇作家の鴻上尚史氏が手掛けた」というデマが存在するが、これは誤りであり、鴻上氏本人が明確に否定している。
この件の詳細はこちらの解説記事を参照。
簡潔に言うと、デマの発祥は2003年頃のamazonレビュー(現在は削除済)と思われ、
おそらくレビューを書いた人が鴻上氏脚本のスーパーファミコン用RPG『G・O・D 目覚めよと呼ぶ声が聴こえ』と混同して記載してしまった説が濃厚。
これが2chを始め複数のサイトで拡散されてデマが広まってしまったようだ。
さらに、コナミの『クイズマジックアカデミーIV』(2007年)および『QMA DS』(2008年)の○×クイズの問題で「ファミコンで発売されたRPG『星をみるひと』のシナリオを書いたのは鴻上尚史である。(正解:○)」として誤った問題が出題されてしまっていた(現在は修正済)。
マニュアルプロテクトに関するデマ
ゲーム開始早々フィールドに放り出され、最初の街が不可視という理不尽な状況はコピープロテクトの一環であり、説明書に答えが記載されているという説が長らく語られ続けていた。
しかし説明書にそれらしい表記は見当たらず、根拠のないデマであったようだ。